第19話:選ぶのは、私
時間は、流れる。
場所が違っても。
やることは、変わらない。
結果を出す。
価値を作る。
それだけ。
今の場所に残ったとしても。
新しい場所へ行ったとしても。
起きていることは、同じだった。
「助かりました」
「あなたに任せたい」
「次もお願いします」
言われる言葉も、変わらない。
(ああ)
ある日、ふと気づく。
(場所じゃない)
会社でも。
新しい環境でも。
評価される理由は一つ。
(私がやってるから)
それだけ。
誰かに与えられた場所じゃない。
自分が作っている価値。
それが、すべて。
デスクに座る。
手を止める。
少しだけ、考える。
(だったら)
このまま“使われる側”でいいのか。
答えは、すぐに出た。
(違う)
違う。
そうじゃない。
(私は——)
(作る側だ)
その言葉が、はっきりと浮かぶ。
会社の中で価値を出すことはできる。
どこでもやれる。
それは分かった。
でも。
(それだけじゃない)
もっとできる。
もっと広げられる。
(だったら)
次は。
(自分でやる)
その決意は、静かだった。
でも。
揺るがなかった。
スマートフォンを手に取る。
新しいメモを開く。
指が動く。
浮かんだアイデアを、書き出す。
止まらない。
(できる)
根拠は、もういらなかった。
これまでの積み重ねが、それを証明している。
顔を上げる。
前を見る。
(選ぶのは、私)
もう、誰にも委ねない。
どこへ行くかも。
何をするかも。
すべて。
自分で決める。
その覚悟だけが、静かにそこにあった。




