50.ウィラー公爵邸
いつもありがとうございます\(^o^)/
50話です!
「まったく、お父様ったら!」
「クロエ、落ち着いて」
「いいのよ、レティ。アレくらいしないと、あの人はいつまで経ってもあのままよ?」
ウィラー公爵家の庭園にて、麗しい3人が優雅にティータイムを過ごしている。
話題は今朝の出来事だ。
クロエがアレクシス殿下に「いってらっしゃい」のキスをした事で、当主であるウィラー公爵が絶望の底に突き落とされたのである。そして、追い打ちをかけるように妻のヴィクトリアに詰られ、絶望の底に埋められた。
「ロイドとレティの進展も気掛かりだけど、クロエと殿下の進展についても問題ね」
40代になっても尚、衰えない美貌の公爵夫人がため息を漏らす。
「レティは、昨夜はどうだったの?」
クロエが訊ねる。
「い、一緒にベッドで寝ただけです!」
「本当にそうかしら〜?」
にっこり微笑みながらヴィクトリアが首元を指差す。
「!!!」
指摘された途端に、レティが素早い動きで首元を押さえた。
「え〜!お兄様ったら、やるわね…」
クロエもニヤニヤしている。
「いや、あの…、ホントにこれ以上の事は何も!!」
「わかっているわよ。むしろそこまでは進む気になったのね、と成長を微笑ましく思っているわ」
「えっ?」
「あの子、変に頑固だし、自制心が人一倍強いでしょう?貴女とそういう関係になることを躊躇しているのよ」
「えっ…?」
レティの顔色が悪くなる。
その様子に慌ててヴィクトリアが弁明する。
「誤解しないで!レティが嫌いとか、添い遂げたく無い、という事では無いの。結婚前に男女の関係になる事を躊躇っているのよ!」
「…そう、なんですか?」
レティが心配そうに聞き直す。
「ええ。レティの気持ちが最優先なんですって。男の醜い欲望で大切なレティを傷つけたくないそうよ」
「ロイ様…」
レティの頬が赤くなる。
そんな様子を見て、クロエが呆れたように言う。
「お兄様、恋愛に関しては純朴だから」
「そうね。まぁ、そういう所はルーカス似よね」
「えっ!?」
「何よクロエ。知らなかったの?」
「お父様と純朴は対極にあると思ってました…」
「うふふふ。最近のあの人はそう思われても仕方がないかもしれないわね」
そう言って、優雅にお茶を飲む。
「そういえば、ヴィクトリア様とルーカス様はどうやって知り合ったのですか?」
「えっ?私とルーカス?」
「レティ、そんなの決まってるじゃない!きっと、お母様に惚れたお父様が、お母様の退路を断って結婚したのよ!ねぇ、そうでしょ?お母様」
「あらあら」
「えっ?そうなんですか?!」
「全然違うわ」
「えっ!」
そしてヴィクトリアは急に笑い出す。
「お、お母様…?」
「ふふっ、やだわ。巷ではそんな風に思われているのね。まるでルーカスが悪者じゃない」
「違うの?」
「ええ。だって、私がルーカスの退路を断って捕まえたのだもの」
『ええぇ〜〜!!』
二人の驚く声がこだまする。
「ど、ど、ど、どういう事なの!お母様!」
「ヴィクトリア様!?」
「だから、私の方が先にルーカスを好きになったのよ。あの人ったら仕事一筋で、全然見向きもしないんだもの。少し強引に迫ってあげたわ」
「えっ!お母様の魅力でもダメだったんですか?」
「ヴィクトリア様が微笑めば落ちない男はいない、と母に聞きましたが…」
「そんな、昔の事よ〜。ナディアったら…」
「今でも十分、通用すると思いますが…」
「ありがとう、レティ」
ヴィクトリアがレティの手を握って微笑む。
その様子にレティは顔が真っ赤になった。
彼女の魅力は、異性だけでなく同性も魅了するようだ。
「それにルーカス争奪戦は激しかったわ…。だって、顔良し、家柄良し、高身長、おまけに仕事も出来るのよ!少しでも自分に自信のある女は、狙わないワケないでしょう!」
「お母様…、だいぶ肉食系なのね…」
「今更?クロエはもう少し、人を見る目を養った方がいいわね」
頬に手をあて、ヴィクトリアはため息をつく。
「お母様が意外すぎるのよ…。でも、よくお父様に選んでもらえましたね?」
「家柄で一歩リードはしてたのよ。実家は侯爵家だし。あとは地味にアプローチを続けたわ」
「どれくらい?」
「3年よ」
「長っ!」
「諦めきれなかったのよ。いつもは冷たいクセに、たまに優しくしてくるから…」
「お母様…」
「最終的に、既成事実を捏造してやったわ」
まさかの行動に、クロエとレティが固まる。
「それ…、お父様にはバレなかったの?」
「バレたわよ。ただ、『私を嵌めるような女性となら、この先も退屈しなさそうだな』と言って、私を選んでくれたのよ。嬉しかったわ〜」
「でも、今はルーカス様の方がヴィクトリア様を好きなような気がしますが…」
ヴィクトリアはその言葉に急に真面目になる。
「ルーカスは乾いたスポンジだったの。私が愛情を注げば注ぐほど、愛を吸収したわ。私の口から言う事ではないから詳しくは言えないけど、そういう生い立ちだったのよ。私に会ってから愛を知ったようだったわ…」
「……」
「でも、今のように愛情深くなったのは私だけの力じゃないわよ。ロイドやクロエが生まれて、心の中の愛の器が少しずつ大きくなっていったの。きっとこの先、ロイドとレティや殿下とクロエに子供が出来れば、更にルーカスの器は大きくなっていくでしょうね」
「お母様…」
「ヴィクトリア様…」
「だから二人には期待しているわよ。もっとルーカスに色々な愛を教えてあげてね」
そう言ってヴィクトリアはウインクする。
『はい!』
公爵家自慢の庭で、穏やかな笑い声と共に温かい風が3人の間を通り抜けていった。
記念すべき50話は、公爵家の女性達の話でした!
✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩
読んでみて面白かったなぁと思われた方は、よろしければブクマ評価もお願いしたいです!!
大変、励みになります(。>﹏<。)




