いざ、ゴブリン軍団と
「シャーロットはどういう魔法が使えるの?」
「えっと…ここに来るまで風魔法を使ってましたけど、土魔法もできます!」
「すごい。2つも扱えるんだね」
「いえ!2つ使えたところで、風と土では…」
「でも、土魔法が使えるってことは、簡単だね」
「簡単、ですか?」
「うん。シャーロットが土魔法で部屋を作って、集まってきた魔物が1体ずつしか入ってこれないようにしておけば対処しやすい。できそう?」
「た、たぶん」
「よし。それで、私は中で戦うけど、シャーロットは部屋の上に立って、部屋に入って来られない魔物たちに向かって、魔力の許す限り魔法を打つ。簡単でしょ?」
「た、たしかに…」
「だいじょぶそう?優先は自分の命と、部屋の強度ね。部屋が壊れちゃうとさすがにきついと思うから」
「がんばります!」
「じゃあ。休憩もできたしやろうか」
作戦会議が終わると、シャーロットは土魔法の《ロックウォール》を使いメイが十分に動き回れるスペースのある部屋と、ゴブリンが1体通れるくらいの入り口を作り、その部屋の上に立った。
メイは、その部屋の中で剣を構え、準備を整える。
「シャーロット。準備は良い?」
「大丈夫です!」
メイはシャーロットの返事を聞くと、シャーロットから預かった魔集玉を地面に叩きつけた。
魔集玉はその衝撃で割れ、なかからもくもくと煙があがり、一時メイたちの視界を奪う。
煙が広がるのと共に、視界が明確になったころ、遠くから魔物の近づいてくるような、大きな足音の集合が聞こえ始めた。
「ギャギャギャ」「グォグォグォ」「ゲゲゲゲゲゲッ」
このダンジョンには、基本的にゴブリンしかいないので、大量のゴブリンたちが声とよだれを漏らしながら、ドドドドドドッっとシャーロットの土魔法で作られた部屋に押し寄せる。
しかし、入り口を一つ、加えてゴブリン1体ちょうどが通れるサイズのものを用意しておいたため、ゴブリンたちは部屋の周りで立ち往生してしまう。
そうして、突っ立っているゴブリンたちに向けて、部屋の上に立っているシャーロットは魔法を放つ。
「《ウインドカッター》」
ゴブリンたちの思いもよらない方向から、魔法が飛んできたため、一帯にいたゴブリンたちは、直撃を受ける。
「メイさんの負担を減らすためにっ、どんどんやるんだ!」
シャーロットは、気持ちを入れ直し、風魔法と土魔法を使い、どんどん迎撃していった。
メイは土の壁に囲われた部屋の中で、ゴブリンが中に入ってくるのを待っていたが、一体目が入ってきてすぐ、この作戦の重大な欠陥に気づいてしまった。
(あれ?これこのままいくと、ゴブリンの死体で足場なくなっちゃわない?)
メイは、まずいと感じすぐさま、部屋の出口に向かっていく。ゴブリンたちは既に部屋に入り始めていたが、剣で切り裂きながらなんとか部屋の外に出ることができた。
しかし、そこには大量のゴブリン。最初に考えていた作戦は全くうまくいかず、メイはその後、ひたすら動き回って、少しずつゴブリンを倒していくことになってしまったのだった。




