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僕は自分の世界で無双する  作者: ウエンズディー・S・水田
行って帰りし物語りセカンドシーズン

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14/31

僕は美崎に土下座した

土下座するならこうで無いとと言うお話しです。

今回もR15寄り。

愛情表現多めです。

 僕は昨晩の美崎を想像してみた。


 美崎はベッドに腰掛けて、横になっているインフィニティの頭を撫でている。


「ねえママ。パパもうすぐ帰ってくるよね」

「うん。きっともうすぐ帰ってくるわよ」

 美崎の言葉に安心したインフィニティはほっとした様子で目を閉じる。

「きょうは楽しかった。パパともっとおはなししたいな」

「わたしもよ。もうすぐ帰ってくるからね」

 そんな二人の気持ちをよそに、そのよる僕は帰ってこなかった。


 インフィニティを寝かしつけた美崎はテーブルに軽い食事と飲み物を用意して僕の帰りを待ちながら、いつしかテーブルに伏して眠ってしまったのかも知れない。そんな美崎に僕はブランケットをかけてあげることもなく。


 翌朝僕が帰って来ていないことを知って悲しむ美崎とインフィニティ。

 想像すればする程、僕の不甲斐なさがつのってくる。僕はなんて事をしてしまったんだ!

 家族を失望させ悲しませてしまった。

 ごめん。ごめん美崎、インフィニティ。僕は最低だ。

 後悔の涙がブワッとあふれてくる。


「ごめん。ごめん。僕が悪かった。僕は最低だ。美崎とインフィニティにさみしい思いをさせちゃった」

 ウヮァァン。

 僕はベッドにうつ伏して泣き崩れた。


 しばらくして、後悔のあまり泣き続ける僕の頭を優しくなぜる手があった。

 顔を上げると美崎だった。


「もうわかったから。そんなに泣かないで」

 美崎は、涙でくしゃくしゃ顔でエグエグ言ってる僕の頭をなで続けた。


 僕が少し落ち着いて来た所で美崎は僕の服装を確かめる。

「着衣の乱れはあまりないわね」

 そう言うとスタスタと時間停止中のシレンの後ろに回り込む。

「うーん。大丈夫そうかな」

 美崎はシレンのつかんでいる毛布をスルリと取り除いた。


 裸かと思ったシレンだがそうじゃ無かった。肩が大きく出た上下セパレートタイプの忍者服。大きくおへそが出ているし、スカートも凄く短いけれど、くノ一ならば普通にあるいでたちだ。


 美崎は周囲を見回してだいたいの状況を把握する。

「うーん。なかなかの修羅場だったみたいね。はぁ、こんな事ならば昨晩ハルも一緒に連れて帰れば良かったよ。ハルの体に何も起きなくて良かった」


 そう言うと美崎は開発画面を起動して、キャラクター一覧を開くと、グラビスとレビスとシレンのキャラクターにチェックを入れた。

 しばらく黙ってパラメーター見つめてから深く息をついた。

「この子たち、恋愛感情が発現しちゃったんだ。ハルに対する好感度がMaxになってる」

「好感度だったらミサにだって」

 好感度ならば僕だけでなく美崎もインフィニティもMaxになっていた。

「ハルは男の子でしょ。この子たちは女の子よ。今は繁殖シーズンなの」

「は、繁殖シーズンって……」

 なんだか、生々しい響きだ。


「ねえハル。知ってる? こういう時ってメス主導のケースが結構あるのよ」

「メス主導?」

「メスがフェロモンを発散してオスを誘うの」

 フェロモンって……。もしや、あの水着姿がフェロモン……。


「フィニットちゃん。パパが見つかったわよこっち来て」

 インフィニティがスッと現れる。

「おうちに帰らないパパ、めっ! なんだから」

 インフィニティは怒っていた。

「ごめんね」

 僕はインフィニティに頭を下げた。

「パパね、昨日ねむくなっちゃってここで寝たんだって」

「そうなんだ。パパつかれちゃったんだね」

 美崎が微妙にフォローしてくれた。

「フィニットちゃん。ママ、チャットAIPとお話ししたいな。変身してくれる」

「うん。いいよ。チャットちゃんに変身」

 インフィニティの背がグンと伸びて二十代くらいの大人の姿になる。

「呼び出してくれて有難うございます。何でも質問して下さいね」

 インフィニティが実現してくれた新機能だ。わが子がそのままチャットAIPになってしまう。

「ねえ、チャット。これまでの出来事だけどメモリー出来てる?」

「もちろん出来てますよ。美崎ちゃんに春海君が泣いて土下座するシーンは感動的でした。所で、もしご希望でしたらグラビス達に迫られている春海君のシーン、続きを予測画像で見せられますよ。ご覧になりますか?」

