第31話:小さな防衛線
(そうして楽しいお祭りを終え、再び学校へと登校してくる)
(席に座っているサエキの隣に、月白が腰を下ろす)
月白: サエキ、この前はすっごく楽しかったよ!
サエキ: 俺も楽しかったぜ。
月白: 今度またどこか遊びに行こうね!
(サエキが薄く笑みを浮かべながら)
サエキ: おう、また行こう。
(その時、教室に担任の先生が入ってくる)
先生: よーし、今日はこれから身長と体重の測定を行うぞ。
(生徒たちが一斉にざわざわと騒ぎ出す)
月白(M): 身長と体重、今日測るんだったっけ……? これ以上縮んでたらどうしよう……。
(そうして先生が生徒たちを順番に呼び出し)
(友人1が測定を終えて戻ってくる途中)
月白: どうだった?
(友人1が嬉しそうに笑いながら言う)
友人1: 身長伸びてた! 2センチも伸びてたよ! 体重は変わってないし、もう最高に嬉しい!
(月白が羨ましそうな目で見つめながら)
月白: うわぁ〜、羨ましいな……。ところで、測定した結果って、前のやつとどうやって比べるの?
友人1: あぁ、あそこの先生が、前回のデータと今回の結果を一枚の紙にまとめて渡してくれるんだよ。
月白: そうなんだ?
(その時、先生が月白の名前を呼び)
先生: 次、月白、来いよ〜。
月白: あ、はい! ――ありがと、教えてくれて。
(そうして、期待を胸に測定器の上へと登る)
(身長と体重の測定を全て終え、先生から結果の紙を受け取る)
(月白がワクワクしながら紙に目を落とすが、体重の数字を見た瞬間、表情が完全に凍りつく)
(場面が変わり、教室の机に突っ伏して絶望している月白の姿)
月白(M): 身長は伸びてないのに……体重が2キロも増えてる……。こんなの、絶対に何かの間違いだよ……。
(※月白は、周囲の誰もが羨むほどスタイルの良い女の子である)
(サエキが測定を終え、月白の隣の席に座る)
サエキ: ツキシロ、どうだった? 良い結果出たか?
(月白が飛び起きるようにして慌てふためき)
月白: え? あ……私……? 私はその、あんまり覚えてないなぁ……あはは……。ほら、私って記憶力悪いからさ……。サエキの方は?
サエキ: あぁ、俺は身長が伸びて、体重は少し減ってたな。
月白: 羨……羨ましいな、身長が伸びるなんて! 私は……
(その時、月白は自分が言いかけた言葉に気づき、顔を真っ赤にして再び机に突っ伏す)
月白(M): しまった……! 自然な流れで自分の身長と体重をバラしそうになっちゃった……! 私のバカバカ!
(サエキが怪訝そうに、突っ伏している月白を見つめながら)
サエキ(M): なんで……あんなに焦ってんだ……?
(そうして放課後の昼休み)
(月白とサエキが、人気のいない場所で一緒に昼食を食べている)
(サエキがサンドイッチを口に運んでいる)
サエキ(M): やっぱり学校の売店の卵サンドは最高だな。
(月白がサンドイッチを手にしたまま、じっと動かずにいる)
サエキ: なんで食べないんだ? 何かあったのか?
月白: え? あ……ううん、食べる食べる。
月白: ――サエキ……ちょっと聞いてもいい?
サエキ: ん? 何が。
月白: 私……何か変わったところ、ある……?
(その言葉を聞いたサエキが激しく動揺し、冷や汗を流し始める)
サエキ: え……あ……いや……その……(M:何か言わなきゃダメだ! 絶対にここで正解を叩き出さねぇと……っ!) な……何か、雰囲気が変わったような気はするけどな……あはは……。
月白: どこが? ちょっと……大きくなったように見えるかな……?
(サエキが深刻な表情を浮かべながら)
サエキ(M): 一体どこがだよ……!? 何が違うんだ? 髪型もいつも通りだし、全部同じに見えるんだけどな……っ。
サエキ(M): さっぱり分からん……。あ、もしかして、いつもツキシロが持ち歩いてる小さなバッグが変わったのか?
(サエキが確かめようとして、月白の足元のほうへと視線を落とす)
(月白は、サエキが真剣な顔で下を見つめたため、自分の『お腹』を見られたと勘違いし、顔を真っ赤にして後ろを向いてしまう)
月白(M): やっぱり……!! あんなに深刻な顔で下を見るなんて、もう気づかれてるんじゃん……! 恥ずかしすぎる……!
サエキ(M): 何か……変化に気づいてやれなかったから怒らせちまったのかな……どうすりゃいいんだ……。
(月白とサエキが、同時に心の中で呟くように)
月白、サエキ(M): 何かが致命的に噛み合ってない……!
月白(M): 決めた……! 今日から絶対にダイエットする……! サエキに可愛いって思われたいもん……!
(サエキは相変わらず何も気づけないまま、複雑な表情でサンドイッチを噛み締めている)
次回のエピソードも楽しみにしていて、お付き合いいただき、いつもありがとうございます!




