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3話
「何してんの?」
青年、よろず屋のアルバイト谷代祐斗は嬉しそうにむつの隣に並んだ。
「学校の帰りっすよ。むつさんは?さっき男の人と一緒に居るところから見てたんすけど…」
「うっわ、ストーカー?」
「違いますって‼仲良さそうだったんで、声かけにくかったんですよ…彼氏ですか?」
「妬いちゃう?」
下から覗きこむようにして、笑みを浮かべたむつに見上げられた祐斗は、不本意ながら少しだけ耳が赤くなっていた。
「んな‼わけないですよ‼」
「なーんだ。あの人ね、篠田さんのお知り合いで、依頼人の代理でさぁ依頼人は入院中だから」
仕事関係か、と安心したと同時に篠田の名前を聞き、祐斗は眉をひそめた。
「あ、また警察絡みの仕事っすか?」
「んー?まぁそうなるかな…けど、大した事じゃないから大丈夫よ。何かあれば手伝ってね。で、帰りって言ってたけど、最寄り駅ここじゃないのに?」
「湯野さんから連絡貰ったんすよ。社長が来ないって…だから、一応は顔出してみようかと」




