SS 万年氷を探しに 1
書籍設定となります
※二年の最初からブラッドはリスター生。
一応マルスのステータスはこんな感じ
【名前】マルス・ブライアント
【称号】雷神/風王/聖者/ゴブリンスレイヤー
【身分】人族・ブライアント伯爵家次男
【状態】良好
【年齢】十三歳
【レベル】41
【HP】273/273
【MP】10844/10844
【筋力】180
【敏捷】187
【魔力】250
【器用】213
【耐久】179
【運】30
【固有能力】天 賦 (LvMAX)
【固有能力】天 眼 (Lv11)
【固有能力】雷魔法 S(Lv13/20)
【特殊能力】剣 術 B(Lv13/17)
【特殊能力】体 術 G(Lv4/5)
【特殊能力】火魔法 E(Lv8/11)
【特殊能力】水魔法 F(Lv6/8)
【特殊能力】土魔法 E(Lv9/11)
【特殊能力】風魔法 A(Lv17/19)
【特殊能力】神聖魔法 C(Lv9/15)
「うわぁ~、真っ白ぉ~」
白い呼気とともに、ミーシャが目の前に広がる銀世界を眺めて感嘆のため息を漏らす。妖精族特有の長耳を赤く染めながら。
「私もこんな雪景色初めて……マルスは?」
「俺も初めてだ。デアドア神聖王国の最北端がこうなっているなんて……」
クラリスの問いに答え、改めて雪が積もる前方を見渡す。
今俺たちがいる場所は、デアドア神聖王国のほぼ最北端。こんな場所まで足を運んだのには理由がある。聖都エルハガン防衛のクエストを受けた際、リーガン公爵から余裕があればと、『万年氷』というものを取ってきてほしいと頼まれていたからだ。
万年氷とは、中央大陸の最北端――デアドア神聖王国の最北端でもあるノスフェル村の先に聳えるニヴァリス山の麓で採掘できる、かなり希少な鉱物だ。少量の魔力で周囲の気温を下げられるという優れもので、主に魔冷庫に使われると聞く。
「ここから先は馬車での移動は無理そうだな。近くの村に停めて徒歩で行くか」
万年氷の流通が少ないのは、希少というだけでなく、運搬手段が限られるせいでもある。今は夏のはずなのに、肌を刺すような凍える寒さ。だから、必然と――
「……獣人……寒い……無理……マルス……ぎゅっ……大丈夫……」
言い訳を先に並べてからエリーが抱き着いてくる。誰に言い訳をしているかといえば、もちろんクラリスだ。
「もう、エリー! 魔物がいたらどうするのよ!」
そう言いつつも、クラリスは強引に引きはがそうとはしてこない。注意しながらも、いつの間にか肩が触れるほど近くにいる。そこへミーシャとアリスも寄ってくる。
「やっぱりマルスの近くはあったかいよね!」
「先輩から離れられそうにありません!」
二人がそう言うのは、俺が火魔法で周囲の温度を調節しているからだ。とはいえ、MPは有限。さほど暖かくはできていない。途中の街で買った防寒具なしでは、とっくに凍えていただろう。そんな極寒の中、さすがのクラリスもタイツを膝上まで上げて寒さに対策を講じている。が、その絶対領域が逆に視線を奪う。
それは俺だけではなかった。
「おう、俺も獣人だからさみぃや! ここは姐さんの生脚の温もりで――ってあっちぃ!」
ブラッドがクラリスに近づこうとした瞬間、精密にコントロールされた火の玉が二人の間に割って入る。
「あら? 寒いのでしょう? この火に当たっていいのよ? それにブラはよく燃えそうだから、いい燃料にもなりそうだし……」
カレンの瞳に、じわりと灯がともる。
「わ、悪かった! 後生だ!」
こうして、俺たちはくるぶしが埋まるほどの雪道を北東へと歩く。
もっとも、カレンの《ファイアボール》が先頭を切り開くおかげで、俺たちが踏みしめるのは雪が溶けた後の水たまりだけだが。
しかし、進めば進むほど雪は深くなり、場所によっては膝の高さにまでもある。
それを見ていたミーシャがしびれを切らす。
「せっかくの雪だもん!」
そう言うやいなや、雪の上にダイブ。クラリス以外の女性陣はスカートの下にパンツを着用しているため、パンチラを警戒する必要はない。ぼふっという音とともに、綺麗に埋まる。
そして、何を勘違いしたのかこの男もやる気だった。
「ミーシャ! 気持ちはわかるぞ? お前も寒さに耐える訓練をしているんだな!? 俺も負けていられない!」
極寒の中、バロンが制服を脱ぎ捨て、上半身裸で雪の上にダイブ。見ているこちらが寒くて風邪をひきそうになるが、本人はまったく意に介していない。
「これはやばいな! 火攻めと氷攻めを交互に食らったらひとたまりもない! マルス、お前も今のうちに慣れておいたほうがいいんじゃないか?」
そう言われると、そんな気もしてくる。こんな機会は滅多にない。
が、クラリスとエリー、アリスの三人にがっちりとしがみつかれる。
「ダメよ! 寒いのは全部カレンがなんとかしてくれるから!」
「……うん……! カレン……火の化身……大丈夫!」
「先輩が冷たくなったら嫌です!」
