第45話 修行
あけましておめでうございます、
本年もよろしくお願いいいたします!
1/13 一部加筆修正しました。
「まさかこんな形で謎が解けるなんて……」
「螢子ちゃんが紫翡翠の眼を持ってることなんて天界は当然把握してただろうし、他に理由なんてありえなかったのにねー」
確かに、これまでのことを考えれば、私の転生理由は『天界が紫翡翠の眼を手に入れるためだった』、というのは当たり前といえば当たり前だ。
逆に当たり前すぎて全く気づかなかった。
そもそもが、天界に問い合わせて回答待ち、ってことで思考が止まってしまっていたってのもあるだろうし。
「でも、だったら普通にそういう『転生局へ転生』ってことでリストに載せておいてくれてもよかったのに。
千代ちゃんみたいな感じで」
残る謎は『リストに載っていなかったこと』。
そんなややこしいことをするから、混乱するのだ。
「んー、そうだねぇ。
その辺は、なぜ天界がボクを追っているか、っていうさっきの話に繋がりそうだね」
「……ああ!
そういえば、そんな話をしてましたね」
「……忘れてたのかい?」
「あまりにも衝撃的なできごとだったもので……」
「はは、螢子ちゃんらしい」
「すみません……」
「じゃあ、話を戻すよ。
えーっと、確か紫翡翠の眼を追ってたら幼い螢子ちゃんに適合してしまった、って話までだったよね」
「……です、ね。
ですです、そこで話が逸れたんでした」
なんでか知らないけど神様の力に適合しちゃって、ひっぺがすこともできず困ったね、ってとこまでだ。
「そういえばさ。
螢子ちゃんは、ボクの『修行』ってどんなものだと思ってる?」
話を戻す、と言ってそばから脱線するのはなんとも弥勒さまらしいな。
かといって意味のない話をするわけがないので、この後の話に関係があるのだろう。
……たぶん。
「修行、ですか……?
んー……イメージとしては、なんか延々と瞑想してる、みたいな?」
神様の修行って言ってもそれくらいしか思い浮かばない。
滝に打たれる、ってのは神様っぽくないしなー。
「うん、そうだね。
それで合ってる……んだけど、どのくらいの時間やってると思う?」
「え? それこそずーーーーーーーっとじゃないんですか?」
「あはは、やっぱりか。
残念ながらそんなに長い時間はできないんだよ。
今のボクで……そうだな、頑張って1年くらいが限界だね」
「十分長いと思うんですけど……」
「いやいや、最終的にはそれを数年は持続できるようにならないといけないんだよ」
「そんなに!?」
「うん。
自分の内に集中を高めながら、けれど世界と一体化するように広がりながら、だからねぇ。
なかなか持続は大変なんだ」
紫翡翠の眼を使うときに、『一点に集中しながら全体を俯瞰するように』って言われたけど、それを体全体でやるってことなんだろうか。
その状態を数年……うーん、さすが神さまだ。
「で、他にも色々あるんだよ」
「うぇ、それだけじゃないんですか……」
「まだまだだねぇ。
むしろ、瞑想なんてのは初期段階だからねー」
「想像もつかないです……」
まだあと58億年残ってるって時点で想像の範囲外ではあるけども。
「で、それが今回の話にどう関わるんです?」
「良い質問だね!」
……どっかのTV番組で聞いたようなセリフだなぁ。
「そうやってね、世界と一体化しているとね、色々なことが見えてくるんだよ。
簡単に言うと、世界の真理、ってやつだね。
その中には、ボクのスキルの行方だったり天界大争乱の真実だったり、ってのも含まれる」
「推理小説のネタバレをいきなり見るような感じですかね?」
「そうそう、そんな感じ!
もちろんなんでもかんでもってわけでもないし、ある程度自分が知りたいことから優先させることもできるんだけど」
「なんですかその便利機能、私もほしいです」
「修行は大変だけど、やる??」
「……よく考えたら、推理なしに推理小説のネタバレ見ても面白くないのでやめておきます」
「そういう素直な所は螢子ちゃんのいいところだよねぇ」
「なんか全然褒められている気がしませんけど、ありがとうございます」
っと、いけない。
どうも弥勒さまと話してると脱線しがちだ。
しかも、今はミニサイズで見た目可愛らしいから余計に緊迫感がないし。
「それで。
天界大争乱の本当の目的ってのはなんだったんですか?
天界王を殺して、弥勒さまのスキルを盗むことで、なにをしようとしてたんです?
