第6話: 噂の二人、重なる視線
今回も楽しんでいただけると嬉しいです!
(学校)
月白: サエキ、昨日これ返すの忘れててごめんね!
サエキ: ん? ああ、昨日のパーカーか。
月白: うん! これ、昨日は本当にありがとね!
(サエキがパーカーを受け取る)
サエキ: ……なぁ、この毛だらけなのは何なんだよ……。
月白: あ! ごめん! 昨日、うちの猫が脱ぎ散らかしてた服の上に座っちゃってたみたい! 本当に不注意だった、ごめんね!
サエキ: ああ……いや、猫がやったことなら仕方ないな。
月白: そう? ありがと!
月白: ねぇ、サエキって猫好きなの?
サエキ: いや……別に好きでも嫌いでもないけど。
月白: ふーん……。じゃあ、今日から好きになればいっか。
サエキ: いや……何で俺が好きにならなきゃいけないんだよ……。
(月白がサエキに身体をすり寄せる)
月白: 今日から好きになって! はい、決定!
サエキ: わかった、わかったから……そんなに近づくな。好きになるから。
月白: よし! 私、猫がめちゃくちゃ大好きなんだよね!
サエキ: そうかよ。じゃあ、お前の家の猫の名前は何ていうんだ?
月白: ベガっていうんだよ! ベガ!
サエキ: ベガ……何か意味でもあるのか?
月白: ベガは青白い光を放つ星なんだよ! うちの猫、綺麗なブルーの目をしてるの。それに、夜空で一番明るく輝く星でもあるんだから!
サエキ: へ、へえ……。随分と天文学的な名前なんだな。
月白: これくらい普通だってば!
(サエキと月白が楽しそうに話しているのを、近くの友人たちが耳にする)
友人1: あれ、本当に月白?
友人3: 月白って、普段は知らない男子に話しかけたりしないでしょ? 月白は嫌がってるのに、サエキが強引に引き止めて離さないのかな?
友人2: いや、それにしては……月白、すごく嬉しそうに見えるけど……。まさか、付き合ってるとか?
(友人1、2、3が同時に何も言わずにお互いの顔を見合わせ、少ししてから含み笑いをしながら話す)
友人1: まさかね。付き合ってるわけないじゃん?
友人3: まさかね。
友人2: そうだよね。
月白: じゃあサエキ、また後でね。
サエキ: ああ、また後で。
(月白が教室から出ていく)
友人4: おいおい〜シュン、女できたのか?
友人5: しかも、学園一の美少女の月白だなんて〜。マジで羨ましすぎるんだけど……本当にさ。
サエキ: 何言ってんだよ……ただの友達だよ。そういう関係じゃねぇって。
友人5: そのわりには随分と親しげに話してたじゃん。最近、俺たちと全然遊んでくれないし。
友人4: そんなこと言わずに、もう彼女にしちゃえよ! 月白みたいな良い女、そうそういないぞ!
サエキ: ……そうするか?
友人5: マジで!?
サエキ: いや、まだ彼女とか作る気ねぇし。
友人4: なんだよ〜つまんねぇの。
サエキ: はぁ……。
(一方、月白の側)
友人2: あんた、あんなに親しげに話してずっと一緒にいるつもりなら、もう彼氏にしちゃいなよ。
友人3: そうそう、その方がすっきりして良いと思うな。
友人1: サエキも、男としてはそんなに悪くないやつだしね。
月白: うーん……悪くはないね。
(サエキと月白が別の場所で、同時に心の中で呟く)
サエキ(M): 今すぐは無理だけど、いつかは……?
月白(M): 私はサエキのこと、気に入ってるよ。
(再び、サエキの側)
友人4: マジで? いつ? いつ付き合うんだよ?
サエキ: 知るかよ。それに、これからもずっと一緒にいるかどうかも怪しいしな。
友人5: 羨ましいやつめ……。
(月白の側)
友人3: マジで? やっぱりそうでしょ! 私の目に狂いはなかった!
友人2: でも……サエキってちょっと冷たくない? なんていうか……言葉に感情がこもってない気がするんだけど……。
友人1: 言われてみればそうだね……。月白、あんたはサエキのどこが好きなの?
月白: うーん……サエキは、表向きはぶっきらぼうだけど、本当は誰よりも他人の面倒見が良いんだよね。
(月白が、あの夜一人で怯えていた時にサエキが捜しにきてくれた出来事を回想する)
月白: ツンデレって言うのかな? サエキみたいなタイプの男。そういうところが、結構ツボなんだよね〜。
(友人1、2、3が月白を見つめる)
友人1、2、3(M): 相当惚れ込んでるみたいだね……サエキのこと。
友人1: そっか……。応援してるよ、月白。
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