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3話
ハンバーガーの最後の1口を口に入れ、噛みながらむつは1人頷いていた。
「そうなったら…その2人の1ヶ月ほどの出先とあの手紙の事を聞いといてね」
「あぁ。料金は?」
「沼井は、これだけ払うよ?」
むつは病室でしたように、晃にも4本の指をたてて見せた。そして、意地悪そうに笑った。
「40?」
「400」
「はー?」
「だって、不倫調査もでしょ?まさか、そんなに出すとは思いもしなかったよね」
むつはコーラを飲んで、口の中の油っぽさを流すと、ポテトをつまんだ。
「あこぎな商売だな」
「ま、危険を伴いますから…幻滅した?」
「ん?いや、いい度胸だ」
「明日から…仕事になると思う。社長の事と沼井の事を同時にだから、どうなるか分からないけど」
がたんっとむつは席を立ち階段の近くにある、返却口の隣の棚から灰皿を持って戻ってきた。
「くれぐれも、怪我しないようにね」
「はーい」
灰皿を引き寄せた晃は、タバコをくわえて火をつけて。煙を深く吸い込むとゆっくり、吐き出した。




