木製の亡者
すまん
戦闘はもうちょっとしたら
「うーん、化け物化け物そんな風にずっと言われるのは、さすがに嫌ですので私の名前、伝えておきますですー」
月明かりの下
足をぶらぶらさせながら
大木の枝の上に座る、だるんだるんな萌え袖の服を着た、見た目が半分だけ、人間の少女。もう半分が、木のマネキンのような物。
髪型は金髪のショートヘアで緑の瞳を持つ女の子はそう言う。
「へー、化け物に名前なんかあるんだー。」
僕の隣にいる。
白のジャージを着たツインテールの少女は、血のような赤い目をギラリと光らせ。
ギザギザな歯で三日月を作り、嘲笑うような口調でそんなことを言う。
「あのですねー!私だって名前ぐらいあーりーまーすよー。名乗っていないだけですよー?」
よいしょ、っと
女の子の姿をした化け物は木から飛び降りる
そして一呼吸の後
「..私の名前は...ガオケレナ。神が作り出した12の玩具のうちの一つです。朝日が昇るまで、あなたたちが死ぬまで覚えておいてくださいね」
礼儀正しく、お辞儀をしながらそう言った
「神人のうちの一人、サリエル。お前を殺す名前だ覚えておけ」
「...え..あっ、契約者の小暮夕英です!」
お辞儀が令嬢のようで意外と様になっていた事と、サリエルが名乗るとは思わず。テンポが遅れてしまう、そして緊張によって声の高さが変に上がる。
恥ずかしくなった。
二人ともやめてください。そんな目で僕を見ないで
...サリエルをかっこよく(?)説得したあと、シリアスブレイクするとか、ものすごく恥ずかしくないか?
やばい、泣きたくなってきた。
「...あー、なんか調子狂いますですねー」
ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!
顔が羞恥で熱くなり、心の中では謝罪を繰り返す。
最終決戦、みたいな感じなのにシリアスが一気に霧散する。
目をつぶり、溜息を吐き、落胆するようなしぐさをしながら。
「まあ、不意打ちにはもってこいなんですが」
瞬き、よりも早く
大木がうごめき
大きな花が咲き
光が放たれた
その光の強さは、認識してしまえば視神経が焼き切れる。
その光の速さは、認識を許さない。
誰も光を認識できないまま
全てが光に飲み込まれ
「...不意打ちとはひでえなー。おい」
なかった
「ふーん。赤い鏡、かー。それが、あなたの能力?」
遅れて、何かが蒸発する音と、熱が空気を焼いた音が聞こえる
「これは...」
いつ現れたのか。
赤い鏡が、僕たちを囲うように展開されていた。
「お前が踏んだやつだよ。忘れたか?」
その赤い鏡は折りたたまれるように小さくなっていく。
二人を囲うほど大きかった。鏡は、大きさ厚さともに手鏡サイズになる。
鏡に囲われ見えなかった視界が開かれる。
そこには
自ら出した光の反射によって、丸くえぐられた大木があった。
「あーあ、あの光が跳ね返されるとは。あれで、仕留めたかったんですがねー。やっぱりそう簡単に終わらせてくれないです。めんどくせーです」
頭をポリポリと、かく
少女が鎌を構え
「めんどくさくてわりーな。安心しろお前を殺してすぐ終わりにして
「でも、各地に散らばっているこいつら、を集められたからいいとするです。」
その時
こつん、と、アスファルトに硬いものがぶつかる音がした。
背筋が冷える。
知っている。こんな夜中にこの音を出す存在を
振り返り、音が鳴った方を見る
そこには
「たす..けて」
そう聞こえ|るような《・》音を出す
兵士を虐殺していた。
父やお母さんを殺した。
口元に不気味な笑みが彫られた、木製のマネキンのような化け物が
「たすけて...」「に…がして」「ころ...して」「しにた..くない」「ああ...あ」「なん…で」「いきた..い」「おか..あさん」「し..ね」「あは..あはは」「もう..いや」「すくっ…て」「おに..いちゃ..ん」「ち..が」「いた..い」「くそ..」「こんな..」「い..やだ」......
何体も何体も
見たこともないほど
数えられないほどに
いた。
文章は難しい
小暮夕英はいつか過去編書く