表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/39

33話―目と目が合ったらバトルはもう常識らしい

 どうしよっかな。

 いや、どうするかなど決まっている。まずは誤解を解いてもらわないと。

 というわけでまず、目の前にいるルーンにアイコンタクトした。


(ルーン!お前から言ってくれ!事の張本人はお前だろ?ガンバ!)


 俺の意思を受け取ったルーンは、アタフタとしてから、副団長に念を送った。お前が弁明するんじゃないんかい。

 ルーンと俺の視線に気付いた副団長は、「どうしたものか」と悩むようにした後、咳払いをして団長にコンタクトを試みた。


「ゴ、ゴホン。その、団長。この方の前に、その……」

「すまないが、まずはその冒険者の素性から説明してくれ。忍び込んだのなら、ギルドに報告させてもらう」


 この人ホントおもしろいな。


「……では、説明しましょう」

「? 知り合いなのか?」

「はい。落ち着いて聞いてください──手紙の話、嘘ではありません」


 それを聞いても、団長は要領を得てないような感じだった。

 そこに副団長は付け加える。


「できました。ルーン殿に。仲間」

「…………?」


 やっぱりピンときてない。

 そして、ここにきてやっとルーンからも助けが入った。


「えっとね……。わ、私の仲間になりました!レイです!」

「……………………ハアァ!!?」


 あ、やっと理解できたっぽい。

 数秒挙動不審になった後、副団長や騎士たちに宥められて、平静を取り戻した。

 団長は、ひどく疲れたような顔をして、


「……と、とりあえず、事の顛末を、詳細に説明してくれ」

「はい……」


 そう言った団長の耳は、熱せられた鉄のように真っ赤だった。

 やっぱこの人すごくおもしろいわ。



 ♢



 宿舎の談話室で、副団長が大まかな流れを説明してくれた。

 それを聞いた団長も、多少驚きはしたものの、最後まで取り乱さずにいてくれた。


「はぁ……大体は理解した。女神様がルーンに天啓を与えるほどか」

「そう、そこ。そこが私もよく分かんないんだよね。何でピンポイントでレイなんだろ」

「これだけの逸材なのですから、当然といえば当然でしょうか」

「やめてくれ恥ずかしい」


 女神が俺とルーンを引き合わせたのは圧倒的私情だと思うが、この人たちのために黙っておこう。

 いきなり団長が椅子から立ち上がって、俺の顔を凝視してきた。


「な、なんでしょうか……?」

「……本当に」

「?」

「本当に倒したのか?ルーンを。まだ勇者としての経験が浅いとはいえ、そう簡単に勝てるほどルーンを甘く鍛えていない」

「スキル使えば勝ててたし。最初から冒険者相手に本気出すのも可哀想だな、って思って手加減してただけだし」


 ムスッちした顔のルーンが、控えめに俺が勝ったことを肯定した。

 その様子に苦笑しながら、副団長も付け加える。


「実際にこの目で見ておりませんが、レイ殿の実力は本物ですよ。団長なら、私より正確に計れるでしょう?」

「それはそうだが……やはり信じがたい」

「それと、騎士団からの選出は、もうレイ殿で構いませんか?」

「私がなんと言おうと、取り下げるつもりはないだろう?」

「ハハハッ、流石団長ですね」

「ちょっ、いい?」


 歓談に水差すようで悪いのだが。

 いきなり意味が分からないワードが出てきた。


「選出って何?」

「ああ。前に言ったと思いますが、一ヶ月後に王国魔法剣大会があるのは、レイ殿も覚えているでしょう?」

「…………あぁ!うん、覚えてる」

「忘れてたでしょ。私もだけど」

「……そ、その候補を騎士団から一枠選出できるのです」

「そこに俺が入ると。よく通ったな」

「私が無理を言ってそうしたんだ。騎士から選出することはできないという条件で。もうすぐ決める予定だったんだ」

「どちらにせよ、適切な冒険者を選ばないといけない所に、レイ殿が来たのですから。万々歳ですよ」


 そういうことはちゃんと言っとけと。

 そこで団長が腕を組んでため息をつく。鎧着てなかったら、持ち上がったんだろうな。胸が。


「……異論はない。実力も素養もある」

「やったー!」

「──が」


 団長の言葉が一度切れる。


「一度、私と戦え。最終的にはそこで決める」

「え!?」

「ほほう」

「もちろん、勝てとは言わん。あくまで私が満足するかどうかだ。いいな?ナナセ」

「名前でいいよ」


 久しぶりに名字で呼ばれた。

 団長の提案に特に驚くことはなく、俺が抱いたのはそんなくだらない感想だった。

 聖騎士様と勝負。面白い。俺の戦闘狂にも少し拍車がかかってきたな。


「じゃ、行こうか。死なないでくれよ。騎士団長様」

「いいな。そのくらいの気概がなければ、こちらもつまらない」


 そうして対面した俺たちの顔には、どちらも好戦的な笑みが浮かんでいた。



 ♢



 外にある模擬戦用の場所に来た。

 大きさはギルドの闘技場とほぼ同じ。やりやすくて良い。


「念のため、回復魔法を使える者を控えておくから、遠慮せずかかってくると良い」

「お互いにな」

「無論だ」


 回復魔法は得意分野なんで、全く問題なし。

 致命傷は避けていくつもりだが、手加減して勝てる相手と思っていない。

 ちょっとした重傷は治せるので、そこら辺は我慢してもらおう。

 場外から見守っているルーンたちは、かなり心配してるようだが。


