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42.それって… sideアレクシス②

「ではお祖母様、詳細をお聞きしたいのですけど」

「うむ。だが、妾もよくわからない事も多いからな…。シェリー!」

「はい、ユファ様」

「フェイをここに呼んできてくれ」

「承知致しました」


王太后様の侍女が庭園を出て行く。

俺たちはその間にできる限りの情報収集につとめた。


「皇帝陛下は、どんな症状なんですか?」

「フェイの話によると、くしゃみ、鼻水、咳がひどいらしい。最初は風邪かと思ったそうだが、目が凄く腫れているそうでな。痒みもひどいらしい。風邪ではそんな症状は出んからな」


うん?それって…。


「もしや、熱が無いのにボーッとしたりしてます?」

「おお!その通りだ!そのせいで、公務もままならないらしい。気力も無くなっているそうだ。最近は口の中も荒れてきて、唇も腫れてきたそうだぞ」


お祖母様の話に、思い当たるものがあった。

実は前世で俺もそれで苦しんだ。

というか国民の大半が苦しんでいたと思う。

確認したい事ができた為、俺はロイドにユリアを呼んでくるように頼んだ。


「ユリアですか?」

「ああ、そうだ。俺の考えが正しければ、皇帝陛下の症状はあの病だと思う。その答え合わせがしたいからユリアが必要なんだ」

「わかりました。すぐに呼んできます」


ロイドはそう言って去っていった。


「なんと!アレクは話を聞いただけで病がわかったのか!」

「可能性の話ですよ」


実際、合っているかはわからん。

俺の知らない症状もあるし。

唇が腫れるとか聞いた事が無い。

ユリアを呼んでくるように言ったのも、前世が農学部の学生だったようだからそこらへんの知識も多少なりともあるかな、と思っただけだ。


「シュブランでは、手を尽くしてもわからなかったと聞く。アレクはどうやってその病に思い至ったのだ?」


マズイ…。

前世の知識ですとは、口が裂けても言えない…。

どうしたものか…。

お祖母様を見ると、早く教えろと言わんばかりだ。


「これからロイドが呼んでくる人物に聞いた事があるのです」

「そうなのか!それはとても優秀な人物なのだな。しかも先ほどの話だと女性ではなかったか?」

「はい、ユリアは女性です」


そして王家の影です…。


「なるほど…」


お祖母様が考え込んでいる。

何か嫌な予感がするな…。


「そうだアレク。その女性をお前の愛妾にするのはどうだ?祖国の後宮制度に疑問を持っている妾が言うのもなんだが、斯様(かよう)に優秀な女性は、王家で囲っておいた方がいいのではないか?」


もう囲ってますよ。王家の影として。

とは流石に言えない…。

そしてやっぱり愛妾の話か…。


「…お祖母様、怒りますよ?」

「何故だ?」

「先ほど話した通り私はクロエしか愛せません。この命尽きるまで、横にいて欲しいのはクロエただ一人です!」

「子供が出来なかったらどうするのだ?」

「そうしたらアナスタシアが何とかするでしょう。念の為、エストワールも残していますし」

「妹と弟に押し付けるのか?」

「そうです。私は不妊の責務をクロエだけに負わせたくありませんから。私が原因かもしれませんしね」

「お前と言うヤツは…」

「私にとってそれだけクロエは大切な存在なのです」

「…わかった。もうこれ以上は言うまいよ」

「ご理解いただけて良かったです」


俺はにっこりとお祖母様に微笑みかける。

お祖母様は呆れたような顔をしていた。

しかし、これだけは譲れない。

王太子として失格な考えだろうが、これが俺だ。

ありのままを認めてもらうしかない。


そんな話をしていると、タイミング良くフェイロン皇子とユリアがやって来た。


「おぉ、フェイ!よく来たな」

「伯母様、我もそんなにヒマじゃない。急に呼び出すのは止めてほしいね」

「悪かったな。だが、お前にとっても朗報があるぞ」

「どういう事か?」

「アレクが、兄上の病がわかるかもしれないそうだ」

「なっ…!伯母様!喋ったのか!!」

「いや、公爵家の情報網に引っかかったそうだぞ。全てバレておる」


フェイロン皇子が勢いよくロイドを見る。

その視線にも負けず、ロイドは涼しい顔をしていた。


「ウィラー家は、我が国にも入り込んでいるのか?」

「そこらへんはお互い様かと…」


確かにそうだな…。

シュブラン皇国のスパイも割とこの国にはいるからな。


「……、はぁ〜。わかった。全て話す。だからアレクよ、治療法を教えてくれぬか」

「わかりました」

「その前に、この女は何だ?」

「彼女が解決の糸口です」

「こんな侍女風情がか?」


フェイロン皇子は怪訝そうにユリアを見る。

ユリアはその視線をご褒美のように受け取っている。

怪しく思うのも無理はない。

そこにお祖母様の助け舟が入る。


「アレクの話によると、その女性は兄上が罹っている病に詳しいらしいぞ」

「そんな!シュブラン皇国が手を尽くしてもわからなかったのに…」


フェイロン皇子は目を見開いて、とても驚いている。

ユリアを見ると同じ顔をしていた。

明らかに、

「何の話ですか!?私、何も聞いてないんですけど!いきなり連れてこられただけなんですけど!」

という顔をしている。


すまん、ユリア。

お前の犠牲は無駄にしない。

お気づきかもしれませんが、国民病のアレです。


✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩


読んでみて面白かったなぁと思われた方は、よろしければブクマ評価もお願いしたいです!!

大変、励みになります(。>﹏<。)

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