2話
「おっはー。ごめん、だいぶ遅くなっちゃった…社長は?」
むつがオフィスに入ると、颯介がつまらなさそうにネットを見ていた。むつが何だろうと、覗くと車のだった。
「おはよう…ってももぅ、おやつの時間だよ。社長は来てない、1日顔出さない日が続くよね」
颯介も心配してるのか、表情を曇らせているが、そこまで心配してるようでもなさそうだ。視線はパソコンの画面に向いている。
「で、どこに行ってたの?」
「ん?仕事の話をしにね。明日、また打ち合わせで出ると思う」
「依頼者は、こっちに来ないんだ?」
「うん。入院中だからね…今日はその代理人さんと会ってきたけど、明日病院まで行って本人と話が出来たらって思ってる」
何も嘘は言ってないので、普通に言えたはずだが、むつは少しドキドキしていた。颯介には、なかなか嘘が通用しないからだ。
「そっか…俺はむっちゃんも出ちゃったら、しばらく留守番係りだな」
「お願いね」
むつは、笑いながら言うとキッチンに入った。電気ポットに水を足してお湯が沸くのを待つ間に戸棚から、買い置きの祐斗のカップラーメンを取り出した。
「うーお腹すいた」
ぶつぶつ言いながら、お湯が沸くのを待ち遠しく待っていた。




