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情報屋shrineの人助け  作者: 目黄葉
第二章
10/10

ハマる





「「「「「「「「!?」」」」」」」」



 盛大な爆発音の直後、塚田が率いる捜査三課の人物と、監視カメラの管理室にいた水本、佐々木、咲真、そして吉田の四人は固まった。


 が、そこはベテランなだけあり、水本がすぐに大声で指示を出す。


「防犯カメラを確認!何がおきた?!」


「屋敷の東側の森から爆発音が起こった模様!ここにある監視カメラでは森まで確認することはできませんが人為的なものと考えられます!」


 捜査三課の警官が監視カメラを捜査し何が起きたかを確認した後、またもや水本が大声で部屋だけではなく、イヤホンにも指示をする。


捜一(そういち)は俺とこの部屋にいるもの以外が向かう!捜査三課は宝石を優先を願う!」


「「「「「「「「了解!」」」」」」」」


 イヤホンからも返事が届いたことを確認し、水本は大股で歩きながら部屋を出た。


「私たちはいつ水本さんから連絡が来てもいいようにすぐに出れるようにしろ!」

「「はい!」」

 吉田のキリッとした声の指示に咲真と佐々木は吉田に負けじと大きな声で返事をする。


捜三(そうさん)は金庫室に注目しろ!」

「「「「はい!」」」」

 塚田の指示にも捜三の部下達も声を張って返事をした。


 一時はパニックになりかけていたが、警察官達は気を引き締めてそれぞれの仕事を全うしていた。



  *  *  *



 時は爆発音がした頃の、ある一室。


「姉さん、どうする?行く?」

〈…………どうしたい?〉


「行く。鶯かもしれない」

〈わかった。それじゃあ屋敷は私が見ておくね。きをつけて〉

「うん」


 忍び屋:lionは次の瞬間にはその部屋から消え失せていた。


 その部屋には先ほどまでなかった月光が差し込んでいた。



  *  *  *



 水本が部下達と共に爆発音がした方へ向かうと、そこにはそこそこ大きな空き地があった。



「こんなとこあったか?」

「森の方はあまり見れていなかったので知らなくても別に不思議ではないかと」

「だよな」



 そんなことを言いながら月明かりに加えてライトもつけて確認したが、空き地には



 何の痕跡もなかった。


「は?どういうことだ?爆発音はここらへんから聞こえていたよな?」

「はい」


 と、調査を続けていると一人の警官が倒れた。

「どうした!佐藤!」

「すみま、せん。ちょっと、動け、なさそう、です」


「いい、休んでろ。

 お前ら!気をつけろ、誰かいる。そんで何か薬みたいなもん持ってる可能性がある」


「「「はい!」」」


 だが、その後の数分で一人、また一人と、倒れていき、全員ギリギリ意識はあるものの立っているのは水本だけになってしまった。


 だが、水本の警戒も虚しく水本は首筋にチクリとした痛みを感じ、少しした後、倒れてしまった。

(クソッ、体が麻痺して動けねぇ、さっきの痛みは針か、それに麻痺毒が塗られてたのか?)


 その時、一人の男の笑い声が聞こえてきた。

「ふひっ、まずは五人♪」


 水本の目線からではあまり顔を確認することはできなかったが、その男が下駄でかつっ、かつっ、と音を立てながら己の部下達に近づいていることは明確だった。


 水本はなんとか男の気を逸らそうと麻痺している舌を懸命に動かした。

「ま、て。お、前は誰、だ?俺の、部、下になに、するつも、りだ?」


「ふひっ、すご。喋れんの?安心して、殺しはしないから」

 

 そう言って水本の方へ近づいてくる男。


「ま、とりあえず…………寝ときな」


 そこから、水本の記憶は、ない。



  *  *  *



 月が雲で隠れ、暗くなった森で、

「…………おそかったか」

 月麦が仮面の下でボソッと呟く。


「あれれ〜??キミだれ〜?」


 そこにいた男が忍び屋:lionがいたことに気づき、声をかけてきたため、月麦は声を低めにして絆音の指示通りに口を開いた。

「そちらから名乗るべきでは?」







「確かに、えーと、俺の名前は






 イズク。






 ただの雇われ科学者〜」



「イズク?」


「イズクはイズクさ、ふひっ」

 そう言って笑う男、いや、イズクを見て月麦は理解した。

(なるほど、ヤバいやつか)


「あ、今失礼なこと考えたな〜?」


「敵ですし。とりあえずその警官達から離れていただけません?」


「できないねぇ」





 忍び屋:lionは仮面の下で静かに睨むが、イズクは赤茶色の目を楽しそうに歪める。













 森はいつの間にか月明かりに照らされていた。














 先に動いたのは、イズクだった。





「遅いよ」

「!?」



 月麦が気づいた時には、イズクの声が耳元から聞こえた。


「ふひっ、ただの科学者だと思わないでよ?森は俺の()()なんだから」


 だが月麦が振り返った時にはもう、後ろにはおらず、イズクは先ほどの場所へ戻っていた。


(強い、いや、速いのか)



「ごめん。姉さん、多分だけど鶯の罠にハマっちゃった」


 イズクに聞こえないように月麦は呟く。

〈いいよ。とりあえずそいつを屋敷に近づかせないようにね〉


「了解」


「ねぇねぇ、誰と話してんの?ふひっ、俺も混ぜてよー」


(さて、このヤバいやつの対処はするから鶯は頼んだよ。後輩くん(咲真)



