第60話 裏返る世界
手にした置き時計を振り上げると、大きさに違わず意外と重く。
危うく後ろにひっくり返りそうになって危なかった。
状況を飲み込めていないもふもふ局長やミルティ先輩が、固まったまま私を見ている。
抵抗される前に一気にやらないといけない。
まん丸でふさふさした尻尾へ狙いを定め――
「ごめんなさいっ!!!!!」
一気に振り抜く!
ガンッッッッ!!!!!
クリーンヒット!
後のことを考えずに振り下ろしたせいで、そのままテーブルに当たって腕が痛い。
ちょっとやりすぎた気もするけど、弱くて効果がなかったら意味がないからね。
静寂が場を支配している。
誰も動かないし、誰もしゃべらない。
突然の奇行にみんな驚いている、ってわけではなさそうだけど、これはどうなんだ? 正解なのか?
動いていいものかわからず、時計を尻尾に叩きつけたままという中途半端な格好で様子を伺う。
そのまま数秒……。
どうだ? どうだ?!
ヴーヴー
ん? なんか変な音がする?
携帯のバイブ音みたいな、振動しているような音?
どこから?
キョロキョロと周りを見ても、動く人も動く物も見当たらない。
けれど、キノセイ、で片付けるには無視できないほどの音量だ。
「あ!」
思わず声が漏れてしまった。
音の発生源がわかった。
段々と振動が大きくなってきてようやく気づいた。
私の……もとい、置き時計の下。
目一杯叩きつけたもふもふの尻尾があり得ない勢いで振動していた。
置き時計から手を離し、距離を取る。
……というか、尻尾だけがやたらとブルブルしてるのはすごくシュール。
動画で撮っておけば、あとで見返して笑えたろうに。
とか言ってる間に、別の生き物のように尻尾だけが弾け飛び……え!? 取れるの!?
パァンッ!!!!
激しい音とともに破裂した!
弾け飛んだ元尻尾を中心に世界から色が失われていく。
色と同時に、上下左右もわからなくなる。
立っているはずの地面の感触が消え、妙な浮遊感に襲われる。
眼の前が回る。
世界が……裏返る……
いつも応援ありがとうございます♪
気に入っていただけたら評価やブックマークをお願いします♪




