第1話 食欲のわかない朝。
二話目。
コトコトと沸騰するお湯と共に、豆腐が踊り始めている。おたまで味噌を溶けば香りが立ち鼻腔をくすぐらせる。火を弱火にして煮立っていたお湯を落ち着かせて朝の光を浴びるためにカーテンを開ける。
しかし、俺は今日完全に顔が死んでいると自覚している。夏バテにかかっていた。食欲が一切湧かない。ホント、梅雨が明けても湿気のある暑さが襲ってくるのは反則だろ。
「あぁ~。きっつい、何でこんなに暑いんだよ。エアコン点けてもムシムシする……。って、そろそろ風音来るか。」
誰もいない部屋で独り言をぽつり吐き捨てると同時に、インターホンが部屋の中に鳴り響く。
『颯~あ~つ~いぃ~!!!』
「分かったから。鍵開けるから待ってろ。」
風音のだだっこ声が頭に鳴り響く。俺は、背中を書きながら玄関に向かい鍵を開けに行った。
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閑話休題《朝ご飯の時間》
「おはよっ、颯。ご飯早く早く!!」
「相変わらず元気だなぁ。分かったから、大人しくしてろよ。」
「は~い!!」
風音の元気な声がふたりきりの部屋に響く。ホント元気だな、しょっちゅう熱出すけど。一方の俺はこの暑さへ気が滅入っている。朝ご飯にもそれが出ていた。
今日の朝ご飯
麦飯
とろろ
山形のだし(クックパッドなどに掲載されてるで)
出汁巻き卵
ぬか漬け
豆腐とわかめの味噌汁
ホント、入学した時よりも手際がよくなったことに自画自賛をしたと同時に、何処か江戸時代感が否めないような食事だった。
まぁ、卵焼きが魚に変わってたら完璧にそうだったけど。そんなこたぁ、どうでもいいんだよ。
「なんか、今日のご飯はあっさりだね~。」
「あぁ、食欲が全く湧かなくてなぁ。気が付いたらするする行ける系の物に固まっていた。」
「颯、夏バテ?」
「ん、多分ね。……とりあえず、ご飯にしようぜ。」
「うん。」
「「いただきます。」」
手を合わせて、同じ言葉を口にする。一緒に朝ご飯を食べ始めて3か月くらい。この時間が何処か愛おしいものに変わっているような気がした。
箸を右手に取り、左手にとろろ麦飯の入った茶碗をもって、行儀悪く掻っ込み疲れている胃に何とか流し込んでいく。噛みしめる麦飯ととろろのもったりとしながらもあっさりした喉通りに舌鼓を打った。
「おぉ、食べっぷりいいね。さっきまで夏バテで顔が死んでた人とは思わないよ。」
「いやぁ、いざ目の前にご飯があると案外食べれるんだよなぁ。」
「すっごいわかるぅ~♪夏もだし、胃もたれとかした時もあっさりめなものがあると何故かするするいけるよね~。」
風音も同じ意見であることにブンブンと首を縦に振っていた。そんな姿を見ながら味噌汁を口に含んだ。
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閑話休題《気づけば登校前》
朝ご飯を食べて、腹を少し落ち着かせている。のんびりとしながら冷たい麦茶を片手に朝のニュースを見る。
学校に行くまでの少しの時間だけだが、その時間がどことなくあってほしいなと願っている。
「また、今日も見てる~。もう少しボクに構えよ~。」
「学校行ってからも話すんだからいいだろ?一人の時間をくれい。」
「えぇ~、か~ま~え~!!」
「はぁ、分かったよ。じゃあ、何するの?」
風音が駄々を捏ねてくるので、渋々対応する。年々甘えん坊になってきている気がする。偶に、目のハイライトが消える時がある。それだけは避けたい。あの時は、大変だった……。
「う~ん、膝枕!!」
「……あのさぁ、あと5分で家出るの。風音、膝枕したら寝るだろ。」
「うん?何言ってるの、颯。颯が膝枕される側だよ?」
風音の言ったことに俺は放心状態になっていた。いつもは俺が膝枕をする、と言うよりも勝手に膝に居座っている。しかも、そういう時に限って機嫌が悪かったり駄々っ子になったりするもんだから、困り顔しかできなくなるのだった。
そんな風音が突然膝枕するといったモノだから、何て返せばいいのか分からなくなった。
「な、何言って。」
「いやね、ボクにいつも膝枕してくれるでしょ?だから、たまにはお礼に……ね?」
「風音……良いヤツだなぁ。って、言いたいんだけどさ。時計見ようか。」
「あっ。」
「ほれ、出るぞ。」
この時の風音のきょとん顔が面白くてしょうがなかった。学校へ向かっている最中、ずっと脇をつねられていた。
俺は悪くない。理性を削ってきた風音さんサイドに問題があると抗議したい。
ここまでは、早いでしょ?
これに関しては、もともとnoteをやっているんですけど、そこで書いた短編のマイナーチェンジ版。
第二話は、も少し待ってくれい。
明日は書くタイミングが夜くらいしかないので、ちょっとね。厳しい。