  *  *  *



「水本さんからの報告がないな、」

 そう呟く吉田。


「どうします?」

「待機だ。あくまでも宝石を守ることに集中だ」


「「了解です」」



 だが、そうも言ってられなくなった。










 なぜなら、先ほどと逆……つまり西側から盛大な爆発音が響いたからだ。




「「「「「「「!?」」」」」」」


 驚きはしたが今度の警官達の動きは速かった。


「先ほどとは逆の西側の森で爆発音が起こった模様!こちらもここの防犯カメラでは確認できません!」


「捜一からは、私、吉田と佐々木が向かいます!できれば捜三の方も来ていただけないでしょうか?」

 

「わかりました。それでは、私の部下も何名か向かわせましょう」

 塚田が返す。

「感謝します」



  *  *  *



 吉田達が西側の森へ行った後に、咲真は絆音からメッセージが来ていることに気づき、塚田へ

 “情報屋から、忍び屋:lionが鶯の罠にハマりました。ですが外にいるのは鶯ではないようです。何卒お気をつけて、だそうです”

 と送った。


 塚田はすぐに通知に気づき、咲真に向かって小さく頷いた。





 そして咲真は思案する。






 鶯は何故爆発音を起こしたのか、屋敷にいる鶯は隠れているのか、いや、水本班や捜査三課で確認しているはずだ、などと。









 そして、一つの仮説を思いつく。




(いや、それは確かに、でも、なくはない、か)



 思い立ったらすぐ行動の精神で、咲真は仮説と、調べてほしいことを送った。



 すぐに返事が返ってきた。




(……………可能性にかけてみるか)


 その返事を読み、咲真はそう決意して塚田に協力を願うメッセージを送った。



  *  *  *



(さっきの爆発音、あっちも音のみ(ブラフ)?確認しに行きたいけど、こいつ、速い)



「ふひっ、どうしたの〜?もっと攻撃してきてよ」


 空き地はそこそこ広いく、月明かりはあるのだが、もちろん街灯もないので結構暗い。


 それに加え、イズクは本当に人間かを疑うほど速いので、視認できなければ対処は困難。



 現在一定の間合いを保ち睨み合っている咲真とイズク。


(さて、ぶっちゃけがむしゃらに殴って止めるのは簡単。でも、こいつの速さのせいで、倒れている警官達のことを考えるとそれは危ない)


 そう、水本達が倒れているせいで忍び屋:lionは本気を出せていない。


(せめて、こいつの動きを止めれれば……)


 そのことを思案する、月麦の耳に絆音()の声が響いた。


〈これが作戦。やるけど何か変えて欲しいところとかやってほしいこととかある?〉


「アレってハッキングできる?」

〈?、できるけど?〉


()()()()()()()()()()()()()()()


〈わかった。そうする〉


 そう言う忍び屋:lionの仮面の下には獲物を狩る肉食獣の笑みを浮かべていた。



  *  *  *


(予告時間まであと、十五分。津城さん、はやく、はやく)


 そう思っていると、絆音から電話がかかってきた。


「どう、でしたか?」


〈調べてみて驚きました。

 ビンゴです。動いてください〉


「わかりました。では()()()の尾行を始めます」


〈了解です。何かあったらまずいので電話は切らないようにしてください〉


「はい」



  *  *  *



(もうすぐ、lionに会えるよね?ボスには悪いけど今回の盗み(仕事)は宝石っていうより合うことの方が目的だし。

 予告時間まであと、十分どうやらイズクもうまくやっているようだし。動くか)


 そう思い、堂々と歩いて金庫へ向かう鶯。


(あぁ〜、早く仕事終わらせて、lionに会いに行きたいなぁ〜。

 でも作戦とはいえイズクがlionと戦ってるの気に食わねぇなぁ)


 鶯は一週間前から心の中で四六時中lion(愛しい人)のことを考えているのだが、今日はいつもよりも、考えている。


 それはもう、仕事なんか二の次ぐらいだ。


(lionは多分俺が男だってことも、惚れてるってことも知らないんだろうなぁ……

 だって、多分口説いたのだって惚れたらラッキーぐらいの作戦だろ?俺はそれにハマったんだよなぁ)


 笑みが顔に出ないように気をつけながら鶯は金庫に向かう。


(あぁ、俺に惚れられるなんて可哀想に。俺を惚れさせたんだから、責任、とってもらうぜ?)


 仕事とは全く違う、ことを考えながら。



 そして、金庫に続く階段の前まで来て、そこからガスマスクをつけ、睡眠ガス入りの発煙筒を落とした。


 下まで煙が流れたことを警官の声などから確認しゆっくりと、鶯は階段を降り、金庫の前に立った。





(煙に気づいてここに来るとしても五分はかかる。つまり、もう宝石は俺の手の中にあるも同ぜ)





 そんなことを考える鶯の背中に話しかける一人の男がいた。







「こんなところで何をしているんですか?








 中島さん?」


 咲真だ。




 そして、咲真が話しかけたと同時に、森から、盛大な爆発音が響いた。




 





















 第十話目読んでいただきありがとうございます!


 次で沢田邸編を終わらせられるように頑張りますので、何卒、お付き合いいただけると嬉しいです。


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