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第3話:オーク、ミス、そして船員

洞窟は次第に狭くなり、塩の匂いはやがて、腐った魚と汗の入り混じった吐き気を催すような悪臭にかき消された。

レオンは五感を研ぎ澄まし、平凡な鉄の剣を固く握りしめて前進した。


岩の角を曲がると、発光するキノコに照らされた小さな空間に出た。


部屋の中央には、灰色をした筋肉と脂肪の塊がそびえ立っていた。

身長は2メートルを優に超え、肩には分厚い鱗があり、セイウチのように下唇から2本の牙が突き出た巨大な人型モンスターだった。

タコだらけの巨大な手には、深海の獣の大腿骨から削り出された巨大な棍棒が握られている。


システムはすぐさま答えを出した。


【 シーオーク - レベル5 】


レベル5。今まで直面したどんなものよりも強い。


モンスターは振り返り、空気を嗅ぎ、レオンと目を合わせた。

耳をつんざくような咆哮を上げ、棍棒を振りかぶる。


躊躇は死を意味する。レオンは相手に突撃の隙を与えなかった。


「フェラル・ダッシュ!」


脚の筋肉にエネルギーが燃え上がる。

レオンは弾丸のように飛び出し、ほんの一瞬で距離を詰めた。

頭を真っ直ぐに狙い、全身の力を込めて剣を振り下ろす。


平凡な鉄の刃が、鈍い音を立ててオークの頭蓋に激突した。


しかし、骨を砕くどころか、剣は革のような皮膚と分厚い鱗に弾き返され、獣をさらに激怒させるだけの浅い切り傷しか与えられなかった。

ダメージはほぼゼロだ。


(攻撃力が足りない!)


