第61話 オールスター
う……きもちわるぃ……。
確かに、前にミニろく様が『螢子ちゃんのイメージはワンパターンだから』って言われて、ちょっとムッとしたのは認める。
だから、今度何か『幻を晴らす』時には『ガラスが割れる演出』はやめよう、と思ってた。
とはいえ、こんな目の回るような過剰な演出までは求めていなかったよ。
「螢子くん?
大丈夫かい?」
「……あ、もふもふ……」
ゆっくり浮上する意識と共にうっすらと目を開けると、目の前に白いもふもふが。
「はぅ……しあわせ……」
この感触、柔らかくてふわふわで暖かくて……このままもう一眠り……
「おおい!?
螢子くん!?!?
いきなり人のお腹に顔を埋めて二度寝しないでくれるかな!?」
「……あれ、局長どうしたんですか?」
「どうしたんですか、じゃないよ!?」
体を起こすと、そこは……なんにもないだだっ広い部屋だった。
あれ? 転生局にいた気がしたんだけど。
「これ、どうなってるんですか?」
「それがねぇ、よくわからないのよね~」
横からミルティ先輩の声がする。
ぐるっと見渡すと、フーちゃん、クレィさん、ファラスさん、Yさん、千代ちゃんとオールスターが勢揃いしていた。
5つの扉の先に繋がっていた世界出身の5人が。
そして6つ目の扉の先が転生局で、二人の局長が揃っている。
私の関係者が7人。
……7つ集めると願いが叶うなんとかボールじゃないんだから……。
とは思うけど、どう考えても偶然とは思えない。
7つのスキルと7人の関係者。
あれ、でも、扉は6つでミニろくさまは5人(ここに6人目がいる?)。
7に意味があるわけではない?
「しかし……なんにもないなぁ……」
見渡す限り平べったい空間。
一応空らしきものはあるけど、遠くを見ても一切の凸凹が見当たらない。
「螢子ちゃんが帰ってきたタイミングでこれ、ってなると。
何かしら関係ありそうね~~」
遠くを睨んで頭を悩ませていると、ミルティ先輩がいう。
「ですねぇ。
感動の再会、したかったのに」
「今からでもいいわよ?
おかえり、螢子ちゃん」
「ただいまです!」
バッと両手を広げる先輩に飛び込み抱きしめられる。
このふかふかした感触もよいなぁ……。
「お前ら、遊んでる場合じゃないぞ」
「どうやらそうみたいだな。
ミル、じゃれてないで」
ずっと黙っていたフーちゃんとクレィさんが戦闘態勢をとっている。
けれど、視線の先には何もない。
「ミルティ、螢子ちゃんは任せるわよ」
「おっけーY。
任せて」
何かから守るように前に立つYさん。
見上げると、ミルティ先輩も厳しい顔をしている。
……もしかして、このハグは私を守るため?
「さて、ボクも本気を出そうかな」
ぼふっ
「あ! 巨大もふもふ!!!」
軽快な音と共に、ちっちゃなもふもふだった局長が、巨大な毛玉に変身していた。
ミルティ先輩のふかふかも捨てがたいが、あのもふもふには抗いがたい魅力が……。
「いや、だから、これ『バトルフォーム』だからね?」
「こーら螢子ちゃん。
あとで好きなだけ堪能させてあげるから、おとなしくしときなさい?」
「後で好きなだけ……わかりました! 今は我慢します!」
ちょっとの我慢で大きなリターン。
うん、素敵。
「……ちょ、ちょっとミルティくん?
今、さりげなくボクを売り渡さなかったかい?」
「局長……諦めてください。
今螢子ちゃんをフリーにはできないでしょ?」
「む、むぅ……確かにそうではあるが」
こんな、漫才気味な会話をしつつも、誰も視線を逸らさない。
「螢子先輩、これを」
千代ちゃんから小さくキレイな石を渡される。
「万が一のためのお守りです」
そういった千代ちゃんも同じ虚空を見つめる。
その時――
ピシッ
空間に亀裂が入った!
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