ジェイド・ヴェルンの幸福
番外編できました。
よろしくお願いします!
――――10年前
「あなたもです、ジェイド・ヴェルン」
えっ!??
俺は大きく目を見開く。
「わたくし、しんの無い方は好みませんの」
そう言って、俺の矜持を砕きながら綺麗に微笑んだ齢5歳の少女に、17歳の俺は強烈な一目惚れをした。
これがアナスタシア王女殿下と俺、ジェイド・ヴェルンとの出会いだった。
―――――――――――――――――――
俺は、ジェイド・ヴェルン。
ヴェルン侯爵家の嫡男である。サラサラのシルバーブロンドにサファイアのような濃藍色の瞳、高身長で騎士科を専攻しているため体つきも引き締まっている。
学業の方も学園のトップ10には必ず入っており、端正な顔立ちと穏やかな人柄で、はっきり言ってモテる。
めちゃくちゃモテる!
でも、人生イージーモード状態が長いこと継続中のため、このところ何も興味が持てないでいる。
もちろん貴族だから、そんな事はおくびにも出さないけどね。
17歳にもなると、友人たちは将来の事や恋愛に忙しそうだ。
一人っ子の俺は、将来のヴェルン侯爵を継ぐ事が確実なため職には困っていない。騎士科を専攻したのも、騎士団関係という貴族とは別のコネクションが欲しいのと、今しか出来ないことをやってみたいという好奇心からだった。
ただ、元来何でもソツなくこなせる俺は、騎士科の履修科目でも優秀な成績を収めていたため、退屈していた。
恋愛も何人かの令嬢と付き合ってはみたが、イマイチ本気にはなれなかった。だからいつもフラレておしまい。
友人たちからは、
「ジェイド、またフラレたのかよ!お前、何でも出来るみんなの憧れの王子様なのに、恋愛に関してはダメダメだな」
「もう、自分で将来の相手を探すのは無理なんじゃないか?早く、親に言って婚約者作ってもらえよ。お前ならすぐに出来るだろ?」
「そうそう。下位の令嬢なら恋愛オンチのジェイドでも、婚約が無くなる事はないだろう?」
などなど…と、まぁヒドい云われようだった。
でも、このお陰でみんなの顰蹙を買わずに済んでいたのも事実だった。友人たちは、恋愛面では俺より上位にいることに優越感を持っていたからだ。
俺はこのぬるま湯のような状態から抜け出しもせず、また、抜け出そうとする努力もしなかった。
まさに、無気力人間だったのだ。
でも、そんな俺の運命を変える日は着実に近づいていた。
「ジェイド、お前も選ばれているからな」
廊下ですれ違いざまに放たれた教員の言葉に、一瞬何の事かわからず反応が遅れる。
俺が考えを巡らせている間に、教員はため息をつきながら説明してくれた。
「はぁ…、まったく。忘れたのか?騎士科専攻の生徒の中から、何人か優秀な生徒に近衛騎士団へ実習へ行ってもらうと授業で言っただろうが」
そういえばそんな事も言っていたな…。
日々を無為に過ごしていたから忘れていた。
「すみません先生。まさか自分が選ばれるとは思わなかったので…」
俺は驚く演技をしつつ、愛想の良い顔で答える。
「おいおい、しっかりしてくれよ?座学も実技も優秀なお前が選ばれないわけがないだろ。まぁ近衛騎士団に行っても、その中から実習に参加できる人員は絞られる可能性もあるけどな」
「そうなんですか?」
「あぁ、その年によってだが…。学園で選んだ生徒がそのまま全員参加できる事もあれば、全員突き返される事もある。近衛は王族警護をするから、しっかりと為人が見られるんだろう。まぁ、さすがに全員突き返された時は、ティーダ国との争いが激化しそうな時だったからしょうがないけどな」
「へー、そうなんですか…」
為人か…。
近衛騎士団は、果たして俺の本性を見抜けるのだろうか?
彼らを欺けたら、ちょっとオモシロイかもしれない。
俺の中の好奇心と、ちょっとしたイタズラ心が首をもたげる。
「でもジェイドなら大丈夫だろう。期待しているからな」
「はい!精一杯、頑張ります」
教員が俺の肩を叩いてからその場を離れる。
俺はその姿を見送りながら、ほくそ笑んだ。
あぁ…、また簡単に騙されて。
本当に学園は退屈だ。
近衛騎士団は、少しは俺を楽しませてくれるだろうか?
書こう書こうと思ってたらだいぶ時間がかかってしまいました(^_^;)
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