地球
人類は宇宙が何なのかをまだ解明できていない。
ビックバンで誕生したことは知っているだろう。
だが、そのビックバンが何者かによって意図的に発現させられたものだったら?
その【何者】が宇宙外の生命体で神と同じような存在かもしれない。
だが人類にはそれを確かめる方法も技術も資源もない。
なぜなら、地球という星は、星の9割が荒地になっている。
海はほぼ枯れはて川は星全体で六つほどしかない。
地球は現在、崩壊への一途を辿っていた。
「っていう仮説を立てたんだけどどうだ!?」
机に手をバンっと叩きつけ宇宙の真理(笑)を熱弁している少年、グレンは興奮気味に語る。
宇宙の真理(笑)とは宇宙は星であるだとか地球以外にも星があるとか言った具合のカスみたいな話だ。
「はぁ、また始まったよ。グレンの虚言仮説」
「なっ!?虚言じゃねぇよ!」
「じゃあ証明できんのかよ」
「うっ、ま、まだ仮説の段階だけどよ・・・」
グレンをジト目気味に見る少年、ノアは虚言だと鼻で笑う。
「はっ!そんな虚言言ってる暇があったらリゼの相手をしてやれよ」
「え!?わ、わたし?」
リゼと呼ばれた少女は驚いたのか顔を急に上げる。
「グレンとリゼはもうヤってんだろ?」
ノアは下品な笑みを浮かべ二人を交互に見る。
「ヤっ・・・、ってないし!!!」
リゼは顔を真っ赤にさせながら必死に否定する。
「馬鹿なこと言ってんじゃねぇよノア。リゼはまだガキなんだからヤらねぇよ」
「が、ガキって。グレンと私は同い年じゃない!」
「年齢じゃない。精神的な部分だ」
「な、なにを~!!」
リゼは頬をプクッと膨らませノアを追いかける。
「あはは、いつも通りだな」
ノアはこの騒ぎを起こした人物だというのにへらへらと笑っている。
「あ、そういえばクソ爺が食料調達に行けってさ」
グレンは用事を思い出したので2人に言う。
「えー?またかよ~」
ノアは聞きたくないとばかりに耳を両手でふさぐ。
「で、でも調達に行かないと食料が底をつくから・・・」
リゼはグレンを追いかけるのをやめノアに言う。
「わかってる。わかってるけどめんどくさいんだよ!」
ノアは発狂気味に叫ぶ。
「それに前妊婦さんが栄養失調で亡くなったそうだし・・・」
リゼは両手を合わせ悲しそうに呟く。
「・・・そうだな。この村には10代は俺らとあと3人しかいないし。はぁ、爺たちのためにひと肌脱いでやるか!」
「ぬ、脱ぐの!?」
リゼはまた顔を真っ赤にして両手で顔を塞ぐ。
「何言ってんだリゼ。お前やっぱあほだな」
「あほじゃないもん!」
悲しんだり怒ったり恥ずかしがったり情緒が忙しい奴だ。
「でもグレン。油断はするなよ?マーゲジカントの群れがいるから武器は持っていくぞ」
ノアは自分の装備をはめながらグレンに言う。
「わかってる。俺の相棒でマーゲジカントなんて瞬殺だ」
相棒、それはグレンの最も得意な武器でありこの村最強の攻撃力を誇る棒。
そう、棒なのだ・・・。
「なーにが相棒だ。ただの棒だろうが」
「うるせー!今は棒だが戦う時に変化するだろうが!」
「わかったから黙れ。鼓膜にダメージがくる」
ノアとグレンは喧嘩しながらも着々と準備を進めていく。
「リゼもスキャナーゴーグル忘れるなよ」
「う、うん!索敵は任せて」
リゼはガッツポーズをしながら言う。
「おう。おまけ程度に期待しとくぜ」
グレンは装備を身に着けながらリゼを笑う。
「うるさーい!私のスキャナー能力舐めないでよね!」
コンコンコン。
俺らのいる部屋のドアにノックが。
「入っていいぞー」
ノアが適当に返事をして鍵を開ける。
「邪魔するぞ」
「ね、姉さん」
ノアに姉さんと呼ばれた人物。
この村最強の戦士、セレナだ。
「お前たちに長からの通達がある。ここから南西50キロ先の荒野に廃都市がある。そこで物資を調達してこいとのことだ」
「50キロ!?遠すぎんだろ!爺め、俺らを殺す気か!?」
「グレン。口を慎め。だが、私も少し不安だ。お前ら新人になぜ遠征調達任務を下す」
「ね、姉さん!俺らなら行けるから!」
ノアの姉ではないがノアは親しみを込めてセレナを姉さんと呼んでいる。
「そうか、そういうなら不安に思うのは失礼だな」
セレナはノアをなで笑う。
「う、うん。頑張るから・・・」
ノアは顔を真っ赤にして小さく呟く。
「やーい!照れてやんのー!!」
仕返しとばかりにグレンがノアをいじる。
「う、うっせ!照れてねーし!」
「あはは!図星かよ!」
「うるせー!!」
ノアはグレンを追いかけまわす。
「お前ら。気を引き締めて任務にかかれ。そして何よりも重要なのはお前らの命だ。物資も大事だが一番はお前らの命。くれぐれも物資を優先して死なないように」
「は、はい!」
ノアはグレンを追いかけるのをやめセレナを見る。
「まぁ、そうだな。セレ姉の言うとおりだ」
グレンも顔を引き締める。
「そうだよ!みんなで生き残ろう!」
リゼも珍しく大きな声で言う。
「フッ、そうか。ならば明日の早朝に村から発て。見送ってやる」
「早朝かよー。だる」
「そういうなグレン。早朝はマーゲジカントの寝ている時間だ。マーゲジカントに限らず他のムーメント共もな」
「わかってるよ・・・」
グレンは毒づき溜息をつく。
ムーメントとは数十年前に地球に来た地球外生命体の名称だ。
ムーメントには主にランクがあり弱い順からセル、ビースト、ノヴァ、アーク、コア、オリジン、そして最強のアウター。オリジンとアウターはほとんど姿は見られず最近では存在自体が怪しいものとなっている。
「今日はもう寝て体を休めるといい」
そう言い残しセレナは部屋を出る。
「にしても50キロかぁ~」
溜息をつきグレンを布団に座り込む。
「私歩けるかな・・・」
リゼも不安そうな表情を浮かべグレンの隣に腰掛ける。
「大丈夫だ。期限はないようだし休憩もちゃんと取りながら行こう」
グレンはリゼを撫でながら言う。
撫でられたリゼは顔を赤らめ俯く。
「・・・うん」
「ったく、なにいちゃついてんだ」
「い、いちゃついてないし!」
またもや顔を赤らめノアに反論する。
「ま、今日は寝ますかね」
ノアが部屋の明かりを消し寝床に寝転がる。
「そうだな。明日も早いし寝ますかね」
グレンも自分の寝床に寝転がる。
「リゼも寝ろよ」
「うん・・・」
そうして3人は少し雑談しながら眠りについた。
その夜。高度10000メートルから地球を見下ろす生物がいた・・・。




