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僕らが最期に死んだ庭  作者: 稲銀まこと
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人間と記憶

初めまして。

ずっと大切にしてきたキャラクターで物語を書きました。

見ていってくだされば幸いです。

突然沸いた暗雲から、凄まじい轟音と共に落ちてきた目映い閃光が一直線に落下した。


「……っ!!」


地面はびりびりと震え、僕を含むその場にいた人はは咄嗟にその場に

足を踏ん張った。慌てて雷が落ちた方に目を向けると、仰々しい建築物が立ち並ぶうちの一つから微かに煙が立ち上っている。


第二の門…シュラだろうか。


「よう麻人サン。」

馴染みのある友人の声と共に、背後から肩に手が置かれる。

僕は視線を門から変えずに話しかけた。


「相変わらずだな、あの辺りは。」

「まあな?確かフェンリルだろ、あの辺に拠点張ってんの。多少長引くだろうが『箱庭』のやつらに俺らをどうこうできるとは到底思えねえ。こっち側の世界には影響ねえんだし、のんびり制圧完了を待てばいいと思うね。」


「影響はない……ね。」


僕は時折唸る黒い空を訝しげに眺めた。



「なにも無しに…とは行かない気がするな、僕は。」











――――渦巻く炎の柱が唸りを上げて、僕めがけて襲いかかってくる。

炎はたちまち僕を飲み込み、意気揚々と雄叫びをあげる連中の前で

消し炭となって対面するはずだった。


炎はまるで風のように僕の表皮を通過していった。


「まったく…なんつう挨拶だい、コレ。」

「?!火炎放射機が効いてない…?!」

「落ち着け阿呆が。…『サラマンダーの秘薬』だな、大した効果だぜ、うちの火炎放射機をものともしねえとはな。」


「あは。お褒めに預かり光栄です。箱庭直輸入ですので効果は保障いたしますよ、いかがです、おひとつ?」


「成程、貴様は商売人に向いてそうだ、気の毒に思うぜ、そんなものを抱えていなければ、今頃金でも数えていられてたかもしれねえのになあ。」


腹の肥えた髭男は哀れみの目を向ける。

ひらりとかざされた左手に呼応するように、回りの男たちが構えたエモノの口が一斉に僕に向き合った。



「え、ちょ…ちょっと、ちょっと待って…」


シャキン、と倉庫中に響く金属音。

いやいや、さすがに銃弾防ぐ効果はないんだ。止めてくれ。


…なんて言えるわけないし、言ったところで聞くわけがない。


とりあえず唯一使える気がしそうな「竜の胃酸」が入った小瓶に手をかけて、

軽く身構えた。


「!動くな!!」






したっぱが銃爪を引き、破裂音とともに弾丸が僕の頬をかすった。

「痛っ…」


後ろによろめくと、前髪で隠れていた右目があらわになったらしく視界が開けた。


「やはり宝石のように美しいな、その目は。だがお荷物にもなっている…そうだろ?なぜ埋め込んじまったのかは知らねえが、俺らが代わりに預かってやろう。

…死んでも手に入れろ、いいな。」


「へえ…?



一体誰に命令しているのか、もう一度よく見てから言ってみなよ。」


「………?…なっ…?!」


男の足元にごろごろと野菜よろしく転がる人の頭部。

上手い具合に辺りは鮮血に染まっている。



「てめえ…なにが…っ…何をした…?!」


動揺した男の目は瞬時に大きく見開かれる。

その汚い瞳に映っているだろう、黒く大きな断罪の刃が。



「なかなかカッコいいだろ?箱庭の置き土産さ。ただ…使った後は具合が悪くなるんだよ。」


「体調不良…?!バカな…その類いのエモノは使ったら死ぬ奴ばかりだと聞くぞ…?!なぜ…なぜお前は!!」


… なぜ、かあ…


「僕にもよく分からないんだ、きっと相性がいいんじゃない。それでいいだろ?」



手の血管が黒く脈打つ。そろそろ限界みたいだ。



大鎌から気を抜くと、それは燃え尽きた炭が宙に砕けるようにして消える。

便利な力だな、想像の世界ってのは。



「アンタには、過ぎたギロチンだったな。これで許してくれ。」


使いどころを失った竜の胃酸をぶちまける。男の顔面に向かって。


目についたドラム缶を蹴飛ばすと、案の定濁った油が、つんざくような悲鳴を

あげ、のたうち回る男と死体の山に向かって緩やかに流れていく。


そして何気なく火をつけたままのライターを放った。死体が焼け焦げて、

嫌な臭いが鼻を突いて初めて気がつく。




「……これじゃ証拠隠滅どころか、すぐ誰かに気づかれるなぁ…」




全てを飲み込みますます大きくなる炎の中を進む。


「アンタたちにくれてやるほど、俺の命は安くないんでな。」


まとわりつく熱風と悲鳴が、昔の記憶を抉り出そうとする。




泣き叫ぶ少女の肩を、しっかりと抱く僕の姿。


その僕の肩も、実はずっと震えていた。






「そう……だよな…?どっかで待っててくれてるだろ…?」






ここまでご覧下さり本当にありがとうございました。

拙いですがずっと暖めてきた作品なので、最後まで一生懸命投稿したいとおもいます。


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