「だ、大丈夫かな……」

「心配はいらないでしょう。レイ殿は勝つ必要ないのですし、団長が大人げなくならないのを祈る限りです」

「むしろ、そこを心配してるんだけど」


 副団長は結構達観している。

 ま、楽しませるつもりで頑張ろう。


「ルールは冒険者流にしておこう。準備はいいな?レイ」

「バッチグーだ。言っとくけど、やるからには勝つからな」

「……その自信、蛮勇ではないと祈るぞ」


 お互い距離を空け、姿勢を取る。

 団長の型は、諸手の中段構え。典型的な正統的な剣術。

 冒険者の中ではまず見ない型だが、騎士ではこっちが普通だ。一挙一動のが大きく、重い。数ではなく一発でキメてくるタイプだ。

 対して俺は……居合いの構え。

 そんでもって最初っから《絶剣》も発動。こっちも一発でキメる。今回の俺は、最初からクライマックスだ。


(俺は学習した。強さは分からないけど、とりあえず強いことが分かってる相手には速攻すればいい、と)


 団長は確実にスコープより強い。

 ならば、速攻あるのみと。我ながら頭良い。

 俺の本気居合い切りは音速超えだと最近気付いた。ゲッコウガでも○逸でもかかってこい。

 騎士の一人が始めの合図だけしてくれる。お互い、反則しないと分かっているから。

 いつも通り、動体視力を強化する。


「───始め!」


 手が下げられると同時に、踏み込む。

 風と同化したような感覚と同時に、刀を抜く。

 全て十分の一秒にも満たない。かわせるはずがない。

 …………そんな憶測をするとか、俺は団長を舐めすぎていたらしい。

 砂埃が晴れた時、振り抜かれた俺の刀の目の前にいたのは、


「……はは」

「速いな。重心も低く、威力もある。一体どこの流派なのやら」


 そう冷静に分析して、評価までしてのける団長がいた。


(()()()かよ……今のを)


 団長の大剣は、確かに俺の刀と交差していた。

 何の小細工もなく、ただ真正面から音速を超える攻撃を受け止めた。

 思わず乾いた笑いが出た。ルーンでも今の一撃は避けるのが精一杯だろうに。流石その勇者の師匠。予想なんてするだけ無駄か。


「さあ、続きだ。まさかこれで終わりではないだろう?」

「当ったり前だ。手数には、自信あるんでねっ!」


 刀を寝かせ、滑らせる。そうすると腕は上を向くが、無理やり軌道を逆転させて、袈裟斬りを放つ。

 しかし、その攻撃力に偏った斬撃さえ、いとも容易く受け止められる。

 それから数手、方向やパターンを変えながら攻撃を繰り返したが、団長に届く剣はなかった。


「あんたも大概バケモンだな」

「お前こそ、な。どこの剣だか全く分からん。一撃かと思えば、連続剣だったり……ただ、行儀が良くないのは分かるな」

「冒険者なんでね、それは多めに見てくれ。それと……もっと行儀は悪くなるぞ」


 ジャンプで距離を取り、体勢を整える。

 そして、『飛翔(フライト)』を発動する。


「ふっ!」


 剣がぶつかり火花が散るが、先ほどのように交差はしていない。

 これも最初から受けられると分かっていたので、当てる剣ではない。これは牽制。可能な限り速度を上げ、隙を見つけてそこをぶち抜く。

 この時、俺は魔法の維持と方向転換だけに集中する。剣は全て《絶剣》任せだ。こうでもしないと団長は当てさせてくれない。


(受けてみろよ!六連どころか何十連でもしてやるからな!)


 時には星形、時には六芒星、時には立体と、縦横無尽に動き回る。

 それでも、団長は最低限の動きではじく。死角からの攻撃も、まるで後ろにも目があるかのように防がれる。

 それに少しイラッとしたから、スピードをもう一段階上げる。これで居合いとほぼ同じ速度。俺の魔力と精神力がゴリゴリ削られるが、もうそんなことは些細な問題だ。

 ──楽しくなってきた。ルーンと戦った時と同じくらい。


「『纏風』」


 だいぶ前から作っていた魔法を使う。

『纏風』は『纏炎』と同じく、剣に風を纏わせる。高速回転するつむじ風は、切れ味が増し、刀を振ることもなく当たり、実体がないというスーパー効果。応用は少ないが、単体で十分な威力だ。

 難点は、つむじ風の影響でスピードが格段に落ちること。進行方向ではないため、剣がバカみたいに重くなる。

 だが、その向かい風を追い風で相殺してしまえばデメリットは消える。


「!」


 通り過ぎた後、団長の頬が薄く切れた。



「ようやく当たった。感想はどうだ?」

「……一撃を受けたのは、ルーンに続き二人目だな。レイ、合格だ」

「…………」

「やった!副団長!レイ合格だってさ!」

「……はあ、全くあの人は……」

「?」


 副団長は分かってるらしい。

 それには俺も分かっている。

 ──ようやく面白くなってきた、と。

 そう目が語っているこの人が、ここで終わるとか。


「──ここからは真剣勝負だ。レイ、私に勝ってみろ」

「最初からそのつもりだっての」


 あり得ないだろ。

 勝負は、今から始まったんだから。

「一回ここで俺がお願いしてみたら良いんじゃないか、と作者が言ったんで渋々来た。正直めんどくさい。

はあ、えーブクマと感想、よろしく頼む!感想とかもらったら作者も俺たちも嬉しいから。あと、次回はもっと早く投稿させるから、待っててくれ」


「これ、なんか意味あんのかね……?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