「ちょっと! 僕のシーンの続きって、何でそんな物」

 このAI少し冗談が行き過ぎな気が。

「うん。見せて見せて」

 美崎は即答した。

「えっ、見るの!?」

「では見ましょう」

 僕の服が引き裂かれてグラビス達に押し倒される画像が現れた。

「ここから先はさすがに、やばいんじゃ……」


 ………………。


「あはーん❤ うふーん❤」

 映し出されているのは、僕の恥ずかし過ぎる画像だった。上半身が裸の僕の胸や肩にグラビス達が頬ずりしてる。

「あぁ~ん。た・ま・ら・な・い❤」

 スリスリスリスリ

「く、くすぐったい。もぞもぞするの。や、やめっ。やめてってばー」

 スリスリ、ペロッ!、スリスリ

「あ、いまっ、な、なめた。アハッ! 脇っ、くすぐっッ! アハッ、くすぐったい! だめ、わき、なめないでー」

 スリスリ、ペロペロ、スリスリ、ペロペロペロペロッ!

 僕はひたすら胸、肩、首筋、わきの下をスリスリペロペロされまくってた。

「アハッ! やめ、アハッ! アヘェェ~」

 終わりなき責め苦に僕は息絶え絶えだ。

「なんだか動物の群れとたわむれてるみたい」

 僕はもの凄く恥ずかしいシーンだと思うんだけど、美崎は拍子抜けしてるようだった。

 やがてグラビス達はこの恥ずかしすぎる行為を終えると、満足げにクタッと僕の横に寝そべった。

 くすぐりまくられた状態の僕は、彼女たちの真ん中で、ぐったりとして動かない。

「これで終わりかしら。なんだか大したことないね」

 美崎がAIに言った。

「うーんそうですね。このゲーム世界のレーティングならばもう少しだけ進展があっても良いはずなんですが」

 いや、僕は凄く恥ずかしいけど……。


「チャット。この状態で西方開拓出来ると思う?」

「そうですねえ。こうなると若干難しいかもしれませんね。今のグラビス達は戦闘意欲が相当低下してますし。

 それでも軍の士気が高ければ何とかなるかも知れませんが、兵団長が恋愛事にうつつを抜かしてる現状では。

 もしかすると士気が下がるどころから、兵団が崩壊してしまうかも知れませんね」


 西方開拓。そう西方開拓だ。西方開拓はここ数年、僕達が目指し、準備して来た目標だった。

 僕達はこれまでも数年かけて都市を発展させてきた。しかし近頃になると、東との交易だけで都市を発展させる事に限界を感じ始めていたのだった。

 もっと人々の行き来を活発にしなければ、都市の発展はジリ貧になってしまう。

 今は途絶えている西側からも、人々が訪れるように、かつての安全を取り戻さなくてはならないと思ったんだ。

 そして軍備を整えて来た。西方の安全を取り戻すために。


 そんな話しをしていると、グラビスが再びモゾモゾと動き出す。

「あつ、続きが有りそうですよ」

「うっふぅーん❤ ハル様」

 グラビスが僕の唇に顔を寄せて行く。

 これってまさかッ!

