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4話
やはり、入場料を支払って他の所も見るべきかな、と思い戻ろうとした時に、何処からか、かたんっと音が聞こえた。
むつは咄嗟に立ち止まって、どこから音がしたのか耳を澄ませた。何も気にする必要はないのだろうが、何となく気になったのだ。
むつの他には老夫婦と思われる2人が壁側のソファーに座って談笑しているのと、中年の女性が熱心に説明書きを読んでいるだけだった。他の3人は物音がした事など、全く気にはしていない様子だった。
何をそんなに神経質になってるのかと、むつはバカらしく思った。もう物音はしないし、むつは受付のある方に向かった。
「あの、すみませーん…」
この後の公演予定はないのか、受付には誰も居なかった。