確かに……この状況をみすみす手放すのは愚の骨頂。ここは思いとどまることにする。ミーシャを新雪の中から引っ張り出して、先を急ぐ。一方、バロンはミネルバに鎖で巻かれ、愉悦の笑みを浮かべながら引きずられている。
バロンの扱い……雑になっているような気もするが、そこは二人の仲なので介入はしない。
歩くこと数時間、ようやく最北端の村――ノスフェルに着く。
「リーガン公爵は人が多い場所だと言っていたけど……全然いないわね」
クラリスの言う通り、村人は誰一人外に出ていなかった。
それどころか、村の中だというのに除雪すら済んでいない場所がある。
「そうだな。まずは宿を探そう。あと、冒険者ギルドもあればいいが……」
村の敷地は比較的広いが、建物の数は少ない。雪を踏みしめた跡を頼りに、人が集まっていそうな場所へと向かうと――まず見つけたのは冒険者ギルドだった。村で一番立派な建物だったため、すぐに目に留まった。
暖を取ろうと、向かう足も自然と速くなる。重厚な扉を開けた先には、一人の女性職員がカウンターの向こうにぽつんと座っているだけだった。
冒険者は人っ子一人いない。
そんな中、俺たちを認めた女性職員が「ふぁっ!?」と間の抜けた声を上げ、勢いよく立ち上がった。
「も、もしかして、皆さんは冒険者の方々ですか!?」
「はい、僕たちはリスター国立学校の生徒です。【暁】というクランを結成しており、僕はクランマスターのマルスと申します」
「クランですか!? どうか、引き受けていただきたいクエストがあるのですが!」
大分切羽詰まった様子だ。
「協力できることはさせていただきますが、僕たちにも目的があってここまで来ました。万年氷というものを採取してきてほしいと頼まれているのです」
「――っ! 万年氷! まさしく私が引き受けてほしかった依頼も、ニヴァリス山に関わることです!」
詳しく聞くためにカウンターへと近づくと、女性職員が俺の手を両手で握ってきた。クラリスの表情が一瞬険しくなり、エリーからも鋭い殺気が飛ぶ。が、職員は構わず熱弁を振るった。
「ニヴァリス山は鉱山資源が豊富で、鉱山労働者はもちろん、冒険者までもが採掘業を営んでおりました。ところが去年になって、山の一部が迷宮化してしまいまして。とはいえ迷宮の魔物は非常に弱く、ペーパー冒険者でもパーティを組めば、浅い層なら無傷で帰って来られるほどのものだったのです。ただ、その迷宮には一つ、際立った特徴がありました」
「特徴?」
「はい。転移陣があるのです。嘆きの塔から天大陸へ行くのと同じような転移陣が。もっとも私も、嘆きの塔の転移陣を実際に見たことはありませんし、冒険者や鉱夫たちも同様でしたが」
転移するだと?
俺がイルグシアからグランザムに跳んだときのようにか?
「しかもそれが、一つ二つではないのです。いくつもの転移陣が点在しておりまして。それでもペーパーたちが無傷で戻って来られるような場所だったのですが……ある日突然、迷宮に入った者が誰一人戻って来なくなったのです。不審に思った者たちが次々と挑んでは――」
ミイラ取りがミイラになった……というわけか。
「冒険者がいないのは分かるのですが、鉱夫たちは今どこに?」
「鉱夫たちも、冒険者がいなくなったのを心配して見に行ってしまい……」
「ってことは今、中の様子がどうなっているのか分からないということですね?」
「はい……お願いします! 調査しに行ってはくれませんか?」
俺の手を握る力が一層強くなる。
冒険者のためとはいえ、かなりの熱量だ。責任感ゆえか、それとも――
すると、職員の声が震え始めた。
「私の婚約者が……この辺りで一番の冒険者を連れて中に行ったきりで……」
「ギルド職員がですか!?」
「はい……元々は冒険者だったのですが、怪我をしてギルド職員に転じたのです。責任感の強い人で、この村のギルドマスターを務めていたのですが……」
なるほど。だからこうも必死なのか。
皆の確認を取ろうと見渡すと、全員が頷いていた。その目には覚悟が宿っている。
「分かりました。明日潜ってみます。地図などはありますか?」
「――っ!? 本当ですか!? あります! 今用意しますからお待ちください! あと、宿の手配も私がしますので、皆さんは明日への準備をお願いします!」
こうして俺たちは、ニヴァリス迷宮攻略に向けて準備を始めるのであった。
現在、『転生したら才能があった件7』の執筆中です。
もしかしたら完結までいけるかも!?
と、淡い期待を抱いてたりします。
かなりストーリーの展開が違うので、電子書籍の方も買っていただけると嬉しいです!
また、新作も投稿しています。
自信作なので16話までは見てやってください!
きっと『にやっ』とするはずです!!!
宿星 〜遥か天頂を目指して〜
https://ncode.syosetu.com/n5275mc/
熱い少年の生き様に刮目せよ!
どちらもよろしくお願いします!










