バルバトス
ハロー!ぐっとイブニング!
1000人超えた~ヒャッハー!!こんな、グダグダしてしまっている小説読んでくれるなんて感謝です!!
いや、神様です(?)!!
次は目指せユニーク1000越え!
結末うだうだ悩んでたら、遅くなっちまったぜ!
次の話の投稿は後になるかも
「はあ、はあ!」
クリスタルのような少女を背負いながら、全速力でどれだけ走ったのだろうか。
息がとぎれとぎれになり、苦しい。
でも、逃げ切れたのかは、わからない。
だから止まることはできない。
命がある限り、止まることなんかできない。死んでやるわけにはいかない。
だから再び、足に力を籠める。
ここは、敵の箱庭のようなものだ。安全なんてない。
だから、進まなきゃならない。白石からできるだけ離れないといけない。
前を向き、踏み込む。
そして、滑った。
「あぁ!?」
少女を背負う背中から、落ちそうになったが、無理やり踏ん張り前かがみになる。その無茶な挙動により、バランスを完全に失い、勢い良く前へ倒れこむ。
不幸なことに、前方は段差だった。下の段差である。
加速時間が延び、威力が上がるよ!やったね!ふざけんなあ!!
少女を背負っているため、手で受け身は取れない。
顔から地面にダイブすることになった。
「べっは!」
さらに最悪なことに、泥のようなものの中に頭から突っ込んだ。
『ねえ、...大丈夫?』
自分が背負われていることによって、降り注がれる理不尽な不幸に見かねたのか、背中から少女が降り、横から心配の声が聞こえる。
「大丈夫..だ」
軽く目まいはするが、傷そこまで深くない。すぐ直るだろう。
「俺よりも、お前は大丈夫なのか?その腕。」
クリスタルのような少女の砕けた腕を見る。
一度、弾いたはずの斧にやられた傷。
砕けた部分が、鋭くギザギザで痛々しい。
『いや、これは見た目よりは大丈夫だ。だけど...何かが漏れている。ほら、ここ見て。』
傷口を見せるようにこちらに向ける。
「っ!」
中は空洞だった。
しかし、
「こな?」
『でしょ?、なんか粉っぽいものが、ぽろぽろと浮かんでいくんだよ。痛くも、苦しくもないのになんか不気味で...』
金色に輝く粉のようなものが、どこからともなく傷口に漂い重力を無視して浮かび上がって消えていく。
何かが失われているようで、なんというか不安になる。
あとから、取り返しのつかないことに、なりそうに見えるのだ。
「と、とりあえず。」
ポケットから、ハンカチを取り出す。
それで、傷口を覆っておこうととして
「あー」
ハンカチは真っ赤に染まっていた。というか、血でぐしょぐしょだ。滴り落ちてさえいるかもしれない。
当たり前といえば、当たり前だ。
どんだけ、体を白石にぶった切られたと思っているんだ。
「...これで、大丈夫?」
『覆えるような布なんて、もうそれぐらいしかないよね』
「ごもっともです」
ハンカチをささっと傷口に、切断面にかぶせて結び応急処置(?)をする。
『そっちは大丈夫なの?』
「え?」
『あの不透明な何かと、その負荷だよ。』
「ああ、それはもう治った、けどこの不透明な何かはよくわからないんだよ。」
目をつぶり、右手のひらに四角いキューブを意識する。
どこともなく、脈絡なく。
その不透明なものは出現する。
『...見えずらい』
「そりゃそうだよ透明だもん」
まわれと命ずれば、そのキューブは回る。
しかし、
「うっぷ」
なぜか、気持ち悪さが突然発生する。
「な、んか、これ自分と痛覚や感覚がリンクしているみたいなんだよ。」
その不透明なキューブを回すのをやめれば、すぐに気分は元に戻る。
「それに一個しか出せないし」
左手に、野球ボールぐらいのものをイメージする。
その瞬間、右手にあったキューブは消えてしまう。
『使いにくい能力みたいだね』
「そうだね。」
『..これからどうする?』
「どうしようもない」
問いに、答えで返せない。
白石に勝てるビジョンがない。
有効手段がない。勝ち目がない。
あの能力はあまりにも、攻撃に特化しているのだ、過剰と言えるぐらいに。
ふと、この少女が殺されたと勘違いした時のことが、頭によぎる。白石を殺したいと願った時のことを。
あの時僕の周囲に、黒い靄のようなものが漂よわなかったか?
「なあ、能力は願いや感情によって変化するのか?」
『ああ、能力自体は変化しないが、運用の方向性は決まる。何かを生み出す能力があるとしたら、何を生み出すかが契約者の願いや感情によって変化するんだ。』
「まじか。」
違うと思っていた答えが正解だといわれたような衝撃を受ける。
そこで、違和感が生まれる。
「あいつの願いは、子供をよみがえらせること、だよな」
それにしてはあまりにも、攻撃に特化しすぎていないか?
