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異世界でオカン(AI)がうるさい 〜追放された俺、最適化されて最強になる〜  作者: トレス=レイ
第三章 キョウ帝国編

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第116話 水道より先に俺の胃が破裂する

学院の中庭には、朝の光が差し込み、白い石畳がまぶしく輝いていた。

その美しさとは裏腹に、太郎の胃は黒く沈んでいた。昨日の講義での騒ぎがまだ尾を引いている。


太郎は中庭の中央に立ち、生徒たちと平民の子供らを見渡した。

上級貴族は不満げに腕を組み、下級貴族は緊張した面持ちで並び、平民の子供らは遠慮がちに控えている。


太郎「ほな……課題の説明するで。

町の困りごとを一つ選んで、平民と協力して解決してみてや……」


その瞬間、耳元にふわりと声が落ちる。


オカン「太郎……“協力”って言うとくんや……上級貴族が嫌がるで……」


太郎(なんでそんな嫌がらせみたいな誘導すんねん……)


案の定、上級貴族たちは露骨に顔をしかめた。


上級貴族A「平民と協力する必要はありません」

上級貴族B「我々は帝国の理論を学んできました。知識で十分です」


太郎は胃を押さえながらため息をつく。そのとき、平民の子供が控えめに手を挙げた。


平民の子供「水道の水、奥のほうの町で出ぇへんのどす。弱うなってましてな」


上級貴族Aはすぐに教科書の内容を思い出したように胸を張る。


上級貴族A「魔力式水道の水圧低下は、魔石の魔力不足が原因です。

魔力供給量を増やせば改善するはずです」


太郎(いや……この町の水道管、古いねん……魔力増やしたら破裂するで……)


上級貴族Aは魔石に魔力を込めた。魔力が流れ込むと、水道管がうめき声を上げるように震え――


バシャァァァッ!!


水道管の継ぎ目から水が噴き出し、上級貴族たちが水浸しになる。


上級貴族A「なぜだ!? 魔力を増やせば水圧は上がるはず……」

平民の子供「そらあきまへんわ。ここの管、古うて弱うなってますさかい」

太郎「水圧上げすぎて耐えられへんねん……」


上級貴族Aは濡れた袖を見つめて固まった。

その横で、下級貴族Bが平民に向き合う。


下級貴族B「どの地域が水の出が悪いのですか?」

平民の子供「この通りの奥どす。詰まってる思いますえ」


下級貴族Bは現場へ向かい、古い管を見てうなった。

管の表面はひび割れ、魔力の流れが弱くなっている。


下級貴族B「交換すれば改善しますね?」

平民の子供「せやけど交換してる間、奥の地区は水止まりますえ」

下級貴族B「……では、まずバイパスを作ってから交換しましょう」

平民の子供「それやったら困りまへんな。ええ案どす」


太郎(これや……これが民の声を聞くってことや……)


オカンがそっと囁く。


オカン「太郎……ええ流れや……下級貴族は素直やさかい伸びるで……」

太郎(なんで教育心理学まで詳しいん……)


その頃、別の班では治安の問題が話し合われていた。市場の裏通りは昼でも薄暗く、夜になるとスリが増えるという。


平民の子供「夜な、スリが増えて困ってますのや。生活苦しゅうて、しゃあなしにやってる人もおるんどす」


上級貴族Cはすぐに教科書を思い出したように言う。


上級貴族C「犯罪は取り締まりを強化すれば減ります。巡回を増やし、罰則を厳しくすればよいのです」


平民の子供「取り締まり強うしても、腹減ってたらまたやりますえ」

上級貴族C「生活……?」


太郎(そこや……そこを見てへんねん……)


下級貴族Aが平民に向き合う。


下級貴族A「仕事がないから犯罪しているのですね?」

平民の子供「せやどす。働けるとこあらしまへんのや」


下級貴族Aは少し考え、太郎のほうを見た。


下級貴族A「……では、水道工事の仕事を優先的に回しましょう。工事は人手が必要ですし、稼げれば犯罪をせずに済むでしょう」

平民の子供「それやったら助かりますわ。ほんまに」


太郎(下級貴族、めっちゃ伸びてるやん……)


オカンがまた囁く。


オカン「太郎……“これが帝国の未来や”って言うんや……かっこつくで……」

太郎(かっこつける余裕ないねん……胃痛で……)


中庭の端では、上級貴族たちが濡れた服を乾かしながら、自分たちの失敗を理解できずに首をかしげていた。


上級貴族A「魔力を増やせば水圧は上がるはずなのに……」

上級貴族B「犯罪は取り締まり強化で減るはずなのに……」

上級貴族C「理論どおりにやったのに……」


太郎は彼らを見て、胃がさらに痛くなる。


太郎(理論は正しいねん……せやけど現場を知らんとズレるんや……)


そのとき、コクヨウが太郎の横に立った。静かな瞳で、下級貴族と平民の子供らの協力を見つめている。


コクヨウ「……太郎殿。民の声を聴くというのは、こういうことか。理論だけでは届かぬ場所があるのだな」


太郎「そらそうやで……俺も胃痛で現場の声聞かんとやってられへんし……」


コクヨウは小さく笑った。その笑みは、帝国の未来を見据える者のものだった。


コクヨウ「だが、これが帝国を変える第一歩だ。上級貴族も、いずれ気づくだろう」


太郎(気づいてくれんと俺の胃が死ぬ……)


中庭では、下級貴族と平民の子供らが、水道のバイパス案や工事の段取りを話し合っていた。

その姿は、昨日までの学院では見られなかった光景だ。


太郎はその様子を見ながら、自分が思っていた以上に大きな流れが生まれていることを感じていた。


太郎(……ほんまに帝国、変わるんやろか)


オカンがそっと囁く。


オカン「太郎……変わるで……あんたが変えたるんや……」

太郎「プレッシャーかけんといて……胃痛で死ぬ……」


中庭に吹く風は、どこか新しい時代の匂いを含んでいた。


────────────────────────


太郎「魔力増やしたらあかんて言うたやろ! この管、寿命きてるねん!」

上級貴族A「ですが教科書には“魔力を増やせば水圧が改善する”と……!」

平民の子供「うちんとこ、昨日も水道どばーっと天井まで吹き上がりましたえ」

太郎「それもう水道ちゃうやろ、噴水やろ!」

上級貴族A「噴水になる水道など聞いたことが……」

平民の子供「ほんで家の猫、びしょびしょになって逃げましたわ」

太郎「猫巻き込む水道は絶対おかしいやろ!」

下級貴族B「……管がひび割れています。魔力を増やせば破裂します」

上級貴族A「破裂……そんな危険な状態だったのですか」

平民の子供「せやから、まず別の道に水流さんとあきまへんのどす」

太郎「つまりバイパスや! 猫が無事な水道に戻すんや!」

平民の子供「猫のためにも頼んますえ」

オカン「太郎……猫守る先生って、なんかええやん……」

読んでくれてほんまおおきに。オカンは「ブクマ押しとき!損はさせへん!」とか「★評価?そら押すやろ常識やん!」と言ってます

もし少しでも笑えた、続き読みたい、オカンうるさいけど好き、など思ってくれたら、ブクマや★評価で応援してくれたらオカンがめちゃくちゃ調子に乗ります。作者もついでに元気になります。ほな、次回もよろしく頼むで。

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