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うちの母についての考察1

本日2話目です。

予約投稿のやり方がよく分からないので地道に手作業です(笑

うちの母は若い。

なんなら外で「母さん」と呼ぶのが憚られるほどに若い。

17で俺たちを産んだから実年齢も33と実際に若いんだけど、なにより見た目が………。

俺たちが中学入った頃には姉弟に間違われること多数。

今では100パーセントの確率で…………下手したら妹と思われて無いか不安に駆られる事すらあるって、どういうことなんだろう。


かといって、若作りしているわけでも、美容に金かけてるわけでも無い。

普段は化粧すらろくにせず、洗顔きれてたから〜と石鹸で顔洗ってた時には、妹がマジ説教してた。


母の昔の写真を見せてもらって変わってるのがほぼ髪型くらいだったのを確認した時には、兄弟3人で「この人はこういう生き物なんだろう」という結論に達したくらいだ(あ、俺たちは男2女1の三つ子だったりする)


150を少しこえたくらいの身長に華奢な体。

大きな瞳は黒目がちで、シミひとつ無いきめ細やかな肌。髪はサラサラの天然茶髪で肩の少し下あたりで切りそろえられている。

母親にこの評価はどうかと思うけど、黙っていると20そこそこにしか見えない、文句なしの美少女だ。

実際、きちんとした格好で街を1人で歩かせると面倒なことになる。


だがその実態は。


色が白いのは外に出たがらない引きこもり体質だからで、前髪パッツンのワンレーンロングは美容院嫌いで自分でハサミで切ってしまうからだ。

服も、妹に身長越されたあたりから自分用には買ったこと無いんじゃ無いだろうか?(つまり、妹と共用かお下がりですましてるってことだ)


面倒くさがりで人と深く関わるのは苦手。外に出るくらいならお家でゴロゴロしていたい。だけど、突如突飛なことを思いついては即行動(テレビで見た緋寒桜が綺麗だったと突如俺たち連れて飛行機に飛び乗ってしまったり……。小学校入るまではずいぶん連れまわされたなぁ……)


ご近所の皆さんが大好きで他人にはキッパリと線を引き、だけど柔らかな笑顔でそれを悟らせない強かさも実は持っている。

ただし、押しに弱いので時々変人ホイホイしてくるのが玉に瑕、だ。


授業参観に現れては幼気(いたいけ)な同級生達の初恋ブレイクを引き起こし、若い担任を無自覚に惑わす母親の巻き起す騒動に否応無しに巻き込まれて、俺たち兄弟は悟りを開いた。


「うん、この人は極力引きこもってもらおう」

本人も望むところだし、周囲も平和が保たれる。

幸い、高校まで成長した俺たちは何やら優秀なので、母親のフォローだってバッチリだ。

ご近所の平和のためにも、俺たちは頑張る。


目下の悩みは高校の体育祭を見に来たがる母をどうやって止めるかなんだけど………。

母さんの涙目の懇願に勝てるのは妹だけなので頑張ってもらおう。





うん。

甘かった。

うちの母親の本気を甘く見てた。


一度は妹の「説得」にしおしおと引き下がった母親は、最強の味方を引き連れてやってきたのだ。


母親以上に俺たちが頭が上がらない存在。

俺たちが住んでいる家の大家でもある助産師の牧野さん。


俺たちを取り上げてくれた人でもある彼女には、まさしく生まれた時から散々世話になっている。


血は繋がっていないけど、「祖母」と思っているし、そう呼んでいた。

そして、彼女もそれを笑顔で受け入れてくれる。


どこか常識はずれな母親の軌道修正をしてくれるのも牧野さんなら、甘やかしがちなご近所一同を律して、1番に叱ってくれるのも牧野さん。


そんな彼女が、母親の味方についたら、俺たちになすすべなんて………。


「あんた達の心配も分かるけど、母親としての気持ちもちっとは考えておやり。子供の晴れ舞台を見たいと思うのは当然のことだろ?」

「いや………ただの体育祭だし、そんな大層なものじゃ………」

「だいたい、この子にビデオ撮ってもらわないと私が見れないじゃないか。その日は予定日が被ってる患者さんがいるから行けないんだよね〜」


笑顔で言われて俺たちは沈黙した。

あ、自分が見たいだけですか。そうですか。


「だいたい、この子がビデオ撮ってこないってなると、下手したらご近所集団が押しかけるよ?良いのかい?」

「おばあちゃん、……………それってどんなおどし?」


どうにか牧野さんを説得しようとしてた妹が撃沈した。

そうして、意気揚々と母親は体育祭にやってくる権利をゲットしたのだ。


「お弁当、作っていくからね〜。うふふ。楽しみ〜〜」

「…………あきらめよう」

「そうだな」

「…………被害は最小限、よ」

満面の笑顔の母親に3人で顔を見合わせため息ついた俺たちは悪くない。

良くも悪くもトラブルメイカー。

母親が出張ってきて平穏にすむとはとても思えなかったのだ。

今度こそは大丈夫、と楽観視するには過去の実績が華々しすぎた。





額を突き合わせて当日の対策を真剣に話し合った俺たちの作戦の斜め上を突っ走ってくれた体育祭の話はまた次の機会で。

ただ1つ。

冷静沈着と評判の生徒会長も人間だったんだなぁ………、と、だけ明記しておこう。


あ、会長、もう1つ。

俺たち、2つ違いの「お父さん」なんていりませんから!










読んでくださり、ありがとうございました。


長男太陽君。

気遣い屋さんです。

無自覚自由人な母親のフォローに走る幼児にほのぼのするご近所さん、な、日常。

スペックは高いのに、なぜか不憫という言葉が似合う。

長じれば包容力たっぷりのいい男になりそうな予感?

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