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悠久のクロスファンタジア 〜DUAL WORLD〜  作者: はとかぜ
第3章 星の魔術師編
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第99話 my mind




俺は、大量の瓦礫を突き立てられ、鮮血を辺りにぶちまけているフォーリアに向かっていく。


「これで終わりだな。強かっただろ?」


「そう……ね……だけど……いずれ……魔王様があなたを打ち倒すわ……」


フォーリアが動かなくなった。厄介なやつだったよ、本当。




「って!星姫っ!」


一応身体を分離させたとき、重力影響軽減のバフをかけておいたから、高速で落下してくることはないが、このまま落ちても問題なのは分かりきっている。


「っと。あっぶねぇ」


某天空の城の映画のように、俺は星姫を受け止め、近くの手頃な床に横たわせる。


「起きるのを待たねえとな。聞きたいことが腐る程あるんだから」




◇◇◇




「ん……あれ……」


ずっと深くに落ちていた意識が、はっきりと浮かび上がってきた。


「数時間ぶりだな。気分はどうだ?」


「うわぁっ!?」


開けた視界の先には、平都中央で別れたはずの正治さんの姿があった。しかも膝枕までしていた。


私が寝転がったまま辺りを見渡すと、崩れた建物と水浸しになったアスファルト、そして、瓦礫が突き刺さって、大量の血を撒き散らして死んでいるなにかがいた。




「……これって……一体……もしかして……全部私が……」


「ちげえよ。あいつがやったんだ。お前のせいじゃない。知ってるだろう、お前の中にいた魔物のこと」


「何でそれを……」


正治さんにフォローはしてもらったけど、私の中は罪悪感でいっぱいだった。


「知っていたんだ。一緒に水族館に行ったときからずっと」


「……そうですか……」


私はそうとしか返すことができなかった。


だったら、私がこの大量殺人事件の犯人だってことも知っていたはずだ。


きっと私を軽蔑していたんじゃないかって、最低な考えが過って、自分が大嫌いになりそうだった。


「魔物はお前の中から出た。電車の中で話したろ。お前の悩みを聞いてやるくらいは俺でも出来るって」




「……言えるわけがないんですよ。自分勝手な私の願いや悩みなんて……きっと、聞いたら軽蔑します」


やっぱり、私は昔から成長していないんだ。自分のわがままでいつも人を困らせる。


すでに人殺しをしてしまったのに、今さら人に嫌われるのなんて覚悟の上だったのに。


「まさか、俺がお前を嫌っていると思っているのか?」


「……違うんですか?」


「じゃなかったら、わざわざ賭けに出てまでお前を助けない。あのまま魔物と一緒に押しつぶしていたさ。別に特段好きって訳でもないが、一日過ごしたら愛着も湧くだろ」


不思議だった。この人の言葉は何でこんなに温かいのかなって。


嘘をついているようには、とても見えなかった。




「俺は、お前がありのままで居てくれていると信じて助けたんだ。だから、今一度、星姫の口から真実を聞きたい。何で、こんなことをしてしまったのか、ってな」


出会ってから数日くらい、なのに何で、私はこの人のことを信頼しきってしまっているんだろう。


彼なら大丈夫っていう根拠のない自信、だけどそれに不安を感じさせないような雰囲気だった。




「うん……わかった」




私は全部吐き出した。これまでの全てと、そこに秘めた気持ちを。


時間も忘れて話していた。正治さんが、ずっと隣で手を握ってくれていたから、私もすごく安心していた。


◇◇◇




「落ち着いたか?」


「はい……すみません、こんな話を長々と……」


私たちは少し歩いていた。もう真っ暗闇に包まれて、一寸先もわからないような状態でも。


ただ、月明かりだけが、私たちを照らしていた。


「ホントだな。こんなに長いとは思わなかったわ」


「そうですか……」


私は正治さんの手を、ギュッと握りしめていた。もういつまででもつないでいたかった。


「……お前……やっぱり俺のこと好きなのか?」


「ふぇっ!?なっなななな何を!?」


「焦りすぎだろ……まあ、絶賛彼女募集中だから良いけどさ」


あっけらかんとした口調で、正治さんは言った。この人は、多分すごく恋愛とかに無頓着な人なんだと思った。




「星姫……これからどうするんだ?逃げるのか?」


「……いえ、朝になったら警察に行きます。結局、殺したのは私です。これは私自身でけじめをつけないといけないですから」




「そうか。ま、それなら俺は関わらねえよ」


私がそう言うと、正治さんは手を離した。




「……あの」


「ん?」


「ありがとうございます、私を助けてくれて……本当に……」


「……ああ、どういたしまして。


たまに顔を見せにくるわ、覚えていたらな」






◇◇◇




星の見えない夜空だった。街の光が夜空を照らしているせいだった。




だけど、月だけは中空にぽつんと浮かんで、私を照らしていた。




私とおんなじだ。




「また、ひとりぼっちかぁ」




ひとりぼっち、だけど昔とは違って、不思議と悲壮感は感じなかった。




最後に私を認めてくれた人が居たからかな。




これからは、想いも、後悔も、全部と向き合って生きていく。きっと忘れることなんて出来ないから。






「あの人が助けてくれた、大切な命だから」

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