5/5
承①
ふたりで、黄色と黒のテープをくぐって、
階段まで来た。
あの事件が起こってから、
渡り廊下は立ち入り禁止になっている。
「ともだちっていうのは、
ここから落ちた子のこと?」
うしおくんの問いかけに、頷く。
振り返って、テープと、
その向こう側を見る。
2階の渡り廊下の窓から、女子生徒が落ちた。
夜6時50分のことだ。
運動部帰りの子達にすぐ見つかって、
その子はなんとか一命を取り留めた。
「落ちる前に、見た、って言ったの。
後ろから足音が聞こえて、振り返ったらそこに居た、って」
「私は」
声が震える。
振り切るように背を向けて、
階段を降りていく。
「あの子が、ウシロダくんに突き落とされたって思ってる」
「どうして?」
「だって」
あの子の姿が脳裏に浮かぶ。
笑っている。
たくさんの友人に囲まれて、幸せそうに。
「あの子は自分で飛び降りたりなんかしない。
誰かに突き落とされるほど嫌われたりもしてない。だから、ウシロダくんしかいない」
ぜんぶ、ウシロダくんのせいなんだ。
私の隣に並んだうしおくんは、
絞り出すような私の言葉を、
肯定することも、否定することもしなかった。
「さよちゃんは『ウシロダくん』が犯人かどうか、確かめに来たんだね」




