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53.王の系譜

「どういう事なんですか?ルディ、エイダ王女」


殿下が、ルドルフ王子とエイダ王女に訊ねる。


「戸籍上は兄妹だ。そこは間違い無い」

「しかし、血は繋がっていないと…」

「オルフェル連邦国が、2つの国から出来ている事は知っているね」

「はい」

「あぁ、我も知っているぞ」


ショウ王子とフェイロン皇子が頷く。


「オルフェル連邦国には、王の系譜が二つあるんだ。一つはスティールド王国、もう一つはアートクィン公国。両国は今は一つになったが、王の系譜はそれぞれ残している。私とエイダは、それを継いでいるんだ」

「しかし、何故兄妹に?」

「通常は、血が濃くならない程度に両系譜での婚姻をしている。あくまで両国が平等であるようにとね。だいたい、5世代ごとに行われているかな?ちょうど私たちも、婚姻の世代に当たったんだが…」

「私が拒みましたの」

「そうなんだ…。だからエイダを養子に迎える事にした」

「兄妹なのにお二人の顔立ちが違うのは、そういった事があったのですね」


殿下が納得している。


「エイダ…。何故なんだ!何故、私と婚姻してくれない!」


ルドルフ王子が詰め寄る。


「ルディは、エイダ王女の事が好きなのか?」

「当たり前だろう!初めて会った時からエイダしか見ていない!妹になると知った時の俺の絶望がわかるか?」


ルドルフ王子が悲壮感たっぷりに告白する。

エイダ王女を見ると、何とも言えない顔をしている。

アレクシス殿下がエイダ王女に問いかける。


「先程の交換条件とはもしや…」

「えぇ、アレクシス王子。私に、婚約者を()てがって欲しかったのです」

「エイダ!!何て事を!!」


ルドルフ王子が泣きそうだ。

しかし、この嫌われっぷり…。

何故、こうも嫌われてしまっているのだろう。


「そもそも何故、エイダ王女はそんなにもルディが嫌なのだ?」


フェイロン皇子が聞く。

さりげに『ルディ』呼びになっている…。


「そうだ!何故なんだエイダ!いつもはぐらかされているが、今日こそは教えてもらいたい!」


うわ〜…、ルドルフ王子の問いかけに、エイダ王女の顔が凄い事になっている。

嫌悪感を顔に表すと、こんな風になるんだな…。


「お兄様…、覚えていないんですの?」

「だから何をだ!悪い所があれば直すから、本当に教えて欲しい…。エイダを好き過ぎて、いい加減狂いそうだ!」


切実だな。

好きな人にここまで拒絶されたら、確かに身を切られる思いだろう。


「エイダ王女、教えてあげてくれないか?何か解決策があるかもしれないし…」


殿下が促す。

エイダ王女はため息を一つつき、話し出した。


「わかりましたわ。では、教えてあげましょう。何故、私がお兄様を嫌いなのか…」



結果、全員一致でルドルフ王子が悪いという結論に達した。

それはもう、弁解の余地もないくらいに…。



ルドルフ王子は小さい頃から天才だった。

特に、何かに感性を刺激された時の曲は素晴らしい出来だったそうだ。

そんな王子がエイダ王女に会ったのは彼が10歳の時。エイダ王女は7歳だった。

すでに作曲家として天賦の才を発揮していた中で、エイダ王女との出会いは衝撃的だったという。


初めて会った時、虫に驚いたエイダ王女の悲鳴を聞いてから、作曲家としての能力が一段階成長してしまったそうだ。

以来、エイダ王女は、顔を合わせれば虫攻めに遭ってしまう。


また、別の日には偶然ヴァイオリンの弓がエイダ王女に当たってしまったそうだ。その時の悲鳴に触発されて作った曲は、後世に残るような傑作になってしまう。

以来、エイダ王女は急に叩かれる事が多くなったそうだ。


またまたある時には、ルドルフ王子はエイダ王女が泣いている場面に出くわしてしまう。

その泣き声に構想を得たルドルフ王子は、弱冠13歳にしてオペラを書き上げる。

その内容が素晴らしく、今や各国でロングラン公演中のあの有名作だ。

以来、彼はエイダ王女を泣かす事に邁進しているという…。


何と言うか、気の毒にという言葉に尽きる…。

エイダ王女がルドルフ王子を嫌う理由がわかり過ぎる。

そんな事を7歳から続けられている身としては、婚姻なんて(もっ)ての(ほか)であろう。


「それ、オルフェル国王は気付いていないの?」

「気付いてますわ!でも、『ルドルフの才能を廃れさせるワケにはいかない』と、私をお兄様の側に置きますのよ!まったく信じられない!」


芸術家の思考って…。


「お兄様と結婚してしまうと二度と逃げられないと思いまして、兄妹になる事で手を打ったんです。なので、今回のミストラル訪問は私にとっても人生がかかっていますの!他国に出る為に!」

「そんな!エイダ…。全ては君のための曲なのに…」

「虫酸が走りますわ…」


エイダ王女は、ゴミ虫を見るような目でルドルフ王子を見る。

あ〜、うん。自業自得だな。

エイダちゃん、男性不信になるレベルだな…。


✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩


読んでみて面白かったなぁと思われた方は、よろしければブクマ評価もお願いしたいです!!

大変、励みになります(。>﹏<。)

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