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どうやら、ホラー映画のモブに転生したらしい  作者: 御仕舞
第一章 何がKに起こったか

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4 . 集団から外れてしまう






 いつの間にか縋り付く私を、抱きしめていた先輩だったが、生き残れるなら、セクハラ浮気野郎でも何にでも縋る。

私の脳裏に浮かぶのは、映画での拷問シーンである。

一撃で殺してほしいのに、あの殺人鬼は苦痛を与えるのを義務だと思っているようだった。



「防犯カメラに映らずに旧管理棟へ行く方法か…」



 案内図をじっと見つめる先輩の思考が高速で駆け巡るのがわかる。



「テニスコート側から裏山に入れるな」



 指を這わせながら語る。



「あのルートなら監視カメラはキャンプサイト正面のみ。死角になる」



 さらに地図右端の湖畔遊歩道へ指を滑らせる。



「湖岸沿いに迂回すれば管理棟裏手へ出られる。そこから旧管理棟へ行けるはずだ」



 その分析速度と的確さに思わず息を呑んだ。



「ちょ、ちょっと待ってください!なんで、防犯カメラの位置がわかるですか?!」

「もちろん、下見してるからな」



 泥棒の?

下見でカメラの位置の把握ってそんなに重要ポイント?

しかし今となっては、迷いのない先輩の言葉が頼もしい。

こ、これがリーダーとしての資質、圧倒的な頼れる男。



「さす先!かっこいい!そこに痺れる憧れる!」



 これよこれ!これが金光先輩だよね!

浮気野郎とかじゃなく、私が憧れたのは、金光先輩のこういうかっこよさなんだよ!



「おいおい」

「やっぱり金光先輩は頼りになるぅ!ヒューヒュー!老若男女モテモテ男!」

「そんなことないけどな」

「謙遜しなくていいですよ!金光先輩はかっこよくて、頼りになって、頭もよくて、運動神経抜群で、世界で一番優しい光の陽キャなんです!女にはだらしないけど!」

「絢音、俺だって世界で一番絢音のこと…ん?最後なんだって?」



 あとは問題の霧がキャンプ場を覆うまで、どれくらいかかるかが問題だ。



「湖はもう霧が立ち込めてたけど、今日は晴れてるから、霧が出るまで数時間はあるはず」



 だから、殺人鬼が完全に動き回るまで猶予がある。

太陽はまだ高い。



「なあ、絢音?絢音は俺のこと」

「夕暮れ前に旧管理棟を確認して撤収しなきゃ。さっそくテニスコート側から旧管理棟へ行きましょう!…あ!」



 私は美咲から着信があったことに気づく。

そういえば、何も言わずに金光先輩と行動してる。

他の人たちも心配するよね。

困った様子で携帯を見つめる私に、先輩も気付いたのか、少し考えて携帯を取り出した。



「おっ!山下!今絢音といるんだが、他の連中には薪集めしてると伝えてくれないか?…ああ、そういうことだ。悪いな、後で奢る」



 金光先輩は電話を切りながら満足げに親指を立てた。



「山下に頼んでおいたから、怪しまれることはないだろう。俺たちが戻るまで上手く誤魔化してくれる」



 私は安堵と罪悪感が入り混じる複雑な心境だった。



「すみません、金光先輩たちにも迷惑かけて」

「気にすんな!むしろ役割分担だ」



 金光先輩はまるで冒険家のようにワクワクした表情だ。



「さあ行くぞ!まずはテニスコート横の裏山ルートから入る!」



 キャンプサイトから離れると森の静寂が深まる。

鳥のさえずりだけが響く薄暗い小道を歩くと、森を抜けた先で道が二手に分かれていた。



「右側に獣道があるな。こっちの方が短いかもしれん」

「でも危険かも」

「大丈夫だ。野生動物の足跡は新しいし、人間の気配はない」



 言うが早いか彼は躊躇なく獣道を突き進んだ。

しぇ、しぇんぱい!頼りになるぜ!

なんでそんな即決即断なの?

完全に私と頭の出来が違いすぎる。

頼もしい背中を追いかけるとやがて湖畔の小道に出た。



「あ!」



 遠くにかすかな霧が漂い始めていた。



「時間がない!急ぎましょう」









→【右に行く】

【左に行く】



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― 新着の感想 ―
こう言うホラーもいいですね、なんだか世界が敵って感じで、状況から頑張って逃げるみたいなの。 これからも応援します。 とりあえずブックマークしました。
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