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RISELESS 新兵から始める王国戦記  作者: 藤堂拓哉
第二章

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第二十五話 急襲

翌朝。


オリオルを出発したローウェン小隊は。


ザイースへ向けて行軍を開始していた。


物資を積んだ三台の荷馬車。


その周囲を。


十二人の隊員たちが囲むようにして進んでいる。


オリオルを出てから。


すでに三時間ほどが経っていた。


街道の両脇には。


木々が続いている。


時折。


風が吹き抜け。


木の葉が揺れる音が聞こえてくる。


今のところ。


山賊の姿はない。


それでも。


昨日のこともある。


誰も警戒を解くことなく。


荷馬車に合わせて歩き続けていた。


「隊長」


テオが声をかける。


「この先、少し街道が細くなっています。気をつけてください」


ラウルは前を見る。


確かに。


少し先から道幅が狭くなっている。


「分かった」


ラウルは周囲へ視線を向ける。


「少し速度を落とそう」


三台の荷馬車が。


ゆっくりと細い街道へ入っていく。


最前列。


左にエレナ。


右にアレン。


荷馬車の右側には。


前からコルティオ、テオ、ハンス、グレゴール。


左側には。


ノエル、ラウル、ベルン、ザック。


そして。


最後尾にはロッコとニコ。


三台の荷馬車を囲み。


周囲を警戒しながら進んでいく。


その時だった。


左側の先頭を歩いていたノエルが。


突然。


前を見た。


「隊長、前!」


ラウルがすぐに顔を上げる。


街道の先。


そこに。


複数の男たちの姿が見えた。


「総員、戦闘準備!」


ラウルの声が響く。


それまで歩いていた隊員たちが。


一斉に武器へ手をかける。


前方から。


三人。


いや。


四人ほどの男たちが走ってくる。


手には剣。


「来るわ!」


エレナが前へ出る。


アレンも。


その横へ並んだ。


山賊たちが迫る。


そして。


剣と剣がぶつかった。


エレナが一人の剣を受け。


すぐに押し返す。


隣では。


アレンが別の山賊と剣を打ち合わせていた。


だが。


前だけではなかった。


「右からも来るっす!」


コルティオの声。


ほぼ同時に。


「左もだ!」


ザックが叫ぶ。


街道の左右。


林の中から。


次々と山賊たちが飛び出してきた。


「荷馬車から離れるな!」


ラウルが叫ぶ。


右側では。


コルティオたちが山賊を迎え撃つ。


左側でも。


ノエル、ラウル、ベルン、ザックが武器を構えた。


山賊たちが。


一気に襲いかかってくる。


「くっ……!」


ノエルが剣を構える。


正面から。


一人の山賊が斬りかかってきた。


ノエルはその剣を受ける。


一度。


そして。


もう一度。


「うっ……!」


押される。


山賊がさらに踏み込んだ。


強く振られた剣を受けきれず。


ノエルの身体が弾き飛ばされる。


そのまま。


背中から荷馬車へぶつかった。


「うわっ!」


「ノエル!」


ラウルがすぐに動く。


ノエルを弾き飛ばした山賊が。


さらに距離を詰めようとする。


その前へ。


ラウルが入った。


振り下ろされた剣を受け。


そのまま斬り込む。


山賊がラウルへ向き直る。


そこへ。


ベルンも加わった。


ラウルが山賊の動きを止め。


ベルンが踏み込む。


剣が走り。


山賊が倒れた。


ラウルはすぐにノエルを見る。


「大丈夫か?」


「は、はい」


ノエルは荷馬車へ手をつきながら。


身体を起こす。


「大丈夫です」


「無理はするな」


そう言い残し。


ラウルは再び周囲へ視線を向けた。


◇ ◇ ◇


右側。


「おらぁっ!」


グレゴールが。


剣を大きく振り上げる。


そのまま。


上から下へ。


山賊へ叩きつけるように振り下ろした。


山賊が倒れる。


グレゴールはすぐに次を見る。


「押されてんじゃねえよ!」


「分かってます!」


ハンスが返す。


目の前から。


一人の山賊が迫ってくる。


ハンスは槍を構え。


一撃。


続けて。


二撃。


さらに。


三撃。


立て続けに槍を繰り出す。


山賊が押し返される。


その横では。


コルティオが動き回っていた。


山賊の剣をかわし。


横へ。


さらに前へ。


相手が振り向いた時には。


すでに別の位置へ動いている。


「こっちっすよ!」


山賊がコルティオを追う。


だが。


捉えられない。


コルティオは自分の速さを使い。


山賊たちを翻弄しながら。


少しずつ押し返していた。


そこへ。


テオが近づく。


「シルフォード少尉!」


「なんすか?」


テオは戦いながら。


周囲を見る。


「キリがありません」


次々と現れる山賊。


一人を押し返しても。


また別の者が向かってくる。


「山賊の頭を探しましょう」


「頭?」


「はい」


テオは山賊たちの動きを見る。


「これだけいるなら、まとめている人間がいるはずです」


コルティオも。


戦いながら周囲へ視線を走らせた。


