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眠れる星の少女  作者: 今井まい
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2耳障りなラジオ

「緊急時空波速報です。先程隕石からの発光が観測されました。時空波の予定到着時刻はただ今の時刻から3時間40分後の14時21分です。自宅やお近くのシェルターへ今すぐ移動を始めてください。繰り返します。先程……」




けたたましい音でなるラジオ。外から聞こえる物騒なサイレン。

せっかく今日は好きなゲストが出るのに…私はため息をつく。


5年前、時空波のせいで世界は変わってしまった。

一度時空波が来ると人間社会は停止する。何故隕石がこんなことをするのか5年経つ今も不明だ。


私だけを除いて。


私には時空波が効かないとわかった5年前、あれは高校の授業中だった。

1か月半前に隕石が落ちてきてから学校は隕石の話題で持ち切りだった。「全世界に破片が散らばったらしい」「地球滅亡だ」「世界が終わるなら受験勉強しなくていいね」など話題に尽きなかった。17歳だった私は最初こそ何かが起きることを期待したが、何事もないとわかると次第に飽きてしまった。

鬱々とした気持ちでノートをとっていると、突然あたりが青い光に包まれた。世界初の時空波の発生だ。

何が起きたのかわからずあたりを見回すと、クラスメイトは全員机に突っ伏していた。運悪く姿勢が悪かった人は椅子から滑り落ち、黒板を書いていた教師は床に倒れてしまった。

私は慌てふためいた。隣の席の友人に「ねえ!?生きてるの!?」と声をかけたが反応がない。しかし、息はしっかりとしていて気持ちよさそうに寝ていた。外には運転中に眠りに落ちたようで電柱に激突した車、道に転がっている人などが見えた。頭上に飛行機が低空飛行で通り、遠くで落下した時には世界の滅亡が始まったのではと思った。


だめだ。思いだしてはいけない。

あの時あの光景を見ていたのは私だけだ。




「14時20分になりました。時空波まであと1分…時空波の終了時刻は2時間後の16時21分と予報されています。政府は事故や転倒を防ぐためサイレンが鳴り始めたら直ちに安全な体制になることを推奨しています。あと10秒…では、皆様よい夢を。」



ラジオが停止した。あたりはサイレンも一斉に鳴りやみ、時空波の青色の光に照らされる。

人間が停止した。

生活音がすべて消え、青色の光に包まれた世界。


今日の時空波はちょうどお昼寝タイムだな…皆さぞかし気持ち良い睡眠をとっているだろう。



しばらく窓から海を眺めていると、鳴らないはずのラジオから謎の機械音が聞こえた。

驚いて耳を当てた、ピーーーーーーーーーーーーーーーという高い音が10秒ほど続いた。何故?誰が流しているの?よくわからないが何かが起きている。外を見回してみた。誰もいない。

なんだ機械の誤作動か…そう思って落胆していると、謎のエンジンの音が聞こえた。原付バイクが家の前を通り過ぎたのだ。

誰!?誰なの!?私以外にも眠らない人がいるの!?

バックに携帯だけを入れ、慌てて靴を履き替え、外の階段をかけおりる。まだ近くにいるはず。

原付バイクが通った方面を走り回る。しかし誰一人として人はいない。おおよそ30分ほど走り回ったが結局見つからなかった。そんなスピードは出ていなかったはずだが…

走り回ったので息があがってしまった。もう少しして見つからなかったらあきらめようと思った。




海が見える高台に来た時、そいつはいた。

狐の面を付けた少年が海を眺めていた。





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