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【書籍化&コミカライズ】もふもふの神様と旅に出ます。神殿には二度と戻りません!  作者: 四季 葉
第四章 結界の揺らぎ

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次なる目的地へ

フィヌイはキョトンとした顔をすると、


――あれ・・ひょっとして、まだ言ってなかったっけ・・?


ティアをつぶらな瞳で見つめると、可愛く小首を傾げたのだ。

・・あ、これは言ったつもりで忘れていたという、いつものパターン。


ちゃんと言わないとダメですよと・・注意しなければいけないんだが・・

白くてもふもふなうえに、可愛いのでつい許してしまうのだ。自分でも甘いってわかっているんだけどね。


「もう、ダメですよ・・フィヌイ様。そういうことは今度からちゃんと言ってくださいね」

――ふふふっ・・ごめんね。次からは気をつけるから、


子狼の頭をなでなで、もふもふを堪能するとつい頬が緩んでしまう。


――うふふふふっ

「えへへへへ・・」


会話の内容はわからないが、こいつらの雰囲気からお気楽な話をしているのだろう。

ラースはぴくぴくしながらこめかみに手をあてる。

こんなのと、これから先も付き合っていくのか!そう考えると頭が痛くなりそうだ。


「本当にこいつら大丈夫なのか・・!」


正直、本気でまともな神にでも祈りたい気分だ。




――それじゃ、次の目的地を発表するね。


ブラッシングも終わり、フィヌイ様は大きく伸びをし身体をほぐすと、話しを始めたのだ。


――次の目的地だけど、このまま道なりに東に向かいシェラー村を目指すよ。

「シェラー村ですか・・?」

「なんだと――!!」


聞いたことのない村の名前にティアは首を捻るが、

ラースは驚きを隠せないでいた。


「知ってるの?その村のこと・・」

「ああ、そうだな・・」


この男にしてはなんとも歯切れの悪い答えだ。


――シェラー村の近くにはザイン鉱山があって、そこでは綺麗な青い宝石が取れるんだ。

その宝石は僕の神力との相性がいいし、それを使ってティアにお守りを作ることができる。それともうひとつ目的がある。

「もうひとつの目的っていうのは?」

――それは、村に着いてから話すよ。複雑な話だから実物を見せながら話したいんだ。


フィヌイ様は尻尾をひと振りすると、それ以上は話さなかった。


「そういうことでラース!次の目的地はザイン鉱山の近くにある、シェラー村だってさ」

「ああ・・」


また生返事だ。一体どうしたというのか・・

だが、いつになく真面目な顔でラースはティアを見つめると、


「ティア、俺は反対だ。どうしてもそこを目指さないといけないのか?」

「どうしたの?いったい・・」

「あそこは・・国の統治が行き届いてない場所だ。危険すぎる・・また、命を狙われたらどうするつもりだ!」


ティアは振り返るとじっとフィヌイの目を見つめたのだ。

青い瞳は澄んでいて、寂しそうに嫌だったらそれでもいいんだよと言っている。


「ごめん・・次の神託がそこなら私、行ってみる。ラースは嫌だったら無理についてこなくてもいいから」

「・・! わかったよ。ついていけばいいんだろ!ついていけば・・」


ティアの言葉に根負けし、ラースはそっぽを向いたのだ。

だが嫌そうな言葉とは裏腹に、彼は頭の中ではすぐに切り替えていた。次に、どう動くべきかを考え始めていたのだ。

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