それに、
「自傷や傷つくことが発動条件っていうのは、まるで...」
「いや、まさか...な。」
浮かび上がった、その馬鹿げた答えを振り払う。
手持無沙汰と何とも言えない、気分の悪さに石をける。
蹴った石が、自分が顔を突っ込んだ黒い泥の水面を飛び跳ねる。
そして、
ガン、と金属にぶつかる音がした。
何もない空間に、ぶつかったのに、だ。
「は?」
その奇怪すぎる現象に、目を見開きその石の着弾地点に走る。
『あ!小暮!』
数メートル先の場所、近づく必要もなく目で何もないことがわかる距離。
だけど何かがある。
手さぐりにその場所をまさぐる。
何か箱のようなものの、感触がある。
そして布ような感触も
「光学迷彩の布?」
2か月前にいなくなった軍の装備。それがこの亀裂の中にあった。
「どういうことだ?白石が持ち込んだのか?」
『それはない、白石...契約者は亀裂の中から出てこられないんだ。そして、周りを見てみて。あなたが見つけたその『何か』の近くの木の後ろに何かいるよ。』
「え?」
言われたまま、木の後ろをのぞき込む。
そこには
「これは、アーマー?でも...
空っぽって...装着者はどこに行ったんだ?」
そこには、腹部の装甲が貫通した。
中身が空っぽの、アーマーがあった。
足元の泥を踏み、近づく。
ヘルメットが、だらーんと地面についているアーマーの右手の部分に転がっている。
左手には、
「スマホ?」
スマホが握られていた。
それを拾う。
電源を入れれば、パスワードが設定されていないのか、ホーム画面に直行する。そして、動画が始まった。
このアーマーの持ち主の経緯と願いを教えられた。
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「なんだよそれ。」
『小暮...』
この人に非はない。というか、尊敬さえ感じる。死ぬ直前まで他人のことを、迷い込んだ人のことを考え動画を残し。
子どもの未来を願っていた。
神の力。それが何なのかわからない。加護とは何なのかも知らない。
でも、そのことにイラついているのではない
だから、彼が怒っているのは、気に食わないことは。
「見捨てたなッ!」
「政府の奴ら僕らを見捨てて、見殺しにするつもりだったんだなあ!!?」
2か月の地獄。
一つの町の人口がたった一人になるぐらいの地獄の戦場。
それがすべてだと思っていた、安全地帯なんてないと思っていた。
あったのだ。
安全地帯はあった、しかし、そこにいる人間が権力を持つ人間が政治家が救出を諦めただけのことだったのだ。
「ふざけんな!ふっざけなぁあああああ!?」
血がまき散らせられる光景を覚えている。
友達が肉塊になる過程を覚えている。
窓や扉が家が砕かれる音を覚えている。
生命の激痛の叫びと、それが急に停止する間隔を覚えている。
母親が木の化け物に貫かれる光景を覚えている。
人が血液を吸い取られ、ミイラになり植物へと成り果てていくのを覚えている。
そんな人を助けれず、逃げることしかできなかった苦しみを覚えている。
そんな地獄が記憶に染み付き消して薄れないことを知っている。
「あんな!あんな...地獄からッ...救い出そうとしてくれなかったのかアア!」
この怒りは、きっと八つ当たりだ。
彼は知っている、軍が多くの犠牲が出ていたのを。
一よりも100を救わないといけないことを。
だけど、許せない。
あの地獄を知らない人間が、救わない決断をしたことを。
『小暮。』
「わかった。わかってる!」
ここで、泣きわめいている時間はない。
泣くのは後だ。
いまは、泣いて喚いて怒ることができる未来を作るのが先だ。
「バルバトス」
手にある透明な箱。横1mほど縦30chほどの大きな箱だ。
光学迷彩をはぎ取る。
その箱は、錠前やデジタルな鍵はなく。二つの箱を、板を結ぶ、長い鉄の棒が横に穴を通るようにあるだけだった。
それを引き抜き、箱を開ける。
そこには、
「対物ライフル...??」
語尾がはてなになったのは、確信が持てなかったからだ。
なぜなら、
『なんというか、これ。光線でも撃てそうだね』
その銃には、から薬きょうの排出口や、マガジンは一切なく、引き金の近くにある、デジタルナメーターに1とだけ写っていたからだ。
『説明書見つけたよ~どれどれ?「エネルギー圧縮遠距離狙撃試験実用銃」愛称「バルバトス」新しいタイプのエネルギー「神の血」...なにそれ?まあ、いいや。を使い一切の自然界の影響を受けない対化け物の狙撃銃の試験機、らしいよ。普通の銃と同じように引き金を引けば打てるって。』
「あ...ああ」
なにそのSFみたいな銃...。
SFみたいな武器や、装備は見たことあるけど。
あくまで近未来の代物だ。
ここまで未来感の突出したものは見たことない。
「遠距離は手に入ったけど...」
『一発じゃあね~どうしようもないかな。』
「だな。」
避けられてしまえば終了だ。
「……俺がおとりをする」
『本気?』
囮をする理由は明白だ。
だけど、少女は聞き返す。
『私は、もう助けに行けないよ』
「このままだと、サリエルが死んで僕も死ぬ。それならどちらも死なない方を選ぶ」
アーマーの右足から拳銃を取り出す。
弾丸は一発も減っていない。
かわいそうな被害者はいないようだった。
「もらっていきます。」
『私はどこに行けばいい?』
「あの草原に行く、あいつと話をしたあそこだ。草むらにでもいてくれ」
銃のセーフティを外す。
決着の時だ。
読んでくれてありがとうございます
ご都合主義は嫌いなのですが、これはご都合主義かもしれない。作者にアイデアがないのが少し悲しい。
次も読んでくれ!




