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3話
翌朝、いつもより起きるのが遅くなったむつは、寝癖の酷い頭に苦戦しつつも、あってないような始業時間前にはよろず屋に着いた。
「おはよう。寝癖が直らなかったんだ?あちこち、跳ねてるよ」
颯介にくすくすと笑われ、むつは手で髪の毛をぺったりと押さえ付けた。
「おはよ。もーほっといて」
「はいはい。奥のソファーでお客さんが待ってるよ」
「客?…ふーん、分かった」
誰だろう、と思いつつむつは机に鞄を奥とそのまま、昨日むつが寝ていた、本来なら来客用のソファーに向かった。
「失礼します。お待たせしまし…た」
パーテーションの影から、挨拶しながらソファーの前に行くと見たくない顔があった。
「何の用?」
「朝から不機嫌だな…今日はメッセンジャーなの。代理人からの。中見れば分かるってよ」
むつは、差し出された紙袋を受け取るとその場で中身を取り出して確認した。ファイルに入った、白い封筒とメモ書き。晃は、むつの言った通りの物をしっかりと入れてくれていた。
「やっぱり…。こっちは?」




