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エンゲージ・リンク  作者: 花酔
第3章 広がる世界のカプリチオ編

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Link.88 紅い魔人⑥

このエタルドルの壁にて二箇所同時に起こった意思ある襲撃

そのうちの一つを聖花隊副隊長のワイズが担うのだった


◆


「───!?」


流星(リリス)到達直後

エタンドルの壁内部の管制室にて


「花冠様!ただいま壁右方向に正体不明の反応が現れました!」

「それはわかるよ。だって──」


機械仕掛けのモニターに映るのはワイズが走り、中央から右側に移動していく様子だ

壁屋上の監視カメラからでも見えるほど高く立ち上る土煙

ある程度進んだところでワイズは土煙と睨み合っていた


「───僕でも、感じたことがない」


その発言に管制室はざわざわと憶測が飛び交い始める

しかし、アマリリスが注目するモニターは一つだけではなかった


「………厄介な」

「え?なっ………!?」


アマリリスの言葉と目線に、初めて部下は戦場にいるもう一人の存在(アザゼル)に気がついた

どちらかに救援に向かう必要がある──迷いはしなかった


「セラノアちゃん、ギバーちゃん。君らに告ぐ」


壁からの放送が流れる

アマリリスの声は抑揚がなく極めて冷静だった


「『任せるよ』」


◆◆◆

「もー、結構ウットウシイね、そのバリア!」

「…………」


1分。

たったの1分


今、ワイズは腰を壁に預け、目の前には笑う魔人がいた


ワイズの少し後ろで霊体化しながら権能を発動し続けるエーデルに、彼は少し心を痛めていた


(怯えてる………無理もないよね。ごめんね)


「ん?───もしかして、ソコになにかいるのかなぁ」

「!?」


視線は向けていない

意識を向けただけだと言うのに勘付かれたとでも言うのだろうか

リリスは不思議そうに羽模様の権能(バリア)に守られるワイズの後ろを見た

一見、手すりと花壇のあるただの屋上風景だ


しかし


(なにか、害(・)す(・)る(・)力(・)があるんですか………!?)


その思考に至った瞬間ワイズはゾッとした

普通、霊体化した天使にはなんの影響も及ぼせないのだ


エーデルは幼い頃に契約したワイズの誕生性天使


その姿は幼い頃に思い描いた孤独を消すためのもの

ワイズが成長しても、固定されたその姿は変わらなかった


──故に心を痛め、罪悪感を負い、ずっと戦場では隠れさせていた


「あぁ確かに!ワタシの力の範囲に──へえ?ふふっ?」

「───!!」


ワイズは話を最後まで続けさせることなく岩撃(エッジ)でリリスを狙う

傷を負った肩からは、無理に動かそうとしたことで血がより流れていた


リリスはただ笑ってそれ(岩撃)を軽く殴って壊して見せる


「大事なんだね」

「…………?」

「でも───」


ふと、少し寂しさが見えた気がした

笑っていたはずなのに、どこか虚無を感じた

呆気に取られるワイズだが、目の前の姿は後方にいるエーデルの目の前に一瞬で迫っていた


「そんなのじゃ守れるものも────!」

『守れるさ』


誤算があるとすれば、想像以上に速かったこと

誤算があるとすれば、リリスの実(・)験(・)は無駄だったこと


誤算があるとすれば、花冠は思ったよりも、部下を想っていたこと


「──だぁれ?」

『───セフィロトの樹『花冠』アマリリス』


最強の一角は、花びらを落とす場所を間違えない

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