表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヘリオスの末裔  作者: まきの・えり


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/13

       9

 大広間は、生徒達でごった返していた。

 旅館の寝巻姿の生徒もいれば、きちんと私服に着替えている生徒、制服に着替えている生徒、ジャージ姿の生徒と様々だった。

 フレームに入った、三橋裕也は、先生の隣に座っていた。ジャージ姿だ。しかも……金髪。校則違反満載の不登校児童なのか。

 大広間には、ぐるっと円形に脚付きお膳が並んでいる。名前も書いてないから、私と毎度の四人組は、固まって座った。

「はい。静かに」と大石先生が言うと、わあわあ騒いでいた生徒達も、徐々に徐々に、静かになっていった。

「今日は、病気療養中だった、皆のクラスメートの三橋裕也君にも参加してもらうことができた。こういう日を迎えることができて、先生は、感無量だ。皆を温かく迎えてくれた、山下旅館の方々にもお礼を言いたい。山下旅館の皆さん、本当にありがとうございます」と先生は深々と頭を下げた。

「こちらこそ、お役に立てて、光栄です」と同じように、頭を下げているのは、頭の禿げたおじさんだ。

 まさか、と私は思った……この地味な顔のおじさんは……私にそっくりだ……お父さんなのか。

「さあ、皆さん、あんまりご馳走ではないかもしれませんが、取れたての野菜や朝届けてもらった魚は新鮮ですよ」とお母さまも現れた。

 お母さまの美貌は、光り輝くばかり。皆が、ほうっとため息をついた。

「や、や、山下さんのおか、お母さん、お、お世話になります」と言う大石先生の顔が赤い。珍しく、噛みまくっているし。

 目は光ってないが、下を向いてごまかしているのかもしれない、と私は思う。

「さあ、召し上がれ」とお母さまの一声で、皆は、「いただきま~す」と声を合わせた。

 皆、おなかがすいていたのか、食べる音以外は、聞こえなくなった。

 ゲ、私達の食べる分は、徐々に姿を消していった。見渡すと、先生の隣の三橋君の分も姿を消している。

「山下、早いな」と先生も目ざとい。

「ちょうどいい。三橋は、山下に、ここを案内してもらいなさい」

「俺達も一緒でいいですか?」と小橋君が言った。

「私達もいいですか?」と啓子が言った。

「あんまり大勢なのもな~。三橋が……」

「僕は大丈夫です」と金髪の三橋君が言った。しっかりした声だ。

「それならいいが。あんまり騒いだりするなよ」と先生が折れた。


「ちょっと走り回るか」と小橋君が言った。

 また、ハムスターになるのかと思えば、今度は、フェレットに姿を変える。

「もうちょっと、皆と離れてからだよ、小橋」と啓子が言った。

 ジャングルの陰に入って、今度は、三橋裕也も加えた皆で、フェレットになった。

「山下さーん」という声がして、藤原加奈が現れた。

 当然、皆で、ギョッとする。

 また、「ずる~い」と言われそうだ。

「呼んだ?」と言って、お兄様が登場した。ナイスタイミング。

「あ、あ、あ、や、や、山下先輩」と藤原加奈の目が、ピッカーと光ったのが遠くからでもわかる。

「ずる~い」と今度は、啓子が言った。

「ええい、走り回ってやるから、覚えておけ、藤原加奈め」

 啓子を先頭にして、私達は走りまくった。エネルギーが有り余っているせいなのか何なのか、走り回るのは楽しくて仕方が無い。

「そうだ。走りまくりながらする話でも無いけど、金髪の三橋、あんたって、どうしてた訳?」と啓子。

「僕ですか? 生きてはいましたけど」

「何してた訳?」

「定期的に金髪にしてました」

「校則違反なのに?」と私も口をはさんだ。

「わかった。金髪にさえしておけば、学校に行かなくてすむと思った」と小橋君。

 言うまでもないが、同じ大きさのフェレットになった、真由と里中君は、二人の世界に入っていて、他には関心を向けない。

「そんな訳でもないけど」と三橋裕也。

「そうかな?」と自分でもわからないらしい。

「山下先輩と一緒に、色々な場所に行って、誰でも、それぞれ大変なんだな、と思いました」

「お兄様と一緒に?」

「はい」

「どこに行ったの?!」と自分の声がとんがるのが、自分でもわかった。

「そうよ、先輩と一緒に、どこに行ったのよ!」と啓子の声は、とんがるどころではなく、詰問調だった。

「うおおおお!」と小橋君は、絶叫する。

「まあ、まあ、まあ、まあ」と私は仕方なく、二人をなだめる羽目になってしまった。









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