 そして。


 ぶちゅー❤


 キスをした。それも唇どうしの本格的な大人のキスだ。

「ムゴーォォォッ」

 僕は足をバタバタさせてもがいた。

「グラビスの愛が臨界を突破しましたね」

「うぅぅぅぅ。わたしでもこんな事したことないのに」

 美崎がニコニコしてる。

「あの、これは本当じゃないから」

「でも、私が来なかったら本当になってたのよね」

 ニコニコ。

「あっ、あんたどきなさいよ」

 レビスがグラビスを押しのける。

「プハァ」

 僕は息をついた。

 今度はレビスが僕に顔を近づけ、

「や、やめっ、息ができ」

そして、ぶちゅーーー。

「むぐクク」

 僕は体をピクつかせた。

「なにしてるアルか。どくアルよ」

 今度はシレンがレビスを押しのけて、ぶちゅー❤❤❤

「うっ、グッ」

 カクリと僕の体から力が抜け、動かなくなる。

「あら、春海君。春海君は悶絶しましたね」

「もんぜつしたんだ……。ハル幸せだったわね」

 全然幸せじゃない。


 美崎はそれから少しの間、考えていた。

「ねえハル。西側には彼女たち以外の軍を向かわせよう。軍団は二十くらいあるんだし」

 美崎は気持ちを切り替えて言った。

「そうだね。三隊減ったって何ともないよ」

 僕も答えて言う。


 すると画面に動きがあった。

「し、身体強化っ」

 僕はシレンを押しのけながら上半身を起こす。

「みんなもう、いいかげんにしてっ」

 画面の僕がベッドの三人に言う。

「春海君素晴らしいです。身体強化で復活しましたね」

 AIのチャットが感心した。

 その時、画面の端からどやどやと人だかりの音がする。何やら集団で言い争いながらこちらに近づいて来ているようだ。

「私がハル様のお世話を致します」「いいえ、それはわたくしめのお役でございます事よ」「あなたたちなに言ってるの。私よ」「わらわじゃ」「皆様ご冗談をホッホッホッ」「けいらは間違えておるぞ」「みんな笑わせてくれるな。おいらだよ」

 画面がドアを映す。

 ドアがバンと開いてそこに人だかりが。

「ハル様。起きた? お着替えしましよっって……。なんだ、あんたら三人抜け駆けか!」

「なになに、どうしたの?」

「あっ、ハル様が奪われてる!!」

「なにっ! させるかぁぁー」

 人の波がドアを吹き飛ばし僕に向かってなだれ込んで来る。

 フェロモンを丸出しにした人の山がベッドにうず高く積み上がり、僕は再びその中で悶絶した。

 僕は、我が軍の軍団長たちに、無双された。


「ほぼ全軍の軍団長だね」

 美崎が困った様子で言う。

「はい。ほぼ全軍の軍団長達です」

「西方開拓、困ったね」

「はい。困りましたね」


 しばらく沈黙が続いた後、僕は心を決めた。

「ミサ。僕が行くよ」

「えっ!?」

 僕の言葉に驚く美崎。

「僕が一人で西方開拓してくるよ。大丈夫。僕達は、どこまでも離れられるパーティ編成だから、本当に困ったら助けてもらうから。ミサはフィニットと街に残って軍を立て直して」

 どこまでも離れられるパーティ。インフィニティが作ってくれた僕達家族だけのスペシャルなパーティーモードの一つだ。家族パーティとも言っている。

 これにより、僕達家族はどんなに離れてバラバラに行動しているようでも、決してパーティを離脱しているわけでは無く、しっかりとパーティに加わったままになっている。

 僕の経験値はパーティーメンバーとして美崎にも入るし、美崎やインフィニティの新たな移動先に僕がファストトラベル可能。離れていても声をかければ会話も出来ると言う訳分からなさだ。


 それから数日後の朝、僕は一人の従者を従えて、街の西門の外に立っていた。

 見送りは僕の家族の他、街の重鎮数名。当然軍団長達は見送り厳禁。遠くから遠吠えが聞こえて来てはいるけれども。


「ハル気を付けてね」 

 美崎は僕の手を取って言う。

「パパあぶなくなったらたすけるね」

 インフィニティは両手で胸元に拳を作って僕を元気づけてくれる。

「有難う。行って来るね」

「私たちも後から行くからね」

 美崎も軍団長達を立て直して後から合流する事になっている。

「早く繁殖シーズンから抜け出させないとね」

 僕は美崎に答えて言うが、軍団長達はどうやら一度こうなると、なかなシーズンが終わらない仕様らしかった。

 恋愛感情は彼女たちの人格形成の大切な一部だから、むやみに抜くわけには行かないとか。

 時間をかけてゆっくりと改善するそうだ。


 僕の隣には高さ三メートルほどもあるどっしりとした西洋風の甲冑が立っていた。

 彼が僕の従者、魔動軍団の副団長ミニリスだ。念のため従者を連れてきましょうとチャットが推薦してくれたのだった。


「よし、ミニリス行こうか」

「はいつ。ハル様行きましょう。僕が全力でお守りいたします」

 若々しいと言うか、かわいらしい少年の声で嬉しそうに返事をした。


 そうして、僕達は西に向かって出発した。

これが後の世に言う、『海野春海、ベッドの上で、泣いて空島美崎に土下座事件』のあらましです。


所で、シレンが春海のベッドの中に居た訳は……。


隠密として就寝中のハル様をお守りしてたアルよ。

でも、私も眠ってしまったアルよ。

寝ずの番あるあるアルよ。


だそうです。

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