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4話
駐輪場に向かいながら携帯を見ると、西原からのメールの返事が届いていた。メールを手早く打ちながら、ふっと口元に笑みを浮かべていた。バイクにまたがると次の場所に向かう前に寄り道すべくバイクを走らせた。
30分程走らせ、着いたのは西原が勤務する警察署の近くの食堂だった。邪魔にならない隅にバイクを停め、引き戸を開けて中に入った。
「よぉ、こっちこっち」
奥のテーブル席に居た西原が手を振っていた。むつは笑みを浮かべてテーブルに近付くと、向かい側に座った。
「お待たせ…急に呼び出しちゃってごめーん」
「いいよ。どうせ暇して、デスクワークばっかりだったからさ。で、飯は?」
「食べる。先輩は?」
「俺もまだなんだ。一緒に食おうと思って待ってたからさ」
屈託なく笑う西原を見てむつは、先程の陰鬱な洞窟の事などあっという間に忘れた。
「ありがと。えーっとねぇ…」
2人はメニューを覗き込んだ。頭がくっつきそうな位近く、それは本当に仲良さそうだった。