パニックがよぎる。

オークが棍棒を振りかぶる中、レオンは頭の中でハブを呼び出した。


残りステータスポイント:10


あの装甲を貫くには、今すぐ攻撃力(ATK)にポイントを振らなければならない。

焦る手つきでホログラムの割り当てボタンを押そうとした。

だが、戦闘の混乱の中、彼の爪が滑った。


攻撃力の列ではなく、そのすぐ上の列を叩いてしまったのだ。


10ポイントが瞬時に【 HP 】へと注ぎ込まれた。


ミスを呪う暇さえなかった。

オークがかつてない暴力的な力で骨の棍棒を振り下ろした。その一撃は、彼の胸にまともに直撃した。


胴体で目が眩むような痛みが爆発する。

レオンはラグドールのように吹き飛ばされ、数メートル宙を舞った後、剥き出しの岩壁に激突して凄まじい音を立てた。


血を吐きながら地面に崩れ落ちる。

視界がぼやけ、肋骨が悲鳴を上げている。


視界の端で赤い通知が点滅した。


【 クリティカルダメージを受けました! 】

HP: 5 / 265


血を咳き込みながら、その数字を凝視する。「5」。

残されたHPは、わずか5ポイントだった。


その時、彼は悟った。

もし思い通りに攻撃力を上げていたら、最大HPは165のままだった。あのクリティカルヒットを食らえば、即死していたのだ。


彼の「20」という常軌を逸した『運』が、震える手を導き、彼の命を救う「ミス」を犯させた。

まさにクソったれな奇跡だった。


しかし、その奇跡も二度目の一撃からは救ってくれない。

オークは再び咆哮し、彼に向かって重々しい足音を立てて近づいてきた。


純粋な生存本能に突き動かされ、レオンは身を起こした。

ぬめる壁にすがりつき、足を引きずりながら背を向けて走った。

背後で響く怪物の重い足音に追われながら、決死のペースで洞窟から逃げ出す。


太陽の光の下へと飛び出し、砂利につまずきながら、血で木を汚して自分の船の上に崩れ落ちた。


彼の体が船の甲板に触れた瞬間、システムが勝利の音を鳴らした。


【 条件達成:海賊が船を確保しました。 】

【 クラス更新:海賊 (パイレーツ) -> 海賊船長 (パイレーツ・キャプテン) 】


だが、喜んでいる暇はない。

洞窟の入り口が岩しぶきを上げて爆発した。


激怒したシーオークが外へ飛び出し、乗り上げた船に向かって浅瀬を突進してくる。

巨大な骨の棍棒を振り上げ、船ごと犬を粉砕しようとしていた。


レオンは追い詰められ、疲労困憊し、半死半生だった。


怒りと絶望の入り混じった感情が血を沸騰させる。

彼は歯を食いしばり、怪物を睨みつけ、痛みに耐えながら声を張り上げた。


「俺は海賊船長だ! 船員の一人もいない船長が、一体どこにいるってんだ!」


その声が岩に反響した。そして、システムが答えた。


幽霊のような緑色のオーラが、船の隅から放射された。


レオンが数日前に丁寧に集めていた、3つの人間の白骨の山が振動し始めた。

不気味な骨鳴りの音と共に、死体は自らを再構築していく。頭蓋骨が脊椎にはまり、指の骨が拳を握る。


3体の骸骨が立ち上がった。その空っぽの眼窩には、青い炎が宿っていた。


【 パイレーツ・スケルトン 】×3 を雇用しました。

船員:3/3


3体のアンデッドは一秒の躊躇もなかった。

彼らは自らの船長の盾となるべく船から飛び降り、浅瀬にいるシーオークに群がった。


獣を殴り、噛みつき、引っ掻き始める。

しかし、不利なのは明らかだった。レオンは船を見つけた日に、彼らの剣とモリを奪っていたからだ。

骸骨たちは装甲を持ったレベル5のモンスターに対し、素手で戦っていた。


予想外の襲撃にひるんだオークは後退し、彼らを振り払おうと棍棒を振り回し、めちゃくちゃに平手打ちを放った。


完璧な隙だった。

レオンはこれが唯一のチャンスだと分かっていた。


クリティカルHPの赤い警告サインを無視し、無理やり立ち上がる。両手で剣を握りしめた。


「フェラル・ダッシュ!」


三度目、世界がスローモーションになる。


凄まじい力を振り絞り、レオンは船から直接、腕や背中にしがみつく骸骨たちに気を取られているオークに向かって跳躍した。


そのスピードのまま、鱗や筋肉で守られていない唯一の場所――眼球を狙う。


平凡な刃が、モンスターの黄色い眼球の根元まで沈み込み、脳を一直線に貫いた。


シーオークの体が硬直する。

最後にゴボゴボといううめき声を漏らし、波しぶきを上げながら水の中で膝をつき、そして前のめりに倒れて絶命した。


【 シーオーク(Lv. 5)を討伐しました。大量の経験値を獲得。 】

【 レベルアップ! 】 レベル5に到達しました。

【 レベルアップ! 】 レベル6に到達しました。

自動ステータス上昇:すべての物理ステータス (ATK, DEF, SPD) に+10。

残りステータスポイント:20


獣の背中の上に横たわったまま、レベルアップの金色の光が自分を包み込み、不自然なスピードで組織を修復していくのを見つめる。

ヒビの入った肋骨がまっすぐになり、痛みが消え去った。


HP: 275 / 275


完全復活だ。

しかし、変化したのは彼だけではなかった。青い光が、3体のアンデッドの従者たちをも包み込んでいた。


【 パイレーツ・スケルトン 】×3 がレベル4に到達。


レオンは興味深げにハブを開き、船員たちのアップグレードを確認しようとしたが、がっかりした。

見えるのは名前とレベルだけで、彼らのステータスは隠されており、アクセスできないシステムの謎の一つだった。


大した問題ではない。

彼は立ち上がり、持っていた武器を分配した。


一体目の骸骨には平凡な鉄の剣を、二体目には返しのあるモリを、そして三体目には島での最初の半年間に使っていた粗末な木の棒を投げて渡した。


3体のアンデッドは骨ばった手で武器を掴み、不気味に顎を鳴らして了解の意を示した。


レオンは微笑んだ。

これで本当に「船員」らしくなった。


体力が限界まで回復し、専属の護衛も整った今、洞窟からの死の匂いはもう彼を怯えさせなかった。


オークの死体から飛び降りると、躊躇することなく、再び暗い入り口へとまっすぐ歩き出した。


しかし、石のトンネルの奥へと進むにつれ、ある考えが彼を苦しめ始めた。


(俺はここで何をしているんだ?)


目的も目的地もなく、空っぽの海でモンスターを屠りながら残りの日々を過ごすのが俺の運命なのか?


生き残ることは習慣になっていたが、本当に「生きる」ことは全く別のことだ。

この不条理な世界で、進むべき航路、文明、戦う理由を見つける必要性を感じていた。


ため息をつき、犬の鼻面を振って、再びシステムを開いた。


残りステータスポイント:20


彼はつい先ほど、「運」がいかにして自分の命を救ったかを身をもって体験したばかりだ。


「防御力なんてクソ食らえだ」


そう呟くと、迷いのないスワイプで、20ポイントすべてを彼のお気に入りのステータスに注ぎ込んだ。


【 運 (LUCK):40 】


画面を閉じた瞬間、木の棒を持った骸骨がピタリと立ち止まった。

他と全く同じに見える壁の方を向き、骨の指で岩を引っ掻き始め、不快な音を立てた。


興味を惹かれて近づくと、苔に覆われた細い水平なひび割れがあることに気づいた。

剣の柄頭で強く叩くと、腐った石が砕け散り、小さな隠し窪みが現れた。


中には、珊瑚がこびりついた小さな木箱が置かれていた。レオンは慎重にそれを開ける。


中には、驚くほど乾いた状態で折りたたまれた、使い古されているが独特なデザインの黒い革の三角帽子トリコーンが入っていた。

それを手に取ると、システムが点滅した。


【 取得:海賊船長の帽子(品質:希少(レア)) 】

効果:真の指導者のオーラが迷える魂を惹きつける。最大船員数(Max Crew)のステータスを2倍にする。


レオンはその三角帽子を頭に被った。

それはピンと立った毛皮の二つの耳の間に、完璧にフィットした。


ステータスを確認する。


船員 (Crew): 3 / 6


牙の並んだ大きな笑顔が、彼の顔に広がった。


この世界での最終的な目的はまだ分からない。

だが、船と、船長の帽子と、さらに多くのモンスターを仲間にするスペースが手に入った今、それを見つける旅は、はるかに楽しいものになりそうだ。

お読みいただきありがとうございます!


ステータスの振り間違いという痛恨の「ミス」が、まさかの命拾いに繋がる展開! レオンの極振りした【運(LUCK)】が、ついにシステムすらも味方につけ始めました。

そして念願の『海賊船長』クラスへの昇格と、最初の船員であるスケルトンたちの誕生。ついに海賊としての第一歩を踏み出します!


※「ミスを運でカバーするの最高!」「スケルトン船員カッコいい!」と思っていただけましたら、ぜひページ下部の☆☆☆☆☆から評価・ブックマーク登録をよろしくお願いいたします! 皆様の応援が執筆の大きな力になります!

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