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63.sideアレクシス③

いつもありがとうございますm(__)m

「どういう事ですか!」

「落ち着け川田!どうしようもないんだ!」

「だっておかしいじゃないですか、先輩!カッバーニーが殺されるなんて!先週、会ったばかりですよ?!」

「聞け、川田!俺達の仕事にはこういう事もある!俺達が今いるところは、安全が保障されている日本ではないんだ!」

「しかも、カッバーニーの会社の代わりがマクトゥーム家なんて…」

「カッバーニーの会社はマクトゥーム家の石油会社が買い取る事になっている。形式的には、カッバーニーの会社との取引は継続される」

「でも、規模は違えどマクトゥーム家はライバル会社ですよ!」

「世間的には、経営者が死んで後継者に憂慮していたカッバーニーをマクトゥームが助けた、という美談になっている」


「絶対にマクトゥームに殺されたんだ…」

「おい!滅多な事を言うな!」

「だって…、そんなに石油王が偉いんですか!」

「あぁ、偉いさ」

『課長!!』

「川田、勘違いしていないか?俺達の使命は、石油や資源を日本に送る流通経路を()()()()確保する事だぞ?」

「しかし!」

「義理人情で通る世界じゃないんだ!俺達が石油王の反感を買えば、日本にエネルギーが届かなくなるんだぞ!お前は、日本国民に不便な生活を強いるのか!!」

「…でも」

「気持ちはわかる。しかし、カッバーニーも覚悟していた筈だ。親族の反対もなく、マクトゥームの買収がすんなりいったのも、おそらく最悪を考えて準備していたんだろう…」

「……そんな…」


「悲しんでる暇は無い!明日からはマクトゥームとの交渉だ!カッバーニーに報いるためにも気合入れろよ!」

『はい!!!!!』


「それから、川田…」

「はい」

「石油王とは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「えっ…?」

「金持ちの考える事はわからんが、何かが起こっても庇ってやれないという事だ。忘れるなよ!」

「…はい」



俺はゆっくり目を開ける。

色々あり、どうやら執務室の机でうたた寝をしてしまったようだ。

それにしても、懐かしい事を思い出した…。

あの後は、どうなったんだっけかな?

もう、思い出せないや…。


そんな風に感傷に浸っていると、ノックの音が聞こえる。


「どうぞ」

「失礼します」


そう言って入ってきたのは、クロエだった。

湯気の出ているティーセットを乗せたワゴンを押している。


「クロエ…、なぜ君が?」

「ずいぶんお疲れなのですね?すごく(うな)されていましたよ?」

「本当に?」

「ええ。なので、人払いをしておきましたわ」

「ありがとう…」


入ってきたのがクロエで良かった…。

親しくない人間に、そんな弱った姿は見せたくないからな。


「今、お茶を用意しますね」

「クロエがやるの?」

「失礼な。お茶を淹れるくらい私にも出来ますわ」

「俺はなんて贅沢なんだろうな。公爵令嬢にお茶を淹れさすなんて…」

「いつも公爵子息に淹れさせている人の言葉とは思えませんわ」

「確かに…」


思わず笑ってしまう。クロエも笑っていた。

この穏やかな時が、すごく心地よい。

クロエに淹れてもらったお茶を一口飲む。


「おいしい…」

「私の淹れたお茶ですもの。当たり前ですわ」

「また、()()()()()()ハーブティーじゃないよね?」

「違います!」


クロエがむくれている。

本当に可愛くて困るな…。


「ごめんごめん。でも、気分が落ち着いてきたよ」

「それは良かっです」


クロエがにっこりとする。

本当は、どんな夢を見ていたのか聞きたいのだろう。

微妙にそわそわしている。

しかし、俺が自分から言わない限り、詳しく聞いてこないんだろうな。

クロエはそういう娘だ。


壁を壊して心にズカズカと入ってきたと思えば、一歩引いてこちらの様子を伺ったりする。

寄り添って欲しい時にそばにいてくれて、一人になりたい時はそっとしておいてくれる。

クロエは、心の距離のとり方が絶妙なのだ。

だからこそ、安らぎを与えてくれる。

俺がクロエを手放せない理由の一つでもある。


「実は、昔の夢を見ていたんだ…」

「子供の頃のですか?」

「いや、もっと前だよ。前世ってヤツ…」

「前世、ですか…」

「あぁ。ルシル嬢の事件は、思ったより俺の心にダメージを与えたらしい…」

「痛ましい事件でしたものね…」


クロエも伏し目がちに答える。

発見されたルシル嬢は、一部白骨化もしていたが、とても痩せていたという。そして所々に痣や傷、火傷の跡があり、とてもじゃないが令嬢として扱われていた様子は伺えなかった。


「あんな事件は、二度と起こらないようにしなければな…」


俺は顔をしかめる。

その時、フッと目の前が暗くなり、花の香りに包まれる。


「アレクならきっと出来ますわ」


そう言って、クロエが抱きしめてくれたのだ。

俺は椅子に座っていたため、ちょうどクロエに抱き込まれるような感じになる。

母親のような温もりに、涙が出そうになった。

こんなにも、全面的に俺を認めてくれる存在がいる…。

その事がとても心強い。


「あぁ。必ずやってみせるさ!」


俺は決意を新たにした。


「……ところでアレク」

「何?クロエ?」

「私のお尻の辺りに、不埒な手があるんですが?」

「えっ?そうかなぁ?不埒って、こんな感じ?」


手を動かした瞬間、クロエに殴られた…。


「痛っ!クロエ、グーで殴るの2回目!」

「アレクが悪いのよ!」

「まぁ、そーだけど…」


ちょっとくらい、触らせてくれたっていいのに…。

しょんぼりしていると、クロエから思いもよらない言葉を聞かされる。


「まずは即位式をしっかりやって下さい!そしたら王宮に一泊しても良いと、お父様が言っていました」

「えっ!ホントに?」

「はい」

「クロエ!俺、頑張るからね!」

「はいはい…」


俄然、燃えてきた。

絶対に立派に王位を継承してみせるぞ!!



頑張れ、アレク!


✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩


読んでみて面白かったなぁと思われた方は、よろしければブクマ評価もお願いしたいです!!

大変、励みになります(。>﹏<。)

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