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43話. 魔法石が揃うとき、王国は目覚める──魂と血に宿る継承の証

王宮の裏側って、もっとこう……豪華な晩餐とか舞踏会とか、きらきらしてるイメージだったのに。

現実は──

元婚約者の中身が魔物? 王族の魔法石が行方不明? ついでに魂まで乗っ取られてる!?

……というわけで今回は、ジョン様が深夜の王宮で【全部ぶちまけた話】です。

 *ジョン視点


 夜明け前の王室。

 謁見の間には張り詰めた沈黙が満ちていた。ルドルフ・エルトン国王は玉座にただ一人、灯火に照らされた厳しい表情を浮かべて座っている。その御前に、僕はひとり膝をついていた。


「……来たか。遅い夜だな、ジョン」

「申し訳ありません。陛下にしか、お伝えできぬ話です」

「……聞こう。執行官の正体、そして……エマール暗殺の件もだな?」

「はい──まず、お伝えしなければならないことは……エリザベス・ラングレーは、すり替えられていたと見られます。すでに〝人間ではない〟ということです」


「なに!すり替え、だと?誰と?」


 王はわずかに眉を動かす。


「リンダによる解析で判明しました。彼女は人型に擬態した〝魔物〟──いや、それ以上の、知性と魔導式を持った特級個体。すでに本物のエリザベスは……」

「……亡くなっている、のか?」

「おそらく。時期は不明ですが、十年以上前と思われます」

「リンダとやらの解析だけで確証できるのか?」

「間違いないかと……数々の〝不自然な変化〟と〝魔導能力の急激な成長〟、そして二面性の顔……」


 僕は少しだけ言葉を詰まらせ、視線をあげた。


「……あれを〝人間〟と判断することの方が、不自然です」


 重苦しい沈黙が流れたあと、王はようやく口を開く。


「……その〝偽物〟が、お前の婚約者として、我が王国の外交と権力の中枢に立っていたというのか」

「はい。そして、それはすべて〝執行官〟と名乗る男の計画でした」

「……ついに、そこまで入り込まれていたか」

「奴は、古代魔導の研究者であり、百年を生きてきた〝特等魔物〟とされる存在。王女を殺し、王太子の座を操作し、王国の支配構造すら書き換えようとしていた」

「……つまり、我が王家の根幹が、既に侵蝕されているということか」


 ジョンは深く頭を下げる。


「陛下、お願いです。僕にエリザベスの討伐許可を。王家の威信を守るためにも、この国の未来のためにも、あの存在を……放置してはなりません」


「──ふむ。だがそれだけでは、討伐命令は出せぬ。彼女は公爵家の娘であり、お前の婚約者でもある」

「承知しております、陛下。しかし……」


 僕は頭を上げ、正面から陛下を見つめた。


「彼女は、王都に災いを招く〝敵〟です。操られた騎士たち、エマール公爵の暗殺、そして王女を陥れた首謀者の一味……。

 僕は、王女処刑という取り返しのつかない判断に関わってしまった。操られていたとはいえ、それが許されるとは思っていません。──すでに、あまりにも多くのものが失われました。これ以上遅れれば、王家の誇りまでもが奪われてしまうのです」


 王は黙考する。玉座の上から見下ろすその眼差しは、試すようでもあり、何かを決意しかねているようでもあった。


 やがて──


「……その執行官という男については?」

「正体は未確定ですが、〝神級魔導〟を操る存在。〝特等魔物〟の一種と思われます。現在、行方を追っています」


「王女の魂──それも、執行官と関係しているとは考えられんか?」


「……!」

 一瞬、全身が強張った。

 ……まさか、陛下がそこまで──


「王女の魂……その件をご存じだったのですか?」


 王の声は静かに返る。


「……いや、確たる証拠があるわけではない。ただ、先日の葬儀でアリアナという少女を見たとき、奇妙な既視感があった。記憶でも気配でもない、だが──無意識に〝セリーナ〟を重ねてしまう何かがあるのだ。それに……彼女が身に着けていたブローチ。あれは本物だと、そう感じた」


──やはり、陛下も気づいていたのか。


「……アリアナの中に、セリーナの魂が宿っています。……本人の同意は得ていませんが、王女は〝完全に死んだ〟わけではありません。あのブローチが、魂の依代になった可能性が高い。……ですが、これはあくまで機密情報として、王宮内にも一切伏せております」


 王は目を閉じ、わずかに頷いた。


「分かった。外部には漏らすな。だが……それが事実なら、我らの血筋は、まだ絶えてはおらぬのだな」

「……はい」


 言葉をのみこむように、深く頭を垂れる。


「……それで、もう一つの〝魔法石〟の行方はどうなっている?」


──ハーリー王子の件だ。


「……いまだ執行官の拠点や実験場の所在は不明で、地上・地下を含めた捜索でも、明確な痕跡は見つかっていません。ただ、ごく微細な魔力の残滓が検出され──それが、ハーリー王子の〝石〟に由来するものである可能性は、否定できません」


「可能性か。だが、確証は……」


「ありません。むしろ、敵側も魔法石の在処を探している節があります。つまり、執行官でさえ完全には把握していないと考えるべきです。未発見なのか、あるいは第三者が保管しているのか……真相はまだ掴めていません」


 王は重く息をついた。


「……ハーリーとセリーナの魔法石は、対でこそ王族の核心。二つが交わるとき、王家にのみ継承される特異な魔力が目覚める。──それを失えば、王権の正統性そのものが崩壊しかねん。……直ちに、行方を追え」

「承知しました」

「そして……」


 その声が、重く、確固たるものになる。


「〝偽エリザベス〟に関しては──一定の根拠が示された時点で、処分の許可を出す。……だが、最後の一手は、お前の責任で下せ。いいな、ジョン」

「……はい、陛下。すべては……王家と、セリーナ王女の誇りのために」


 俺は拳を握り、深く頷いた。



ということで、

セリーナ王女(の魂)入りの私を見て「娘に似てる」とか言われたんですが。

あのぅ、ちょっと待って王様。私、実年齢18なんですが。魂のほうが年上なんですが!?(ツッコミ不在)

──さて、次は偽エリザベスに討伐宣言とか、やること山積み。

でも一番の謎は「ハリー王子の魔法石」……って、どこ行ったんだそれ? タンスの奥? 冷蔵庫?(※違います)

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