実戦訓練
昨日宿屋へ帰ってから話し合ったが討伐は午後から行く事にした。
フランカの魔法制御にまだ少し不安があるからだ、防御魔法陣は掛けた衣服
にしか効かない露出している素肌には自身の魔力で防御しなければならない
、慣れなければ均等には纏えない、フランカは元々余り使って来なかった事
も有り躰が魔力に馴染んでいないのが大きい、ついでだから全員でやる事に
し円陣に座り手を繋いで魔力を流して行く、流してみれば誰が抵抗に成って
いるかが判る、徐々に流す量を増やしていき波が引く様に減らしていく、そ
れを繰り返し流す量を増やしていく、やはりフランカが苦しそうだ、それで
も乗り越えて貰わなければならない、戦闘で命を落とさない為に。
午前中一杯を使いフランカ1人を取っても満足の行くレベルまでは上がった。
あとは本人の努力次第だ。
昼食を摂り出立する、助手席はフランカ、何となく皆の気持ちが解る気がす
る。
西門を出て二股路を右側へ快調に飛ばして行く。全員やる気が漲っている
事は良い事なので水を挿さない為にスピードは控え目で走る。
テレイヤから4時間弱、ライカの都市ネロからの街道が交わる地点に盗賊は
居た、2又路を3方向をバリケードで封鎖している、敵もそれなりに戦略を
知っている者が居るらしい。バリケードまでは300リック、久し振りにへ
◯ートⅡを引っ張り出す。
出力を極力絞ってバリケードだけの破壊を目指す、よ~く狙って”シュポッ”
ほぼ街道幅位でファイアーボールが炸裂し、数人巻き込んだがバリケードは
消滅、それを見て車に乗ったまま待っていた皆が降りて来たと思ったらティ
アだけさっさと歩いて行く、他のメンバーも何となくティアの後を付いて行
った、私だけ置いてけぼりだ。
収納にヘ◯ートⅡと車を仕舞い少し離れた最後尾から付いていく、敵はまだ
遠い、皆と違い今回の私の参戦武器は拳銃、あくまでもサポートに徹する。
危ないと思ったらパンッ!パンッ!と排除。
敵はファイアーボールに度肝を抜かれ炸裂場所からこちらへは出て来ない、
剣を抜いて準備万端なのだが。
ティアは10リックを切った所で剣を抜いて右下へ流している、歩む速度は
まるで散歩でもするかの様な速さだ。
それを受け男が1人突っ込んで来る、剣を右肩上に構え上段袈裟斬りの態勢
だ。
ティアは気にする素振りも無く、斬り掛かる男を直前で右側へと軽くステッ
プだけで躱す、剣を振り抜いた男は蹈鞴を踏みつつ立ち止まるが目前のアン
ジェに気が付くと懲りもせずにまた上段で斬り掛かる、既に構えを取ってい
るアンジェは左側へと躱しつつ軽く一歩踏み込み剣を水平に振り抜いた、ア
ンジェに男を気にした素振りは無い。
男は数歩歩くと上半身だけが地面へと落ち転がった、一刀両断だ。
ティアも剣は右持ちだ、普通はアンジェ同様左へ躱して斬り捨てれば良いの
でが相手に力量の差を見せ付けたのだろう。
それに気付ける程の相手は居なかったのか、仲間を切られて頭に血が昇った
のか1人が走り出したのを切っ掛けに一斉にティアへと踊り掛かって行く。
ティアは自分の顔前へと剣を上げるとキスをした、瞬間一瞬だけ空気が震え
る。
歩く速度を変えぬまま捌く腕すら見えぬ速度で霞を切るが如く敵が持つ剣ご
と敵を切り刻んで行く。
振動魔法だ、えげつない、絶対あれは私では無い、性格は姉に似たのだ。
あっけにとられ二手に分かれた敵陣に申し合わせたかの様に薄らと笑いなが
らニナは右、アンジェは左へと斬り込んで行く、殺気がまるで無いのが更に
怖い。
私は腕を組んで見学しているが、隣でフランカは棒立ちで見ている。
3割程まで減った所でティアがこちらを見てチョイチョイと呼んでいる。
もう自ら斬り掛かって来る敵は居ない。
「フランカ、呼んでるわよ」
私はそう言いフランカの背中を押した。
元気よく返事をし、走って行くフランカを見てほっこりしている私はふと思
った。
(あれの立ち位置はペット?)
フランカはティアと2,3言葉を交わすと敵に向かって斬り掛かって行った。
フランカと絡んでいる敵は常に3人、それ以上になるとティアが斬撃を飛ば
して斬り捨てている、逃げれば他の2人が処分している、そろそろ20人を
切るかと言う頃、腹を括ったのか敵も剣を下げ静かに順番を待っていた。
私は近くで車を出してシートに座り眺めている、結局出番は無かった。
15人を切った所でティアが敵の男に向けて指でチョイチョイと指示をした。
自分を指差す男に”行け”と指示し参戦させる、どうやら4人に増やす様だ。
フランカはまだ余裕、かすり傷すら負っていない、それを見越しての増員だ。
それを見てフランカがニヤリと笑うと気合いを入れた、全身からユラユラと
魔力が起ち上がり、待つのも惜しいと言わんばかりに斬り掛かる。
徐々にスピードアップしていくフランカ、最終的には6人掛かり、最後の1
人を斬り伏せるまで10分少々。
ティアがフランカを呼び2,3小言を言いながら頬に付いた切り傷を親指で
なぞり治癒すると頭を撫でた、ピーピー泣き出したフランカが可愛らしい。
現場の事後処理を済ませ時計を見ればまだ30分と経っていないが終わって
しまってはやる事も無し、さあ帰りましょう。
フランカ以外は訓練に成っていなかったなと漠然と思うセリアだった。




