第27話 限界
渡の精神が限界に達してしまい...?
期待しているのは、全てが偶然起きたということ。
悪霊とか力とか、そういうのが何も関わっていないということだった。
ただただ、僕らの周りに不運が引き起こされているだけだと。
そう思いたい。
交通事故が起きてから、僕らはあの道を
通らなくなった。
学校から家までの距離が延びたが、それでも
通りたいとは思わなかった。
忘れたくても、脳裏に焼き付いて離れないあの情景が、
鮮明に思い出されるのが怖かった。
そして、もし被害者の彼が視えてしまったら。
怖いのか?
いや、別に悪霊でもないし、なんせ生徒だ。
怖いとは思わない。
ただ、罪悪感がつきまとう。
僕は何も悪くないのに。
あそこで彼に声をかけたとして、何か変わるだろうか。
僕が気付いたときには、もうトラックが接触する
寸前だったんだ。
僕には何も出来なかった。
ダメだ。考えるな。
もう、やめよう。
後悔しても何も変わらない。
後悔?
何に?
助けられなかったことか?
僕はスーパーヒーローじゃない。
あの状況で助けるなんて出来ない。
なんで声をかけなかった
声をかけても助からなかっただろ。
やってみないと分からないじゃないか
無理だ。間に合わなかった。
お前が迷ったからだ
ちがう。
助けられたかもしれないのに
うるさい。
逃げるのか?自分が悪いのに
ちがう。僕は悪くない。
お前のせいだ
僕のせい?
お前が行動しなかったから
僕は悪いのか?
お前が悪いんだ
僕は悪くない。
お前のせいで人が死んだんだ
うるさい黙れ。
お前が殺したんだ
やめろ。
ーーーお前が全部悪いんだーーー
ーーー次の日ーーー
渡くん、今日も休みか。
私は心配で声をかけてくれた女子生徒の相手をしながら、そう思った。
昨日連絡をしていなかったため、渡くんの状況を
把握しきれていない。
もし、昨日は無理して笑顔を作っていて、本当は
精神的に危うい状況だとしたら...
充分にあり得るが、どうだろう...
考えても仕方がない。
とりあえず、今日渡くんの家を訪ねてみよう。
ーーー放課後ーーー
「渡くん?」
インターホンを押し、ドア越しに話しかける。
渡「はい...?」
「ああ、こんにちは!」
話しかけたは良いものの、言葉が詰まってしまう。
渡「どうしたの?あれ、柳井さんだよね?」
「はい!こちら柳井です!」
渡「ふふっ」
小さいその笑い声を聞いて、少し安堵する。
元気というわけではないが、まだ笑う精神力が残っているようだ。
「あの、今日お休みしていたようですけど、大丈夫ですか?」
先生が使うような定型文を必死に伝えると、
渡「インターホン越しじゃなんだし、家に上がりなよ」
「あぁ、はい。」
ーー家の中にてーー
「わ、渡くん?」
家に入り、事情を聞こうとしたとたん。
私は、渡くんに押し倒されていた。
なんで?
いやぁ、急展開。




