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壊れかけた世界で死神は抗う  作者: 黒い水
白髪の少女
25/28

腹を切らせて、頭を砕く

能力を権能と書くようにします


統一してなかったので

僕には、もう彼を殺せない。

ただのエゴだ。

何も知らなければまだ違ったのかもしれない、だけど知ってしまったんだ。


でも


「死んでやわけにはッ.ぃかねえぇよ」

自殺で失われるはずだった命だ。

サリエルと共有されてしまった命だ。

こんな所で、無駄遣いは許されないのだ。


血が送られない頭で、覚悟は決めろ。


そして、ぐちゃり、と内側から肉がつぶれる音がした。

「なるほど、考えましたね。ですが荒業過ぎでは?」


心臓を再生させるために、体内の槍の位置を動かす。


能力で、半透明の塊を、槍と肉の隙間に生み出す形で、だ。


傷口から、肉を爪で抉り出すような痛みが走り、左の肺が文字通り押しつぶされる。それでも、心臓の位置にあった異物をどかせた。


2秒ほど、だっただろうか。血が、体にめぐる。

心臓が再生した。


鎖骨が外れ、使い物にならなくなった左半身を気にも留めず、右手で突き出た槍を握りこむ。


「させないよ」

白石の斧が、首めがけて振り下ろされる。


「死ねねえんだよ、この命は僕だけのものじゃないからっ!」

半透明な物を動かす、イメージはガンダムのファンネルだ。

斧をはじくと同時に、痛みが頭をたたく

それでも、槍を握りこむ力は抜かない。

「悪魔、手を離せ」

「だから私は、悪魔じゃありませんよ」

白コートの小さな姿が、自分から離れる。


体から槍を引き抜く。


「あわせろ」

「わかりました」


白石が斧を少女に渡して、血から刀を作り出す。

そして二人が一緒に走り出し、武器を振り上げる。


刀は正面から縦振りに。

斧は右側から横振りで。


左半身は、鎖骨が砕けたため力が入らずあと数秒は使い物にならない。

だけど、

「槍が、こっちにはあるんだよ!」

両手で持てないからと言って、槍が機能しないわけではない。

長いものといううだけで、使い方はいくつでもある。

ブン、と

バットでも降るように、白石の刀の側面に槍をぶつける。

刀と槍が砕ける。血の結晶がばらばらと視界にちらつく


そして...


腹部に激痛が走った。


腹が裂けた。

「...どうして?」

腹を裂いた張本人である白いコートを着る少女の声が、疑問形なのも無理がない。

小暮夕英が、権能で防がなかったからだ。


しかし、その疑問はすぐに解決する。

カン、と鉄と硬いものがぶつかる音を耳が拾う。


攻撃を防ぐのに使わなかった権能はどこに行ったのか...。


彼の権能はその場に固定されるのではなく、動かすことができる。ガンダムのファンネルのように、ある程度自由に動かすことができるのだ。


つまり、だ。何が言いたいのか、それは...


落としたものを、小暮のもとに持ってくるぐらいはできるということだ。


左手が拳(・)銃(・)をつかんだ。


左半身はもうすでに治っている。

至近距離で、外すわけがない。



爆音と血が爆ぜた。

残り23発。

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