13話 レベル13
【名前】 北條緋呂
【年齢】 24歳 【レベル】 Lv13
【HP】 198/265
【MP】 122/256
【攻撃】 165
【防御】 158
【敏捷】 162
【理力】 155
【技力】 150
【幸運】 146
【SP】 1727
【武装スキル】 《剣術 Lv2》《投術 Lv2》《体術 Lv2》
【魔術スキル】 《火魔術 Lv2》《土魔術 Lv2》
【固有スキル】 《過去改変 F》
【一般スキル】 《回避 E》《追撃 F》《索敵 E》《虫特攻 E》《編集 E》《料理 E》
【耐性スキル】 《魔術耐性 E》《斬撃耐性 E》《貫通耐性 E》《精神耐性 E》《毒耐性 E》
「レベル13か……。そう言えば、SPもそれなりに溜まってきたな」
通路の隅で、俺は独り言のように呟いた。足元には、さっき倒したばかりのヘッドマウスの死骸が消えかかっている。
「おいおい、一人でブツブツ不気味だぞ。レベルが上がって頭がイカれたか?」
隣で剣を鞘に収めながら、千葉が茶化すように言った。
俺は苦笑いしながら、ふうと息を吐き、意識を集中させて視界にステータスウィンドウを展開した。
半透明の画面が空中に浮かび上がる。
この世界のルールでは、レベルが上がった瞬間に、その時点での適性に応じたスキルの一覧が開放される。
SPを消費して新しい力を手に入れる、探索者にとって数少ないボーナスタイムだ。
レベルアップから丸一日以内ならラインナップの中から自由に選択できる。……と言っても、並ぶ項目は運任せのランダムだ。
「千葉、ちょっと待ってくれ。スキルの取得を考えてるんだ」
「お、新しいスキルを取るのか? 派手な魔術でも覚えるのかよ」
「いや、派手なのはいい。器用貧乏はもう卒業したいんだ」
俺は画面をスクロールさせた。狙いは一点、耐性スキルだ。
《麻痺耐性 F》 1000P
《石化耐性 F》 1000P
《打撃耐性 F》 1600P
「……あった。これだ、これが欲しかったんだよ!」
俺は思わず声を上げた。お目当ては《打撃耐性》。
スライムの体当たりなんかの衝撃を和らげるスキルだ。俺は迷わず、貴重な1600Pを消費した。
「なんだ、地味な耐性スキルかよ。もっと強そうなやつにすればいいのに」
「分かってないな、千葉。これが重要なんだよ」
耐性スキルの欄が更新される。すると、メッセージウィンドウに予想通りの文字が表示された。
『《貫通耐性》《打撃耐性》《斬撃耐性》のスキルを統合して《物理耐性》を取得しますか?(YES/NO)』
「これだよ。迷わずYESだ」
【耐性スキル】 《魔術耐性 E》《物理耐性 E》《精神耐性 E》《毒耐性 E》
指先で虚空を叩くと、俺のスキル欄に《物理耐性 E》が刻まれた。残りSPは445Pだ。
「物理耐性?」
「スキルの数が多いと経験値が分散してランクが上がらないだろ? こうして統合して数を減らすのが、賢いやり方なんだ。これで死ににくくなるし、ランクアップも早くなる」
「へえ、意外と頭使ってんだな。効率厨って感じか」
千葉が感心したように笑いながら、俺の肩を叩いた。
その衝撃が、今までより少しだけ軽く感じられたのは気のせいじゃないはずだ。
耐性スキルを複数集めて統合する。
これは探索者の間で広まっているライフハックだ。免許は持っているが、本業で探索者をしていない千葉は知らなかったのだろう。
「残るは異常状態耐性だけど、これはレベル20を越えてから取得目指していくの十分だろうな。《魔術耐性》と《物理耐性》が揃うと、一気に強くなった気がするな」
「おめでとさん。で、レベルが上がったってことは、例の『過去』に行くやつも強くなったのか?」
千葉の言葉に、俺は少し背筋を伸ばした。固有スキル《過去改編》を取得してからかなりの時間が過ぎ、レベルも三つ上がっている。
だが、《過去改変》のスキルランクはFのままだ。
「いや、ランクアップはしてないな」
「じゃあ、まだスキルの再使用はしないのか?」
その言葉に、俺は少し考え込んだ。
スキルの再使用を控えていたのは、子供に戻ってもできることが少ないからだ。
前回は六歳に戻った。あれから約十ヶ月が経った今使えば、おそらく七歳の小学一年生になるはずだ。
五分間という短い時間でも、あの時よりはできることがあるかもしれない。
「うーん。あれから時間も経ってるし、一度使ってみるか。まだスキルの仕様もよく分かってないしな」
「なるほどな。今のレベルなら、前とは違う結果になるかもしれないな。ワンチャンあるだろ」
「六歳と七歳じゃ、大して変わらない気もするけどな」
千葉は軽く笑って続けた。
「案外、身体能力だけは今のままで子供になれるとか、そういう神展開があるかもしれないぜ? 見た目は子供、中身は大人! みたいな」
「それはなさそうだけどな。とりあえず、スキルの検証はしてみるか。……千葉、時間はあるか?」
「ああ。明日は休みだからな。遅くまで大丈夫だ。今から俺のマンションに来いよ」
千葉の誘いに頷き、俺たちは薄暗いダンジョンの出口へと歩き出した。




