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悠久のクロスファンタジア 〜DUAL WORLD〜  作者: はとかぜ
第4章 死霊術師(ネクロマンサー)編
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第106話 魔法の意味

今日一日は、あそこで起こった事件で終わりだった。


やっぱりあんまり手応えがなかった。強さも、最低中級(ミドルクラス)ぐらいはほしい。


「それじゃ!また明日、この駅で落ち合うで!」


京武鉄道の弥子田(いやこだ)駅で、私と高宮先輩は、冬木さんと鷺沼さんの2人と別れた。




「行っちゃいましたね。家ってこの辺なんでしょうか」


「そうなんじゃない?私は全然興味無いけど」


時間はもう夕方だ。結局大して動いていないし、ストレスも全然発散出来なかった。


だから私は駅に沿った道を指差して、


「少し歩こう。私鉄だし、大して距離無いでしょ」




◇◇◇


太陽の光を受けた高層ビルのガラス窓は、キラキラと光を反射する。


このまま進めばすぐに壁に辿り着きそうだ。




「今日凄かったですよね、時雨さん」


「まあ、出来ることをやっただけだよ」


「普通の人はそれが出来ないんですよ」


真新しいアスファルトを踏み、私たちは夕焼け空を歩く。


目の前には、都市部と郊外を隔てる壁が見えていた。


「何で、そんなに魔法が得意なんですか?強い信念とかがあったりするのですか?」


「……あるよ。曖昧だけど」


私はそう言った。実際にそうだったから、嘘はついていないと思う。


今の私が強いのは、その信念を信じて、実現するためにずっと力を磨いていたから。


「やっぱり、そうですよね」


「高宮先輩は無いの?何で魔法同好会なんて、一人になってまで続けていたの?」


「ありますよ。大したものではないけれど」


すごく小さな高校3年生は、やはり幼い甲高い声でそう言った。


私たちは壁を抜けて、田園地帯が広がる郊外を歩いた。車通りは多かったけど、人はあんまり居なかった。


「境界事変のとき、最期に父が全力で魔物を足止めしてくれたから、私は逃げられたのです。私はあの背中をずっと目指しているんです」


「憧れ?」


「平たく言えば、そういうことです。私はあんな笑って他人を助けられるように成りたいんです」


「そう……私と同じだね」


◇◇◇




魔法の意味には人それぞれの想いがこめられている。


私と一緒の人たちだって、みんなそうだった。私自身も、意味が無ければここまで生きていることは無かっただろう。




入学式の時だった。


私は正治くんに出会った。実はあの路地ではなくて、本当は入学式の後に出会ったんだよね。


『……もしかして……どこかであったことありましたか?』


最初は意味がわからなかった。その時は否定したけど、


考えていくうちに次第に私は正治くんのことが気になっていった。


私がこの学校を選んだのは、ただの運だった。適当に選んだらここになったってくらいだった。だけど、


彼とは、あのあと寮の入居準備のとき、路地で出会ったっていうのもそうだし、クラスも一緒になった。


短絡かもしれないけど、そこにはなにかの意味があったのかもしれない。




間違っていたならそれでいい。私はこれからもずっと“生きて”いくのだから。


◇◇◇




「隣駅……着きましたね……」


「まぁまぁ時間かかったね」


弥子田は大都会の真ん中って感じだったけど、間に壁を跨いだからか、次の東満村(ひがしみちむら)は人もあまりいない小集落の駅だった。


電車だって普通しか止まらないから、何本か見逃すことになりそうだ。


西の方に陽も沈みかけていて、人の気配の少ない集落を照らしていた。



「正治くん、今どこで何をしているんだろう」


思わず声に出してそう呟いた。

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