まさか――」
「その『まさか』で正解だよ」
「えー……」
以前フーちゃんに聞いた話によれば、天界王ってのはいい王様だった、って話だ。
周りを固める50貴族にしたって、それに文句はなかったようだし……。
それが、
「蓋を開けてみれば、世界を巻き込んだ壮大なお家騒動ってことですか……なんというか、その」
「『くだらない』だろう?」
「……ですね」
◇
「天界大争乱の目的は、『天界王とボクを葬りさってなり替わること』だった。
螢子ちゃんが言ったように、くだらない権力争いさ。
とはいえ、なかなかうまいこといっていたのも確かだ。
天界王は倒れ、ボクは7つのスキルを失ったんだからね」
「でも、結局はその『誰か』が新しい天界王になったわけじゃないんですよね?
最終的には弥勒さまが担ぎ出されて落ち着いた、って聞いてますけど」
だとすれば、クーデター(だよね?)としては失敗になるんじゃないだろうか。
結局、混乱しただけで権力は手に入らなかったんだから。
「そうだね。
一見するとそうだ。
でも、その『ボクを担ぎ上げた』連中が今の天界の中心に収まっているとしたら?
スキルを失ったボクは、それを取り戻すためにさらに修行をしなければいけなくなったわけで、結局はただの『お飾り』だったのさ」
「なるほど……表立ってしまうと悪目立ちするから、ってことですね」
「それに気づくまで相当時間がかかったんだけどね。
自分の修行不足を痛感したよ」
「まだあと58億年残ってますからねー」
「あはは、そりゃそー……待って、さりげなく2億年伸ばさないで!?
正確には56億7000万年弱だからね!?」
「まぁ細かいことはいいじゃないですか。
56億も58億も変わりませんよ」
「いやいやいやいや、ボクもできるだけ短くしようと頑張ってるんだから!」
「今こんななのに?」
ふわふわ浮いてるミニサイズのミニろくさまをつんつんしてみる。
「こーれーはー本体じゃーなーいからーーー」
「つんつん」
「やーめーろーよー」
きゃっきゃ、となんだか嬉しそうなミニろくさま。
なんだかほほえまし――
「って、遊んでる場合じゃなかったですね」
「……いきなり冷静になるのやめてくれないかな?」
だって、さっきそれで反省したばかりだもの。
「そんなわけでさ。
向こうとしては『飾り』がいなくなられても困るし、下手に動き回られるのも嫌なんだよね」
「その動いている理由は、盗まれたスキル探しですしね」
「あいつらからしたら、スキルを取り戻されたら困るからねぇ……」
「私を――紫翡翠の眼を手に入れようとしているのも」
「そうだね、ボクに取り返されないように、っていうのがでかいかな。
あとは、自分の力を盤石にしたい、ってところか。
ま、その腕輪を付けた時点でもう手に入れたと思ってそうだけど」
継ぎ目のないつるんとした腕輪をじっと見る。
逆らえないようにするためのもの。
向こうの命令に従わなければ呪いによって体が蝕まれていくようになっていた、と言っていたし、こうしてミニろくさまに解除してもらわなければ言われるがままに動くしかなかっただろう。
「弥勒さま探しは、本当に言うことを聞くか、っていうテストも兼ねてそうだな……」
「あ、だからリストに載ってないのか」
「うん、本当であれば転生局ではなく、そのまま天界へ拉致してスキルを奪い直すか傀儡とするか、だったんだろうね」
「なるほど。
だとしたら、どうして今になるまで放って置かれたんでしょう」
「ふふふ、そのためにボクがいたんじゃない」
「……なるほど。
たまたま私が来たタイミングで抜けだしたのではなく、私が来たから抜け出した、ってことですか」
「そそ。
念の為様子を見てた、って言ったろう?
ラベンダーアイを持っている、ってことで確かに転生局に来てもおかしくはなかったんだけどね。
きな臭いものを感じてね。
なにもなければそれでもいいや、と思ってたんだけど……」
「案の定、ですね」
「残念ながらね」
となると。
「ねぇミニろくさま?
この後はどう動いたらいいですか?
まだ向こうの命令に従っているフリはしておいたほうが良さそうかな、と思うんですけど」
「そうだね。
とりあえずはボクの本体の捜索を続けつつ、ボクの捜し物もついでに探してもらえないかな?」
「捜し物、っていうと、盗まれたスキル?」
「うん、それもそうなんだけどね。
それともう一つ、お願いしたいものがあってね――」
いつも応援ありがとうございます♪
これにて第5章終了(予定)です!
ちょっとこの後の構成を悩んでいるので、もしかしたらもう1話あるかもですが!(笑)
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