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ライセンスワールド  作者: レイジー
テスト2
16/54

体操服なシスター

「ジムラさん、それじゃ今日も殺人免許の講習に同席して来ます」

「はい、行ってらっしゃい」


 受付フロア奥に座るジムラに挨拶をした後、ジュンは待合室でシスターの到着を待っていた。

やがてシスターが現れお互い軽い会釈をし合うと何を言う訳でもなく地下へと赴いて行く。

同行の最中ジュンはそれとなくシスターに会話を持ち掛ける。


「あ、あの…順調ですか?その、講習の方は」

「はい、それなりに。射的の訓練を始め、人体の急所や死亡のカラクリ等色々と学ばせていただいてます。順調に人殺しとして成長を感じる日々です」

(い、生きているうちにシスターの口からそんな台詞を聞くことになるとは思わなかった…)


 ジュンは見た目と発言のギャップに強くたじろいだ。


「そ、そういえば、今日も射的の訓練でしたよね?」

「はい、そう伺っています」


 それ以上会話が続くことは無く2人は地下に併設されている射的場へと到着した。

そこには既にJKとジェントルの姿があった。


「あ、童貞のお兄さん!やほー」


 JKが大きく手を振りジュンに呼び掛ける。


「そ、その呼び方やめて下さい!!」

「童貞は否定しないんだな」


 さりげなく突っ込みを入れるジェントル。


「ほ、ほっといてください!!!」


 するとシスターは1人その場を後にし始めた。


「あれー?シスターさん、何処行くのー?」

「ちょっと着替えて来ます。この格好だとどうしてもやり辛いと思っていたので、今日は着替えを持って来ました」

「なるほ~。更衣室そっちだよー」

「どうも」

「このお兄さんが覗かない様に私が見張っとくからねー」

「な、なんてこと言うんですか!!!の、覗くわけないでしょっ!!!」

「私は別に構いませんけど」

「え!???」

「冗談です」


 ジュンが自分の耳を疑った瞬間にシスターは自らの冗談を訂正し更衣室へと消えて行った。


「あ、あんな冗談言う人だとは思わなかった…」

「…全くだな」


 これにはさすがのジェントルも少々驚いた様子だった。


「ねねー。お兄さん今日も見学ー?」

「あ、はい。宜しくお願いします」

「宜しくな」

「皆さん、いかがですか?順調ですか?」

「あぁ、まあな」

「けどさー、この前の人体の授業、あれマジグロでちょーきもかったー。夜ご飯たべられなかったもーん」

「人体の授業?」

「まぁ人の内臓の仕組みとか、死後硬直のからくりだの水死体や焼死体とかの違いだのってな」

「うっわぁ。そんな授業が…。ちょうど非番でよかった」


 すると更衣室のドアが開く音が聞こえ、そこには今までに無いシスターの姿があった。


「た、体操服、ですか?」

「はい。運動出来るような服装、これしか持ってなくて」

「買わなかったのー?」

「私、普段は運動しないので。講習のためだけに買うのも勿体無いと思って。学生時代の物なので少しきついですが我慢します」


 ガラリとイメージが変わったシスターの新鮮な姿にジュンは目を奪われていた。


(うわぁ!服装違うだけで随分イメージ違うなぁ。修道服じゃ分からなかったけど、結構胸も…)


 するとJKがジュンのいやらしい目線に気付き声を上げた。


「あー!童貞君、シスターさんのおっぱい見てるー!へんたーい!」

「なななななっ、み、見てませんよ!!!ってか、その呼び名やめて下さいって!!」

「朝っぱらから賑やかねぇ」


 騒がしい掛け合いの中、次に道場に入ってきたのは委員長だった。

そして続け様、講師のキラーも姿を見せる。


「はいはーい。お待たせしましたー。皆さん揃ってますねー?お!ジュン君。今日も見学ね?」

「あ、はい。宜しくお願い致します」

「了解ー。それじゃあ受講生の皆さん、今日も張り切っていきましょー」


 こうして講師のキラー並びに受講生の面々は慣れた物腰で射的訓練を開始した。

それぞれが装備を着けキラーアドバイスの元、数十メートル離れた人型の標的に向かって発砲を始める。

ジュンはただ黙って部屋の隅で見学をしており、やがて60分の訓練はキラーの号令と共に終わりを告げた。


「はーい、そこまでー。銃の扱いには大分慣れて来たみたいですねー。まだ発砲時の反動や銃声に反応してるところがありますので徐々に無くしていきましょう。では今日はここ迄。お疲れ様でしたー」


 受講生達は銃や装備を所定の位置に戻し、ジェントル、委員長、JKの順で次々と射的場を去って行く。


「では着替えて来ます」

「あ、はい。待ってます」


 ジュンはそのまま射的場に残りシスターの帰りを待つことにした。するとある事に気付く。


「あれ?キラーさんは?」


 ジュンは先程までこの場に居たキラーの姿が消えている事に気付いた。

しかし特に気に留める様子も無くそのまま待ち呆けるジュン。

その頃シスターは更衣室で着替えを終え、いつもの修道服へと身を包んでいた。

荷物を手に取り部屋を出ようとした瞬間、携帯端末の着信音が鳴り響く。


「!!」


 ただ事ではないといった表情で慌てて端末を取り上げ受電するシスター。


「はい…。はい、はい…。いえ、大丈夫です。はい、はい、はい…」


 小声で何やら怪しげな会話をするシスター。

更衣室の外ではその会話内容に聞き耳を立てる1人の人影。

2分程の通話を終え端末を切るとシスターはそのまま更衣室を出る。

その頃には既に外あった人影は消えていた。

やがてシスターは射的場に戻りジュンに声を掛ける。


「お待たせしました」

「あ、いえ!じゃ、行きましょうか」


 こうして2人は1階総合受付フロアへと戻って行くのだった。

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