11 コスモ
「起きてください、泉さん」
目が覚めるとまだカビ臭い家の中だった。私はソファーで横になっており布団がかけられている。少しの間気絶していたようだ。
「私、猫の夢を見た……」
「なんて言われました!?」
「猫は喋らないよ」
曽根くんは少し安心したようだった。
「明日の朝出発しましょう。捕まったら大変ですから」
「ねぇ曽根くん、教えて。猫のこと、あなたのこと」
曽根くんは少し黙ったあと、今日は早く寝ましょうと言った。
「せめて、誰から逃げてるのか教えて」
曽根くんは黙る。
「私ね。曽根くんのこと、凄く尊敬しているの。寝ている人に毛布をかけて回るなんてそんな素敵なこと、思いつかなかったの。何を言っても私は信じる。必ず味方でいる、約束。お願い、教えて。」
曽根くんは口を開いた。
「僕が逃げているのは、時空波を起こしている犯人です」
時空波を起こしている犯人、?
「隕石を動かしているやつってこと?」
曽根くんは口を開く。
「そして僕の、元友人です。僕はこの星の生物ではありません。」
曽根くんは酷く突飛な話を始めた。そして長い長い話。
時空波を起こしている隕石は実は宇宙船であり遠い星から旅をしていること。
時空波は地球から宇宙船の燃料となるエネルギーを補給しており、その作業を邪魔されない為に起こしているということ。
自分は最初の時空波で人間が沢山死んだことを物凄く後悔しているということ。
それが原因で仲間と揉めて逃げてきたこと。
「それ以来俺は……猫に化けた仲間に追いかけられてるんです。」
「猫……どうして猫なんだろう」
「色々都合がいいからでしょう、可愛いし」
「宇宙人から見ても可愛いんだ」
よく分からないが嬉しくなった。
「前に話してくれた学生時代の話は作り話?男子高校生に化けているってこと?」
「そうです」
「なんで地球なの?」
「詳しくは……言えません。泉さんを危険に晒す訳にはいかない。私の仲間からも、人間達からもどんな扱いを受けるか分からないから」
「ふーん」
曽根くんは少し黙って再び口を開く。
「理解、早すぎませんか?」
「ちょっと前に言ったじゃん。時間が止まるおかしな世界で今更何言われたって驚かないよ。ずっと宇宙人に決まってるー!って思ってたし。超常現象どんとこい!!ってね」
「……一緒に逃げるのが泉さんで良かった」
本当は私以外の人だと助かったんだけどと言いかけたがやめておいた。
「明日は早朝から移動しましょう。きっと目が覚めます……」
曽根くんはそう言うと反対のソファーで横になった。
混乱する話ばかりで頭が疲れ果てたようだ。
人間のように眠る曽根くんを見て、酷い眠気に襲われた。
そして私も、再び目を閉じた。
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早朝6時。辺りが徐々に明るくなってきた。鬱蒼とした木々の周辺は田んぼに囲まれており、遠くの方に山が見える。
「そういえばここどこ?」
「群馬ですよ」
遠くでラッパの音がする。
「近くに自衛隊があって、6時に起床ラッパ吹いているんです。」
なるほど……それで近くの家も起きるわけか。
それは、突然やって来た。
100m程先の、田んぼのあぜ道。
漆黒のコートを着た、男が現れた。
何も無いところから突然、朝日を背に現れた。
それは忘れもしない、5年前に死んだはずの私の恋人だった。




