3話
「どうするって何を?」
「いや、不審者だよ。家に上がり込まれてたんだろ?つか、お前が帰宅した時に鍵は?」
「かかってた…いや、どーしよ?」
「帰るの嫌ならうちにでもしばらく泊まるか?兄さん所…じゃ遠いか」
「家に泊まってもいいよー」
少し離れた所から颯介の、のんびりとした声が聞こえてきた。むつは、すくっと笑ったが、冬四郎はつまらなさそうな顔をしていた。
「そうね…仕事するなら颯介さんの所か祐斗の所もあるし。夜、居るだろうから安全かな?」
「安全か?」
むつが真剣に考えてると分かると、冬四郎はいぶかしむような顔をしていた。
「違う?」
「いや…安心なんだろうけどなぁ…」
何だかはっきりしない冬四郎を不思議に思いながら、むつの意識は夜どうするかよりも、晃からの届け物の中身に向いていた。
「昨日は家で寝たし…どうするかは夜決めるから。しろーちゃん今日非番?」
「そうだな。今日は非番だから、帰って寝るよ。…何かあれば連絡しろよ、いいな?」
むつに念押しするように言うと、冬四郎はコーヒーを飲んで立ち上がった。眠そうに欠伸を噛み殺していた。
「ん、これありがと。気を付けて帰ってね」
紙袋と箱を持ち上げて、むつは礼を言い手を振って冬四郎を見送った。冬四郎は、出ていく際にデスクに居た颯介にそれでも、コーヒーご馳走さまと、声をかかて出ていった。




