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幼き頃の呪い  作者: おつ


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3/3

選択の大切と大きな過ち

私には今も忘れられず、今も私の考え方の根幹となっている本が1冊あります。


そして私の人生において幸福だった事は兄が実家が裕福だった頃に良い幼稚園に通い、凡そ教育とはかけ離れた荒れ果てた家のゴミの積もった兄の部屋に、埋もれた本が沢山あり、その中にこの本があった事だと思います。


その本は児童向けの温かな絵柄の絵本で名前は覚えていませんが、内容は主人公の心境に合わせ【生きていくにあたって、人生に数回使う様な大きな勇気ではなく、例えば電車で席を譲る様な小出しに出来る小さな勇気】の大切さを問う絵本でした。


この本を読んだ未就学児だった私は、正直に言うとピンと来ておらずなんとなく綺麗だなぁ頭の片隅にあっただけですが、その御蔭で大きな成功も、大きな過ちも繰り返し、1人の人間として成長が出来たと感じます。



父が仕事に行っていなかったことを知った母は外に出るようになり、家には殆ど父と私で過ごす様になりました。


今思えば、父は私が小学2年生の頃にはきっと心が壊れていたんだと思います。


罪悪感からかリビングで新聞を広げ、ソファで転がっていたり、車でひっそりと過ごしていて、私が世話を終えると父が簡単ではありますが私の分だけはご飯を作ってくれました。


いつも私に大きな恨みがあるかの様に暴力を振るい、暴言を浴びせる愛情の欠片も無い父でしたが、私の為にご飯を作ってくれている父を見ると、私の記憶が疎らな頃の、微かな優しさを感じる父に戻った様な気がして不思議な感情になった事を覚えています。


そんな事もあり怒鳴られたり、殴られる事は少なくなり常に得も言えぬ恐怖感はあったものの、何とか過ごせていた様に思います。


そんな日々も過ぎ、父は2階の自室や車に籠り、隠れてお酒を飲むようになりました。


この頃から私の心は様々な気付きを得始め、そして苦しみ始めました。


学校で優しいT君や気の許せる幼馴染との会話で実は私の家庭や状況が酷く醜く歪な事。


そんな歪な家庭では明らかに酷い環境で過ごしている不幸せなはずの犬達が歪な事に気付かずにただ純粋に、幸せそうに過ごしており、その犬達は私の家に居るより、別のお家の綺麗なお家で普通の飼い犬として沢山の愛情を一身に受けて生涯を過ごした方が幾億倍も幸せな事。


そんな幸せを知る事が出来ずに酷い我が家の中で生涯を終えたり、逆に産まれる前に亡くなったり、産まれた赤ちゃんが一見元気に産まれてもお尻の穴が無く、植物が少しづつ枯れていくようにゆっくりと衰弱していき、何も出来ずに短い生涯を終えてしまう事。


そうして私がその純粋な犬達に癒やされているものの、私自身が世話をしてその酷い環境に犬達を閉じ込めている一因な事。


そんな犬達は私よりも愛されている事。


そして母は私に繁殖業を継ぐことを望み、変化も出来ず、終わりのない苦しみと息苦しさが、これからも変わらずに一生続く事。


そうした色んな日々の気付きや発見が、私に薄っすらと芽生え始めていた希死念慮に少しづつ栄養を与え、遂には花を付けようとしていた事。


そんな日々を過ごし、私も中学校に上がり、私の中でこのままでは駄目だという漠然とした感情もあり、交友が広がりました。


私の兄の事を知っていて、放課後にゲームセンターで一緒に遊んでくれて、授業に参加せずにいっぱいお話してくれる友達。


T君も同じ学校におり彼はいつも心配そうに、私を見ている気がしました。


ただ私はいつも学校に行くと彼等が話しかけてくれ、自分の知らない世界を色々と教えてくれて、何か困った時は全力で助けてくれる彼等が友達で仲間として扱ってくれる事が新鮮で嬉しくて、彼等と過ごし、色んな出来事がありました。


そして誰かの家に皆で行って、ゲーム機でエッチな画像を観ようとしたり、誰かが持ってきた変なDVDを皆で観たり、他愛のない冗談を言ったりした事。


近くのショッピングセンターで万引きを繰り返していて、喧嘩も良くしていて、

そこに除け者にせずに私をそこに誘ってくれた事。


その行動の意味を私がキチンと理解していなかった事。


そしてそれらを一緒に行うと彼等が喜んでくれて、何か大きな事を成し遂げた様な、そんな気持ちでいっぱいで私は幸せだった様に思います。


今思えば、簡単な善悪も知らずただ純粋で、酷く醜く最低な人間で、沢山の人の心身を無責任に傷つけた事。


そんな【私にとって幸せな日々】を送っていたある日、彼等の中の1人と帰る道中にコンビニで万引きをしようと言う話になり、最終的には何故か私が1人でコンビニで万引きをする事になりました。


コンビニに入ると、見たことがある少し痩せ型で背の低めでシワの深い優しい顔をした50代のおじさんとガッチリ体型で大柄な40代のおじさんが居ました。


いつもの様にカメラの位置を見て、慣れてしまった手付きで物を手に取り、お店から出ようとした。


その時に不意に声を掛けられました。


50代の優しい顔をしたのおじさんでした。

ただ怒っているわけでもなく、何故か少し悲しそうな顔をしていて、その顔を見てしまった時になって急に何か大罪を犯したような、色んな考えが頭の中で嵐のように吹き荒れ、怖くなってしまった私は走って逃げ出しました。


次の日、学校に行くと50代ほどのガチャピンに似ていて怖いと噂の穏やかな教師と彼と同じくらいに老けて見えるいつも私を兄と間違える日に焼けた教師達が私と昨日一緒に帰っていた子を、4階建てで教室がある各階に教室に挟まれる様に佇んでいる2畳ほどの細長い生徒指導室に案内された。


少し埃っぽい部屋はドアと部屋を隔てるように置いてある大きなグレーの棚とその先にある窓際の薄らと陽が差してチラチラと光る空中の埃と小さな机があり、その手前にパイプ椅子が1脚と2脚が向かい合って並べられていた。


あぁ、、、今からきっと尋問が始まるんだと。

朝の爽やかな空気とは裏腹に、暗い現実が待っている事を嫌でも突きつけられた様な心境でした。




本当にどうしようも無い屑で本当に申し訳ございません。


悔いが残るので今暫くお付き合いいただけますと幸いです。

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