◇ ◇ ◇


後方。


そこでも。


すでに戦闘が始まっていた。


「うおおおっ!」


ロッコが声を上げる。


相手は二人。


左右から。


山賊たちがロッコへ斬りかかる。


ロッコは一人の剣を受け。


そのまま力で押し返す。


もう一人が横から斬り込む。


それも。


剣で受け止めた。


「二人くらいで!」


ロッコは一人で。


二人の山賊を抑えている。


その隙を。


ニコは見ていた。


一人の山賊の意識が。


完全にロッコへ向いている。


ニコが踏み込む。


「はっ!」


剣を突き出す。


その切っ先が。


山賊の脇腹へ突き刺さった。


「ぐっ……!」


ニコはすぐに剣を抜く。


山賊がその場に崩れる。


「ロッコ!」


「おう!」


残った一人へ。


ロッコが向き直る。


山賊が剣を振る。


ロッコは。


正面から受けた。


「うおおっ!」


そのまま。


力任せに押し返す。


山賊の身体が吹き飛んだ。


◇ ◇ ◇


最前列。


エレナは。


目の前の山賊と剣を打ち合わせていた。


一撃を受け。


すぐに返す。


相手が下がる。


その瞬間。


エレナは周囲へ視線を走らせた。


山賊たちの奥。


少し離れた場所。


そこに。


周囲へ何かを叫んでいる男がいる。


他の山賊たちとは。


動きが違う。


エレナはすぐに声を上げた。


「隊長!」


ラウルが振り向く。


「敵の頭がいます!」


エレナが前方を示す。


ラウルも。


その男を確認した。


周囲にいる山賊たちへ声を飛ばしている。


ラウルは。


すぐに判断する。


「エレナ!」


「はい!」


「アレン!」


「はい!」


「コルティオ! ベルン!」


二人もラウルを見る。


ラウルは前方の男を指した。


「あの頭を狙ってくれ!」


「了解!」


エレナが答える。


コルティオも。


すぐに前へ向かおうとする。


その前に。


右側を見る。


「テオ! ハンス! グレゴール!」


三人へ声を飛ばす。


「ここは任せたっす!」


「分かりました!」


ハンスが答える。


「さっさと行け!」


グレゴールが。


迫ってきた山賊へ剣を振るう。


コルティオはすぐに前へ向かった。


ラウルは。


その場に残る。


「ザック!」


「おう!」


「ここを抑えるぞ」


「了解です!」


ラウルとザックは。


迫ってくる山賊へ向き直った。


◇ ◇ ◇


最初に動いたのは。


エレナだった。


地面を蹴る。


一気に。


前へ。


その速さに。


目の前にいた山賊の反応が遅れる。


エレナはその横を抜け。


山賊の頭へ向かう。


「行かせるか!」


別の山賊が。


エレナの前へ出ようとする。


だが。


その横から。


コルティオが入った。


素早く距離を詰め。


山賊の動きを止める。


「そっちは行かせないっすよ!」


さらに。


アレンが前へ出る。


剣を振るい。


前を塞ごうとする山賊へ攻め込んだ。


一撃。


二撃。


相手に反撃する隙を与えず。


剣を打ち込んでいく。


そして。


ベルンは三人の後ろから。


周囲の動きを見ていた。


エレナ。


コルティオ。


アレン。


三人が前へ進めるように。


横から入ろうとする山賊を抑える。


四人が。


一気に山賊の頭へ迫った。


「くそっ!」


男が剣を構える。


エレナが斬り込む。


男が受ける。


そこへ。


コルティオが横から入った。


男の意識が動く。


その隙を。


アレンが逃さない。


さらに。


ベルンが三人の動きを補う。


一人ではない。


四人で。


男を追い詰めていく。


そして。


山賊の頭が。


その場に倒れた。


「頭がやられた!」


誰かが叫ぶ。


その声が。


周囲へ広がっていく。


山賊たちの動きが止まる。


一人が後ろを見る。


別の一人も。


剣を構えたまま下がる。


「逃げろ!」


その言葉をきっかけに。


山賊たちは。


次々と林の中へ逃げ始めた。


一人。


また一人。


散り散りになり。


街道から姿を消していく。


「隊長!」


ザックが。


逃げていく山賊たちを見る。


「追いますか?」


ラウルも。


逃げる山賊たちを見た。


だが。


すぐに首を横に振る。


「いや、負傷者の確認が先だ」


「分かりました」


ザックが剣を下ろす。


ラウルは。


周囲を見る。


「全員、怪我を確認してくれ!」


戦闘を終えた隊員たちが。


それぞれの状態を確認していく。


服が切れている者。


小さな切り傷を負った者。


戦いの中で身体を打った者。


多少の怪我はあった。


それでも。


重大な負傷をした者はいない。


三台の荷馬車も。


そこに残っている。


ラウルは。


十二人の姿を一人ずつ確認した。


初めて。


ローウェン小隊だけで経験した。


実戦。


突然の襲撃だった。


それでも。


大きな被害を出すことなく。


山賊たちとの戦闘を終えることができた。


細い街道には。


戦いの跡だけが。


残されていた。

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