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100/105

100.ハッピーエンド

本編ラストです。

お付き合いいただき、ありがとうございました。

ホールの音楽が変わる。

ダンスの合図だ。


アレクシス陛下が、クロエを伴い中央に躍り出る。

息のあったダンスに、皆の目が集まった。

他者の視線をものともせず、二人共堂々としている。

時折り、目配せをしたり顔を寄せ合ったりしている。

仲の良さアピールが今日は一段と激しいな。

何よりもアレクシス陛下の蕩けるような顔が、クロエを如何に愛しているかを物語っている。

これを見て、側妃を夢見る令嬢達も少しは考え直してくれればいいが…。


フィニッシュを決め、二人がお辞儀をする。

拍手の波が会場を包み込んだ。

二人が場を譲ると、次々とダンスホールに男女が躍り出る。

皆、アレクシス陛下とクロエのダンスに触発されたようだった。


「レティ、俺たちも踊ろうか?」

「はい!ロイ様」


レティが満面の笑みで答えてくれる。

俺たちもホールに躍り出た。

周りを見ると、イスターク、クリストフ、ヨハンも踊っている。皆、それぞれの婚約者にとてつもなく甘い顔で微笑んでいた。

あぁ…、『シナリオ』という目に見えない敵を倒せたようで良かった。

仲間が幸福であることがこんなにも安心感を与えてくれるなんて。俺は意外と仲間思いだったんだな…。


クルクルと踊りながらそんな事を考えた。

曲が終わり、お互いに向き合って一礼する。顔をあげたレティの微笑みを見て、俺は何度目か分からない恋に落ちた。


仲間も大切だが、やはり俺はレティを一生かけて愛したい。

いや、例え生まれ変わったとしても、君を探し出して愛を囁きたい。

君はもう、俺に囚われてしまっている。

逃してやることはできない。


俺はそんなドロドロした執着心を隠し、レティの手を取る。

そして、絶え間なく愛していると伝える。

レティは恥ずかしがるが、こればかりは譲れない。

俺はこれから、最後の時まで君を溺愛するのだから。



――――数ヶ月後


「はぁぁぁ〜、疲れた…。癒やしが欲しい」


アレクシス陛下が執務室の机に上半身を投げ出す。


「陛下、これが終わらなければ結婚式なんて夢のまた夢ですよ?」

「わかってるんだけどさ〜。宰相!そろそろ休憩入れさせて!」


陛下が、父である宰相に泣き言をいう。

即位してから次の日には、もう陛下の仕事を振り分けられていた。

なまじ能力があるため、どんどん仕事を振られている。

もちろん、俺たちもそうだ。

馬車馬のように働かされている。


「ほらほら、そんな事を言わずに!もう少しで終わりますから」

「それ、1時間前にも聞いたんだが…」

「おや?そうでしたか?年を取ると、物忘れが激しくなりましてね」


ニコニコしながら、そんな事を言ってくる。

まったく、この人は…。

俺は、母から伝授されている奥の手を使う事にした。


「宰相。母上が、今日は早く帰ってきて欲しいと言っていましたよ?何か約束をしていたのでは?」


俺の言葉に、何やら考え込んでいる。

暫くすると、何か思い出したようだった。


「そうだ!今日は、ベビー用品を見に行こうと約束していたんだった!陛下、急ぎ帰らねばなりませんので、今日はこれくらいにしましょう」

「助かった…」

「それでは私は失礼します」


そう言って宰相は去って行った。

本当にブレないな、あの人は…。


「はぁ…。でも、まだまだ仕事があるんですよね?」


ヨハンがやつれたような顔で聞く。

それに対し、俺は答える。


「あるにはありますが、1ヶ月分は終わっていますよ」

『えっ?』


あれ?みんな気づいて無かったのか?


「なので、このまま解散しても大丈夫かと…」


俺の発言にクリストフとイスタークが反応する。


「何でそんな先の事まで仕事ふってきてるの、あの鬼宰相!」

「まったくだ!お陰でクタクタで帰るから、ギャビーとイチャイチャしててもすぐに寝落ちしてしまう!」

「兄貴も!?俺も何だけど…」

「僕もです…」

「私だってそうだ!」


皆、父に疲労を上手くコントロールされている。

まだまだ父から学ぶ事は多いな…。

そんな事をしみじみと思った。


クロエは陛下が即位してから、居を王宮に移した。

その為、陛下は仕事が終わると浮かれながら帰る。

毎日、クロエに会えて幸せのようだ。


イスタークは、俺たちの中で一番始めに結婚することが決まっている。ほぼ毎日、結婚式の打ち合わせがあり、それも大変なようだ。しかし仕事とは違い、幸せな疲労だとか。


クリストフも居をカイオム伯爵家に移している。

最近は滞っていた時期伯爵教育も本格化してきたらしく、こちらも嬉しい疲労のようだ。


ヨハンはこの中で一番大変そうだ。

実は製薬や免税店の実績が認められ、伯爵への陞爵が決まっている。爵位が上がることで上級貴族となるため、新しい教育が必要となってくる。

婚約者のシルヴィア嬢の生家、クインビー伯爵家に教わりながら、ベイカー子爵と共に目下勉強中だそうだ。


俺は別邸に移ったくらいで、特に日常に変化は無い。

毎日、レティと二人で甘い生活を堪能しているだけだ。


『今日こそは思う存分、イチャイチャするぞ!』


皆の心が一つになった

そそくさと仕事を片付け、帰路につく。

皆、顔は幸せで溢れていた。


俺は思う。

愛する者と過ごす幸せが、この先も続く事を。



おわり




これにて本編は終了です。

まだまだ書きたい事(側近ズのその後や、アナスタシアの恋など)がたくさんあるので、番外編を掲載予定です。

ただ、掲載時期は不定期になります。

皆様、このシリーズに長くお付き合いただきありがとうございました。

これからもよろしくお願いします。

m(_ _)m


✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩


読んでみて面白かったなぁと思われた方は、よろしければブクマ評価もお願いしたいです!!

大変、励みになります(。>﹏<。)

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