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青春学校  作者: むにょこ
小学校編

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82/124

小学校編 78時間目 ―静かすぎる吉沢派!?嵐の前の騎馬戦練習―

〈湊視点〉

 ……なんだろう。

 すっごく、嫌な予感がする。

 今日は、男子の騎馬戦の練習。

 ようやく大将も決まったことだし、俺たちも本格的に騎馬を組んでみようという話になった。

 ……んだけど。

 さっきから、どうしても気になることがある。

 それは……。

 少し離れたところで、何やら集まって話している吉沢派の連中。

 帝耀、蓮、華人、太志、圭、るる、海斗、皇輝。

 あの八人が、そろって何か話し込んでいる。

 しかも、時々こっちを見ているような……。

 …………。

 うん。

 絶対、何かあるよね……?

「ったく……あいつら、また何か企んでるよな」

 莉玖翔が、呆れたようにため息をついた。

「う、うん……!」

 勇が、不安そうに頷く。

「やだぁぁぁぁぁぁ!」

 明日夏が、頭を抱えて叫んだ。

 ……いや、気持ちは分かる。

 分かるけど、まだ何も起きてないから!

 ……まだ、ね。

「まあ確かに、大将騎が俺らだからさ。こうなるとは思ってたけど」

 久遠が、吉沢派の方をちらりと見ながら言った。

 そうなんだよなぁ。

 今回、男子の大将に選ばれたのは燈李。

 そして、その燈李と同じグループにいる俺たちが、大将騎を担当することになった。

 吉沢派からすれば、あまり面白くない状況なのかもしれない。

 でも、だからって……。

 何も企まなくてもよくない!?

「ううっ……何も起こりませんように……!」

 綺が、祈るように両手を合わせた。

 ……俺も同じ気持ちだよ。

 できれば、平和に練習を始めたい。

 そう思っていると、燈李がぽつりと呟いた。

「俺、大将騎だ……」

 …………。

 ……そうだった。

 燈李本人が、誰よりも大変なんだよね。

 大将に選ばれたときも、なんだか気が進まなさそうだったし……。

 ようやく覚悟を決めたと思ったら、今度は吉沢派が何か企んでいそうだなんて。

 ……燈李。

 本当に、お疲れさま。

「これは困ったね……」

 久遠が、眉をひそめた。

 久遠は、吉沢派のことをあまり快く思っていない。

 特に太志とは、そもそも相性がよくなさそうだし……。

 あの八人が何か話しているだけでも、警戒したくなるんだろう。

 ……まあ、今回ばかりは俺も同じだけど。

「まあ、なんとか頑張りますか……!」

 僕は、みんなに向かって言った。

 だって、吉沢派の人たちが何かしてくるって、決まったわけじゃないし……。

 もしかしたら、普通に練習の相談をしているだけかもしれない。

 …………。

 ……いや。

 でも、あの様子だと……。

 何か企んでる可能性、結構高そうなんだよなぁ。

 ……はぁ。

 考えれば考えるほど、不安になってくる。

「そうだな。まあ、何か考えてても進まないし、練習するか」

 莉玖翔が、気持ちを切り替えるように言った。

 ……うん。

 それがいいと思う。

 向こうのことを気にしていても、俺たちの騎馬が完成するわけじゃないし。

 まずは、目の前の練習を頑張らないとね。

『う、うん!』

 みんなの返事が、少し頼りなく重なった。

 …………。

 ……大丈夫かな、俺たち。

 騎馬戦の前に、別の意味で疲れちゃいそうなんだけど……。

―――しばらくして―――

 それから、俺たちは騎馬を組む練習を始めた。

 まずは、それぞれの位置を確認するところから。

 誰が前に立つのか。

 誰が後ろを支えるのか。

 どうやってタイミングを合わせるのか。

 最初は少し戸惑ったけど、みんなで声をかけ合いながら、少しずつ練習を進めていった。

 ……そして。

 僕は、ふと吉沢派の方を見た。

 …………。

 ……あれ?

 あいつら、こっちに来ないな。

 さっきまで、あんなに怪しい雰囲気で話してたのに。

 もしかして、本当にただの作戦会議だったのかな……?

「何も……してこないね……」

 勇が、恐る恐る呟いた。

「う、うん……」

 綺が、小さく頷く。

 ……うん。

 何もしてこない。

 それは、確か。

 でも……。

「よかった……のか?」

 明日夏が、少し疑わしそうな顔をした。

 ……ああ。

 久遠も同じこと思ってるんだ。

「よかったよかった!」

 遼は、安心したように笑っている。

 ……うん。

 とりあえずは、よかった。

 よかったんだけど……。

 逆に、ちょっと怖いかも。

 だって、あの吉沢派だよ?

 さっきまで、八人で何やら話し込んでいたんだよ?

 それなのに、急に何もしてこないなんて……。

 ……いやいや。

 別に、何かしてほしいわけじゃないからね!?

 むしろ、何もしてこない方がいいんだけど!

 でも、こう……。

 静かすぎると、逆に気になっちゃうというか……。

「まあ、練習進められるんだしいいんじゃない?」

 久遠が、気楽な調子で言った。

 ……確かに。

 実際、向こうから何か言われることもなく、俺たちは練習を進められている。

 それは、ありがたいことだ。

「そうだな。あいつらもあいつらで、なんか練習してるし」

 莉玖翔が、吉沢派の方を見ながら言った。

 僕も、そちらに目を向ける。

 ……あっ。

 本当だ。

 さっきまで集まって話していた八人も、今はそれぞれ練習を始めている。

 帝耀たちも、普通に騎馬戦の準備をしているみたいだ。

 …………。

 ……なんだ。

 じゃあ、僕たちが心配しすぎてただけなのかな?

「うんうん!」

 燈李が、少しほっとしたように頷いた。

「そうだね」

 僕も、みんなに同意した。

 ……うん。

 何もないに越したことはない。

 吉沢派と僕たちは、普段から何かと対立してしまうけど……。

 運動会では、同じクラスの仲間なんだもん。

 できれば、協力して頑張りたいよね。

 ……まあ。

 相手が相手だから、簡単にいくかどうかは分からないけど。

 でも、今のところは平和に練習できている。

 だから、これでいいんだ。

 ……うん。

 これでいい。

 …………。

 どうか、このまま何も起こりませんように!!

 僕は、心の中でそっと願った。

 ……いや、本当に。

 運動会の練習くらい、平和に進めさせてください……!!

〈78時間目・終〉

〈北条舞〉

とっても優しい女の子。毎日ミュージカルなどのお稽古で忙しい。両親はとっても厳しく、休む時間がほとんどない。昔は歌って踊ることが大好きだったが、今はあまり好きではなくなってしまった。現在は子役として多数のミュージカルにも出演している。

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